1 「早速最適な世界がマッチングしましたので転移を開始しますね!」 「待て、なんだよそれ!」
【夜 21:00 会社】
俺(はぁ~俺ばっかりこんな仕事押し付けられて、終わる訳ねえだろ)
上司「おい、まだ終わってないのか?そもそもこの仕事は…」
俺(もう上司の小言も聞き飽きたよ)
上司「…おい、聞いてるか?」
俺「あ、はい聞いてます」
上司「それで、どうなんだ?できるのか」
俺「す、すみません、残業してやります」
上司「…そうか。なら明日までにやっておけよ」
俺(ブラック上司め!こんな仕事一人でできる訳ねえって!また夜中まで残業だよ)
俺(あーこんな会社辞めたい!転職先探そうかな)
俺「ん?なんだこのサイト?『異界転職』?」
俺(転職サイトか?『あなたのご希望の世界が見つかります』ってなんか大げさだな)
俺(まあいいや、とりあえず、名前とプロフィール入力して決定、っと)
俺「って、こんなことしてる場合じゃねえよ俺!仕事しなきゃ!」
??「『異界転職』にご登録いただきありがとうございます。私はあなたのエージェント妖精です」
俺「うわ?なんだお前?妖精!?これ夢!?ってかエージェントって何?」
妖精「だから、貴方が今さっき自分で登録したじゃないですか」
俺「いや俺が入力したのは転職サイトのプロフィールだけど」
妖精「早速、貴方に最適な世界がマッチングしましたので転移を開始しますね!」
俺「待て!なんだよそれ!!うわああああああ」
・・・
・・
・
俺「ここは…森の中!?どこだよ一体!?」
妖精「あなたの能力に最適な異世界に転移しました」
俺「『異世界』!?『転移』!?いやそんなの依頼してないから!俺は転職したいと思っただけで」
妖精「…今確認しましたが、確かにネットから異世界転移のお申し込みいただいてます」
俺「そんな気軽に異世界に転移申し込めるようにするなよ!キャンセルさせろ!」
妖精「案件が終了するまではキャンセルはできません。そういうルールなので」
俺「え!じゃあどうしろっていうんだ」
妖精「帰りたければ、『依頼主』の依頼を達成しましょう」
俺「依頼主?依頼?」
妖精「当社は、世界を超えて必要な人材をマッチングするサービスです。あなたの『能力』が必要とされたのでこの世界にあなたは来たのです」
俺「俺の『能力』…大した能力なんてないと思うけど」
妖精「(ピッ)…うーん、これを見る限り、確かに微妙な『ステータス』ですねえ」
俺「『ステータス』?何でお前がそんなの見れるんだよ!個人情報だろ!なにが書いてあるのか見せろよ!」
妖精「見ますか?でもさっき自分で入力したじゃないですか(ピッ)」
俺「『××高校卒業』『原付免許』…これステータスじゃなくて入力したプロフィールじゃねえか!」
妖精「ともかく、当社のマッチングサービスはご好評頂いてますので、あなたの能力があればきっと何とかなります!」
俺「本当かよ…」
妖精「依頼達成のために私がサポートしますので。ちなみに私の姿は現地の方には見えませんが、異世界の言葉は自動通訳させて頂きます」
兵士「ん?なんだお前は?ここで何をしている!」
俺「え?いや、俺は別に怪しい者ではなくて…」
兵士「!!その姿は!!今すぐ城に来てもらおうか!!」(拉致
俺「何するんだ!放せよ!」
・・・
・・
・
王「勇者よ、よくぞ我が城に来た」
俺「は?『勇者』ってなんだよ」
王「伝承によれば、人間が魔族の脅威におびえる時、異世界から勇者が現れて救ってくれるとのことだ」
俺「いや、異世界といえば異世界から来たけど、俺は勇者じゃないから」
王「伝承によれば勇者はヘンテコな服を着ているということだからお前だろう」
俺「だから違うって!俺は単なる会社員でこれは背広…」
王「ということで魔王を討伐してくるように。あと、勇者だけが使える『伝説の武器』があるからそれを使うといい。ではな」
俺「だから人の話を聞け!…行ってしまった」
俺「ってか、とりあえず『依頼主』は見つかったってことでいいのか?」
妖精「わかりません。『依頼主』なら私の端末に反応があるはずなのですが…」
姫騎士「おいお前」
俺「え、俺?」
姫騎士「お前が勇者殿だな。私はこの国の第一王女だ。王が命じた通り『伝説の武器』を手に入れにいくぞ」
俺「ちょっとまって、俺は…」
姫騎士「どうした、何か問題でも?」(キッ
俺「い、行きます!」
俺(この姫、確かにカワイイけど、でかいし大剣担いでるし、目つき怖いから従っておこう…)