二章2-6 味方最強の敵(2)
コルネリウス達から少し距離を置いたところで、ディグマン達は戦っていた。
地上での戦闘はすべてコルネリウスが行う。これは前もって決めていたことであるが、不測の事態に備えて提案されていたのは強者以外を名も無き騎士に頼むということだった。ウルという強者が現れる不測の事態が発生し、ウルをコルネリウス一人に任せている。
ディグマン達はコルネリウスを信頼しているが、剣の腕前については信用していなかった。普段見せる剣の修練で本気をだしている訳はないが、その修練を物足りないと感じていたからだ。
当然理由はある。ウルという最強騎士の剣を見続けていたのだ、コルネリウスを見てウルと比較すれば見劣りはあろう。
「やるなぁ」
が、実際にウルと斬り結ぶ姿を見て、腕前も信用できるものだと確信した。
脇目をしているディグマンに横から槍が突き出される。寸前で回避するが一つではない。複数の槍が迫っていた。一人の力は大したことはないが、集団になると敵は厄介だ。
敵は集団戦を訓練している、そしてそれに特化。普通の騎士は一騎打ちが主な戦いだ、集団戦に対する知識はほとんどない。
しかし、この場にいる騎士は所謂普通の騎士ではない。『非人間』が組む名も無い騎士である。互いに手を取り戦ってきたのだ。
ディグマンは大きな鉤爪で穴を掘る。地中を移動するためではなく、地面の下に体を隠すため。周りから迫る敵が振り下ろした剣がディグマンに迫る。
「大将!」
が、剣がディグマンに刺さらなかった。ディグマンの掘った穴にすっぽりと蓋をするように大きな甲羅を持つ男が入ったからだ。その甲羅は剣を寄せ付けなかった。
「危なかったですな。どうしましょう」
「我らはできるだけウル以外の敵の注意をひきつつ、耐えればいいんだ。すぐに味方がくる」
ディグマンの言う通り、敵を囲むようにして騎士達が集まってくる。どこから出てきたのか、数は次々と増えていく。
「攻め込まれたときのための非常通路。何も用意せずにずっとこんなところにいると思っているのか」
「敵さんからしてみれば何もないはずのところに来てるんだ、用意するにも何も用意できんさ」
敵が回りから離れていき、ディグマンと甲羅の男が仲間に持ち上げられる。
ディグマン側の戦況は良くも悪くもない。耐え忍ぶことに関しては名も無き騎士はずっとしてきたことだ。今さらこれしきのことどうってことはない。
「向こうはまだかかりそうだ、もう少し時間を稼ぐぞ」
「そこで倒そうぜとか言わないのが大将らしいってもんよ。さ、張り切って耐えますかね」
おうと騎士が片手を上げる。
残りの時間がどれくらいあるのか分からないが、今までに比べれば少ないものだろう。




