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異世界のんびり漫遊記  作者: カイ
第12章 新しい土地へ

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567、真夜中の襲撃 4

俺が床に座り込んで目を瞑って天を仰いでいると、急に近くに気配があり、俺の肩をポンと叩いた人がいた。

目を開けるとそこには穏やかな表情をしたリーシェさんがしゃがみ込んでこちらを覗き込んでいた。


「よく頑張ったね。とても助かったよ。ありがとうね。」


リーシェさんはとても嬉しそうな顔で俺を見ている。

その肩越しに国王もほっとした顔をしているのが見えた。


俺は3箇所にある奴らの灰を見やり、あそこから復活はしないだろうな?と少し不安になった。


「リーシェさん、あの灰達はあそこから復活したりはしないです……よね?」


リーシェさんは俺の不安に気づき、苦笑いで首を横に振る。


「それは私にも分からないよ。私には彼らがどこからやってきたのかも分からないんだ。まぁ、彼らが神聖法国の神官だったのだけは服装からも分かるけどね。」


俺もリーシェさんの言葉に同意して頷く。

俺も奴らがどこから現れたのかは知らない。

ただ、女神テネブルが何処かから連れてきた魔物だということだけは間違いがない。


「そういえばリーシェさん。1つ聞いておきたいことがあるんです。」

「ん?どんな事だい?」


俺の問いかけに、リーシェさんは話の先を促すように聞いてきた。


そこで俺は世界樹の消滅した原因の『黒炎』について聞いてみた。

俺が鑑定で分かっていることといえば、その『黒炎』が『魔界』と呼ばれる世界に存在する禍々しい炎だということだけで、その『魔界』もこの世界とは別次元にある世界だとしかわかっていない。

だからこの世界で長く生きているリーシェさんなら、何か聞いたことがあるかもしれないと思っていた。


「……なるほど。その『黒炎』とやらは『魔界』と呼ばれる場所に存在する炎、ってことで間違いはないんだよね?」

「ええ、鑑定ではそう出ていました。」


するとリーシェさんはしばらく考え込み、それから俺の方へと視線をよこす。


「『魔界』の事についてなんだけど……私の記憶が正しければ、そこは瘴気がたちこめている場所だって言われているね。普通の生物はほとんど生きられないような環境だって話だよ。まぁ……そんな事言っていても、実際に向こうへ行ったことがある者はいないって話だから、本当か嘘かは誰にも分からないんだ。」


リーシェさんは前置きとして「これは聞いた話で、私の実体験じゃないよ」と言ってから、そう話しだした。


そっか……瘴気か。

そんな物が辺りにたちこめていては、流石に草木や生物はほとんど生えてこないらしい。

それを中和できるのが『神聖力』なのだろう。


俺はそこまで考え後、そういえばあの神聖法国って新しい女神がやってくるって話だったのを思い出した。

だが今のところ、新しい女神がやってきたっていう話は耳に入ってきていない。

……これは後でユーリに聞いてみようかな?



それから俺は奴らの灰を一纏めにして結界で作った器の中に詰め込んで閉じ込めると、最終的には俺の腕輪の中に保管した。

万が一、この外の世界に放置したことによって復活や予想もしない出来事に発展してしまうと悪いからだ。


「じゃあリーシェさん、俺はそろそろ元の場所に戻りますね。」

「ああ。今夜は本当に助かったよ。ありがとう、シエルくん。」


俺とリーシェさんが握手を交わすと、国王に軽く会釈してからユーリのいる部屋へと転移した。



俺がユーリのいる部屋へと戻ってくると、なんだか外が騒がしい気がした。……どうしたんだ?


すぐに窓へと駆け寄り、外を眺める。

するとそこからは真っ暗な夜空を、あちこち明るい炎が照らしているのが目に入った。


……えっ?俺がいない間に何があった!?

俺は話を聞くために後ろを振り返る。

するとそこには誰もいなかった。

部屋の中にセバスが、そしてベッドにはユーリとグリーさんが寝ていたはずだったのに、今は誰もいない。


俺は慌ててスコットさん達のいる部屋へと向かった。

部屋のドアを開けると、そこには誰もいない。


俺は戸惑いつつ、1階へと駆け下りた。

そしてカウンターにいたボーヴァさんに慌てて声をかけた。

彼はとても慌てた様子で、俺に話しかけてきた。


「ああ、良かった!さっき急に街が魔物の襲撃にあってね。君のチームメンバーは高ランク冒険者だからそれの対処に向かったんだよ。彼らからは君が何処かに転移して今はいないって聞かされていたから、伝言役として待っていたんだ。」


俺はボーヴァさんの言葉を聞き、とても驚いた。

まさかの2ヶ所同時テロとは思っていなかった。


俺は慌てて外へと出ると、とりあえずこの宿屋にぐるりと結界を張って火災や魔物の襲撃に備えた。


そして俺は魔法連絡でユーリへと伝言の送る。

するとそれは小さな小鳥へと変化すると、あっという間に飛んでいった。

俺はそれを追いかけながら、通りがかった街のあちこちに上がっている火の手を大量の水魔法で一気に消していく。


周りの火事がどこまで広範囲なのか分からないが、今のところは襲撃してきた生きている魔物にもエンカウントしていないので、少しホッとする。

ただし、討伐された魔物はそこかしこに散らばっている。

それはスコットさん達が討伐していっている証拠だからだ。

俺は改めて魔法連絡の小鳥の行方を追い始めた。

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