【化学】始まりの〝元素〟
宇宙創生といわれる「ビックバン」の100万分の1秒後、
そこに誕生したのは、「陽子」であった。
陽子とは、水素の原子核そのものを指す。
水素原子は、1つの陽子の周りの1つの電子が回っている存在なので、
実は、この時点で既に、水素誕生まで、
あと一歩の状態だったといえた。
しかし、「水素」や「ヘリウム」の誕生には、
更に30万年の時を要することになる。
これは、生まれたての宇宙が非常に熱く、
陽子と電子が安定して結合できなかったためだと推測される。
ゆえに、初期の元素が形を成すことを許されたのは、
宇宙の温度がようやく冷え始めた頃だった。
その時、誕生したのが、
比較的、電子構造の簡単な「水素」・「ヘリウム」・「リチウム」の3つである。
このため、現在においても、
宇宙で最も多い元素は「水素」であり、
二番目が「ヘリウム」となっている。
原子数でいえば、
宇宙の物質の88%が水素、11%がヘリウムだ。
つまり、宇宙の99%が、この二元素から成り立っているといえる。
なお、これより重い元素はいずれも、
太陽のような恒星や超新星爆発により少しずつ生み出されたものと言われている。