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侵略者  作者: 京衛武百十
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好奇心

彼女がどうしてあれほどまでにブロブを憎んでいるのか、キリアには理解できなかった。両親を殺し彼女をあんな姿にしたということでそれが憎んでる理由だというのは推測はできる。


でも、キリアにとっては自分の両親自体がそこまで大切な存在でもなかったし、フィのような姿になれるならなりたいとさえ思っていた。だから彼女にとってはそれがあそこまでブロブを憎む理由になるという実感がなかったのだ。


故に、もし自分が彼女と同じ境遇になったとしたらどうなるのかという形でも興味が湧いてきてしまったのである。


町を取り囲む塀の外に行くこと自体はそれほど難しくない。一応、法律で勝手に立ち入らないようにと禁止はされているが別に見張りが立っている訳でもなく、実は罰則もないのだ。ブロブハンターや駆除業者はその辺りの体裁を整える為に許可を取るようにはしているものの、結局は建前でしかない。塀の外に行ってブロブをはじめとした危険な生物に襲われても<自己責任>と見做されるだけだ。


ちなみに、ブロブがいる辺りには、有毒の昆虫や爬虫類に似た動物など、恐怖といったものを感じない種類のそれ以外の動物はまず近寄らない。ブロブを恐れて逃げるからだ。特に大型の動物になればなるほどそれに比して知能も高くなる傾向にあることから、危険を察して逃げてしまう。なので、ブロブが近くにいるところではブロブ以外の動物に襲われることはむしろ少ない。ただ、毒を持った動物や植物などは割と多いので、そういう事故は少なくない。


キリアは、ヘビやトカゲなどを飼っていて、それに与える為に昆虫などについてもそれなりに知識を持っていた。なので、


『私なら大丈夫……』


と思ってしまったようだ。


町の出入り口まで行き、行き交う人の目を盗んで塀の外へと足を踏み出した。さすがにお節介な大人などに見付かると注意されたり連れ戻されることもあるからだ。


とは言え、初期の住人以外ではそこまで神経質なのもそんなにいない。ましてやこの町ではもうずっとブロブの被害は出ていない。自転車の二人乗りが禁止されていてもわざわざそれを注意する人間も少ないように、キリアが塀の外へと走っていくことに気付いた人間もいたもののさほど気に止められることもなかったのだった。


塀の外には監視カメラも仕掛けられている。しかしそれは、ただ機械的に記録されているだけで、時折、塀の外にゴミを不法投棄する人間を特定する為に記録された映像をチェックする程度にしか使われていなかった。もともとブロブはその特性から肉眼では見えてもカメラに映りにくく、ブロブを監視する為のものでもない。


林の中へと小走りで入っていくキリアの姿が捉えられていても、それを見ている人間はいなかったのである。



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