561、世界樹の未来
突然のお知らせなのですが、この度この小説がアルファポリスから出版される事になりました!
それに伴い、題名を今の『異世界漫遊記』から『異世界のんびり漫遊記』へと変更します。
そして出版日には一旦一巻分までの内容を取り下げさせてもらい、その後かなり改変した後に一部掲載させてもらおうかと思ってます。
いろいろご迷惑をおかけいたしますが、よろしくお願いします!
ショックで茫然自失な俺の側へ、仲間達がやってきた。
ユーリは何も言わずに俺の正面にまわり、自分の胸に俺の頭を抱え込む。
「……にぃに、……っ。」
ユーリはそれに続く言葉を探せずに、言葉を詰まらせた。
俺はユーリにしがみつき、涙が枯れるまで泣き続けた。
俺の気持ちが落ち着くのを待って、ユーリが俺の顔を覗き込んだ。
その顔はとても心配そうな表情をしている。
「にぃに……これはにぃにのせいじゃないよ。多分、世界樹はこうなる事が分かっていたんだよ。」
ユーリは俺の目を見つめながら、慰めるようにそう言った。
そう、それは俺も思った。
世界樹は、俺が結界を張ることを拒んだのだから。
多分あの神官がこの空間に入ってくる前に結界を張っていれば、世界樹がこんな目に遭わなくても済んだはずだ。
たが世界樹はそれを拒み、その結果、あの黒い炎で焼かれてしまった。
そこまで考え、はっとして顔を上げた。
俺の目の前には若干だが、まだ黒い炎で燃えている世界樹が残っていた。
俺はすぐさまそれを鑑定する。
『鑑定結果』
この世界樹を焼いている炎は、この世界とは次元の違う場所にある『魔界』と呼ばれる世界に存在する禍々しい炎です。
通常の水魔法などでは決して消えることのない、とても特殊な炎で、この炎の素となるのは闇の力で、唯一対抗できる力は神聖な力となります。
本来であれば世界樹はこの様に燃え尽きることはないのですが、今回はラドゥガを創り出した事と分身を生み出した事によって、その身に宿っていた神聖力が一時的に枯渇してしまったのです。
その隙をついた攻撃のためにここまで酷い被害になったので、単に世界樹の運が悪かっただけで、全てが貴方のせいというわけではありませんよ。
それに貴方は『分身』を持っているのですから、完全に鎮火したらこの付近を神聖魔法で浄化し、神聖力で満たした後にその『分身』を使ってまた蘇らせれば良いのですよ。
だからそんなに自分を責めることはありませんからね。
……な、慰められたね。
それにあの炎、神聖力でもしかしたらなんとかできるのか?
……あとで試してみるか。
それにしても、あの襲撃を受ける直前に預かっていた『分身』の事、すっかり忘れていたよ。
そっか、あれがあればまた年数がかかったとしても、また世界樹を蘇らせることができるんだね!
これも後で試してみなければならないね。
俺がすっかり涙を引っ込めて何もない空間を見ていることに気づいたユーリは小首を傾げて、「もしかして何かを鑑定しているの?」と聞いてきた。
「ああ。実はあの黒炎の対処方法を知りたくて鑑定をしてみたんだ。そしたら意外……でもないかもしれないけど、面白い結果が出たんだよ。」
「ん?それはどんな事?」
俺は先ほどの鑑定をユーリ達に話して聞かせる。
すると、やはり炎のことについてはなんとなく闇の力だと予想をしていたらしく、あまり驚きはなかったようだ。
たが、あの炎自体が異次元の『魔界』に存在する禍々しい炎だと知ると、皆はどうやってあの神官がそれを召喚できるようになったのかか気になっている様子だ。
それに世界樹を復活させる手段も分かったことで、皆の顔にも少し笑顔が戻ったようだ。
でもそれにはまず、この場の鎮火を早めなければならない。
「じゃあユーリ、少しお試したが神聖力を使ってあの炎を一緒に消してくれないか?」
「ん。分かった!」
ユーリはそう返事をすると、俺と一緒にまだ黒い炎で焼かれている世界樹に向かって己の魔力を神聖力に変えて降り注ぐ。
すると一旦火力が強まったように見えた黒炎だが、すぐに鎮火の方へと向かいだした。
しばらくすると完璧に世界樹は燃え尽き、黒炎も鎮火した。
辺り一面、世界樹が灰の山になっている。
これはこれで、やはり心が痛んでしまう。
たがそんな事を言っていてはいつまでも世界樹は復活できないと思い、心を鬼にして次の作業を開始する。
鎮火した後はこの辺り一面を神聖魔法で浄化しなければならない。
今回も俺とユーリの2人で『浄化』をすると、なんと世界樹の灰がキラキラと光りだしたのだ。
えっ……こんな事、鑑定魔法は言ってなかったぞ!?




