「言イタイコトヲ言イタイ遺体」
「言イタイコトヲ言イタイ遺体」
「言イタイコトヲ言イタイ遺体」は人の姿をしたゾンビです。
身長、体重、外見については目撃者毎に異なる証言をしているため断定出来ていません。
強いて言うなら基本的に血色が悪い黄緑色の肌で目に隈がある事が多いとされています。
彼等は以下の条件のいずれかを満たした人物の視界に現れます。
条件一:生活環境等の影響で自己表現の場がなく好きなことを誰かに話す事が出来ない。
条件二:日常生活において充実感を感じることが出来ずうなだれている。
条件三:そもそも自分の事を話せる相手が傍にいない。
条件を満たした人物が特定の物体を目にした時、「言イタイコトヲ言イタイ遺体」は姿を現します。
「言イタイコトヲ言イタイ遺体」は好奇心が強く基本的にあなたの行動をまねっこしてきます。
右手をあげれば左手をあげ、あひる口をすればあひる口になります。
子供っぽい行動の割にふてくされた顔をしている事が大半です。
彼等の外見に対していい印象を持つ人は少ないです。
恐らく彼等は生まれつきそういう顔なんだと思います。
だから可哀想だなんて思わないことです。
あなたがそう思うだけでそうじゃ無いかもしれません。
「言イタイコトヲ言イタイ遺体」はあなたの前に現れるとあなたとそっくり同じ行動をします。
彼等は他に何かをする訳ではありません。
ただただあなたと同じように振る舞います。
なのでその行動を逆手にとれば手を合わせることも、なんだったらキスだって出来ます。
ですが彼等に出会う人の多くがそうしようとは思わないようです。
彼等は基本的にあなたの傍にいてくれます。
いてくれるだけで何ものしませんが。
ずっと自分の真似をするやつが傍にいるなんて!
そんな風にどうしても鬱陶しいと思った方!彼等を撃退するいい方法があります。
それは彼等を鼻で笑ってやることです。
無理に笑顔を作るのではなく自然に小馬鹿にするように、です。
それが出来たならこう言ってやりましょう。
「お前のこと、好きだよ」と。
それが言えるだけの度胸があれば「言イタイ事ヲ言イタイ遺体」は何も言わず満足げな笑みを浮かべ消えていきます。
さて、ここまで話しましたが彼等に出会うために目にする必要のある「特定の物体」が何か話してませんでしたね。
それは「可視光線を反射する部分を持つ物体」です。
……ようするに鏡です。
彼等があなたの傍に現れた時、出来る限り彼等を好きになってやってください。
彼等はまねっこが得意なので、きっとあなたを好きになってくれます。




