212、いざ、ダンジョンへ!
みんなで美味しく昼食を部屋で食べてから少し明日からのダンジョンのことを話し合った後、3人はそれぞれの家に帰っていった。
その日の夜は料理長の宣言?通りにメインはハンバーグだったんだけど、ソースがかなり美味しかったなぁ。
まるで日本の高級ホテルにあるレストランのような味……とでも表現すれば良いのかな?
やっぱり本職が作るソースは俺が作るのと違って、味に深みがあるね!
みんなの反応はというと、かなりの高評価だったよ!
お肉がミンチになっているので食べやすく、中から出てきた肉汁とソースが絡み合うことでさらにハンバーグを美味しくしてくれるので、ウォールさんが珍しくまた近々作ってくれとリクエストしていた。
でもなぁ……リッキーからもらったフードプロセッサーだから流石に譲れないよ。
なので、申し訳ないけど頑張って手作業でミンチを作ってもらうしかないのだが……その方がさらに肉々しくなって良いかもしれないね?
そんな風に夕飯を楽しんだ翌日、俺たちスノーホワイトは朝食をそれぞれ食べた後に俺の部屋に集まった。
「準備はできてるか?いつでも帰ってこれるとはいえ、忘れ物はないだろうな?」
「俺は大丈夫だ。」
「私達も大丈夫よ。」
「みんな、俺の作ったネックレス、ちゃんとつけてる?」
俺がみんなにそう聞くと、揃って笑顔で首から下げたネックレスを服の中から出して見せてくれた。
もちろんユーリもつけているな、よしよし。
セバスも大丈夫だとはいえ、ちゃんとつけてくれている。
よし、みんなつけてるね!
それからみんなに「俺からはぐれないようにしっかり掴まってね!」とお願いし、転移の準備に入った。
俺は王都に行く時はいつもラブさんとフォードさん夫婦の屋敷の庭にある噴水を思い浮かべて転移するんだよね。
2人が俺のために、光っても目立たず、かつ普段は人がいない場所を考えてくれたんだ。
おかげで安心して転移できるよ。
今回もその場所を思い浮かべてみんなを連れて転移した。
転移先に無事に着くと、皆は「ここ、どこだ?」っていう顔で辺りを見回している。
……リッキーだけは俺の方見ていたから、多分気づいているんだろう。
そこで俺はハッとして、ユーリには鞄の中に入ってもらった。
まだ皆には大きくなったユーリのことを話していないから、ダンジョンに行ったら見せようとユーリと話していたんだ。
だからここで人化するわけにはいかない。
しばらくすると執事さんが玄関からやってきた。
「いらっしゃいませ、シエル様。お仲間の皆さんもようこそ。ここはフォード様のお屋敷ですので、心配なさらなくて大丈夫ですよ。さぁ、こちらへどうぞ。」
執事さんはそう言って俺たちを屋敷の中へと促す。
そうだね、せっかく来たんだから2人の顔を見ていこうよ!
俺が嬉しそうに執事さんについていくと、みんなもぞろぞろとついてくる。
屋敷の中に入って談話室へと通されると、中には2人が仲良く並んでソファーに座ってお茶を飲んでいた。
2人は俺たちの来訪に気づくと、嬉しそうに「いらっしゃい、一緒にお茶を飲もうよ。」と誘ってくれた。
とりあえずこちらは大所帯なのであちこちのソファーに分散して座った。
すると執事さんと共にメイドさんが紅茶セットが載ったカートを押して部屋の中に入ってきた。
そしてローテーブルに紅茶を皆に配り終わると、ドアの所でこちらに一礼して退出した。
「先日はとても良いものをありがとうございました。あれからずっと身につけているんですよ?ほら。」
フォードさんはそう言うと、袖口をまくって手首にはめているブレスレットを見せてくれた。
良かった、約束通りにずっと身につけてくれていたんだね!
「それはシエルが作った物ですか?」
「ええ、先日シエルくんが私とラブ用にとペアのブレスレットを持ってきてくれたんです。もしかしてあなた達も?」
「ええ。俺たちにはネックレスをプレゼントしてくれました。」
スコットさんはそう言うと胸元からネックレスを引き出して見せた。
「なるほど、とても綺麗ですねぇ。本当にシエルくんは多才で、凡人の私なんかからみるととても羨ましいですよ。」
フォードさんはそう言うと俺に笑いかけた。
そんなに多才な気はしないんだけど、褒め言葉は素直に受け取っておかないとね!
それからしばらくネシアでの出来事などの話で盛り上がったが、この後ダンジョンに行くことが話に出た所で皆ハッとした顔になった。そうだよね、向かわないと!
慌ててフォードさん達にお別れの挨拶をすると、スコットさんの先導で急いでダンジョン行きの馬車の停留所?へと向かう。
どうやらまだ席に空きがあったようだけど、ちょうど5人分しかない。
……困ったなぁ、セバスをどうしようか?
そう思った時、セバスがウインクして「では私は後で向かいます」と言って辞退してくれた。
「その前にちょっと話があるのですが、よろしいですか?」
セバスは御者さんにそう声をかけると、短い時間なら良いと言ってくれたので、セバスに連れられて見えない小道へと入る。……なるほど、セバスも鞄に入るんだね?
セバスが鞄に入ると、俺は1人で馬車の所へ戻った。
「坊っちゃん、もう良いんですかい?」
「はい、彼には先に門の方へ向かってもらいました(嘘だけどね!)」
俺は心の中でそう呟きながら御者に返答した。
それを聞いたのか、リッキーが「ぶっ!」と吹いている。
俺が乗り込むと、ダンジョン行きの馬車はゆっくりと門の方へと向かった。
そして門から出ると暫くは道なりに進み、そのうち道からそれて森の方へと向かい出す。
さあ、この先には俺がまた行ったことのない未知の場所が待っているんだね。
俺はワクワクと不安が同時にこみ上げたが、周りにいるスコットさん達が落ち着いて会話をしているのを見ると、次第に不安は消えていき、とても楽しみになってきた。
ああ、早くダンジョンに着かないかな?楽しみだね!




