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「ごっくんちょ」

挿絵(By みてみん)


 「ごっくんちょ」は有尾目(ゆうびもく)オオサンショウウオ科オオサンショウウオ属に属する生き物、オオサンショウウオの仲間です。

 独特な色彩の表皮とつぶらなお目々、ひれのある手足が特徴的です。

 山椒魚の仲間ではありますが体臭は山椒の香りというよりも蜂蜜に似た甘い匂いを放ちます。

 体長は成体で1.5m程あり小学生よりも大きいようです。

 その体格の割に非常に臆病で常に後述する威嚇の姿勢を頻発します。


 彼等の個体数は特別天然記念物であるオオサンショウウオと比較して非常に多く、排水溝の数だけその地に生息するとも言われています。

 これは「ごっくんちょ」の体が分断された際、水につけることで再生を始める「はんざき」という特性を持っているためです。

 元の体と分断された体の一部が元の姿へと再生し二体に増殖するこの能力のおかげで「ごっくんちょ」は大量に増殖してしまいました。


 また「ごっくんちょ」は決まった体重を持たず、表皮から空気中の水分を体に取り入れ吐き出し循環させることでその生体機能を維持しています。

 それはまるでスライムのように体をぷよぷよと変形させて行っているため先述の「はんざき」という特性と合わせて彼等はアメーバのような「流体的生物」である可能性が存在します。


 ですが結局のところ詳しい解明は出来ていません。


 動き自体は遅いものの体を自在に変形させ細い隙間をぬって移動する上に警戒心が強いため個体数に反して発見、捕獲は困難です。


 「ごっくんちょ」は以下の条件を満たす人物に出会った際、強い警戒心を示し威嚇の姿勢をとります。


条件1:プライドが高く自分が一番である、と内心思っている

条件2:常に周りからの評価を気にしている

条件3:基本的に自分の感情を表向きにしない

    (今日の星座占いがいい結果でも得意気にしない)


 以上の条件を満たした人物が近くにいると「ごっくんちょ」は立ち上がり二足歩行になることで威嚇を始めます。

 「ごっくんちょ」の威嚇の大きな特徴は口にあります。

 横に伸びたがま口を大きく開き、舌を口の中に広げることで大きな瞳に見立て相手を威嚇します。

 「ごっくんちょ」の口を向けられた人物はどこからか強い視線を感じます。

 奇妙な圧迫感に襲われるのです。

 即座にそれが心身に影響を与えることはありませんが「ごっくんちょ」はマイペースでいつまでも威嚇を続けるため、段々気分が悪くなってきます。

 この威嚇は対象者がその場を去るまで続きます。


 「ごっくんちょ」はこの威嚇体制を長時間続けていると口を開けっぱなしにしている為か大量のよだれを口元から流し始めます。

 その姿はまるで涙を流す瞳のようです。

 「ごっくんちょ」自体は表情の変化に乏しく、感情を読み解くのが難しい生き物であり何を考えているのかさっぱりわかりません。

 ですが「ごっくんちょ」の威嚇にさらされ続けた人物の多くは精神的に追い詰められてしまう傾向にあるので、彼等の威嚇はもしかすると警告なのかもしれません。


 「ごっくんちょ」の威嚇から逃れる手段は前述したようにその場を去ることです。

 ただ「ごっくんちょ」は街中に沢山います。

 やっつけようと手で払えば簡単に「ごっくんちょ」の体は千切れますが先述の特性「はんざき」により寧ろ増殖します。


 彼らは何を考えているのかさっぱりわかりません。

 ですが特定の人物に対する威嚇行動以外無害な存在です。




 あなたの前に現れた時は気にしないのが一番です。




 ……それが出来れば苦労はしませんが。

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