ep 狸
「夜の神社って雰囲気でるッスね。」
第一話 狸隠神社
―ノロイニンギョウ― の件から2日たち夏休みも中盤に差し掛かろうとしていた。今ワタシと、 ≪吸血鬼≫ は、裏山にある、人知れずの神社に来ている。名を、狸隠神社。なぜ、この神社に来たかと言うと、ある依頼が切っ掛けだった。
「それで、本日はどのような ≪依頼≫ を?」
「はい。最近変な、ことが起きていまして、塾の帰りに、暗かったんですけど、ハッキリと見たんです! 電柱の側に、武士がいたんです! 一度だけじゃないんです! 何日も、何日も、それに、少しづつですけど、動いているんです! 裏山の方向に向かって」
武士がこんな時代にって、違うな。 ≪怪≫ の仕業かな? それにしてもだ、どうして武士なんか。
「そうだな。今、現時点で言えることは、夜道には気を付けろ、ぐらいだな。して、裏山には何か、あるのか? まだ、ここに来て、月日も浅くてな。何か、知っているか?」
確か、裏山には、
「狸隠神社がありますね」
やっぱり。不気味で、何時建てられたのかも分からず、参拝をしている人も居ないだろうと言われてる、神社。名にもある通り、狸を祀る神社。そして、数年前に失踪事件があった場所。噂では、狸が隠したとされている。まぁ実際の所は違うのだけれども。
「おそらくですけど、また誰かを拐うんじゃないかと思って、数年前に起きた、失踪事件が再発するかと、思いまして」
ほら、そうなると思った。
「分かった。良いだろう。しかし、この件に関しての最終的な物は何だ? 今のところあやふやだ」
「ああ、それに関しては、武士の正体です。ただそれだけをお願いします」
「分かった。その、 ≪依頼≫ 引き受けよう。 ≪報酬≫ は」
「一万です。これぐらいしか、持っていなくて」
学生が出せる、最高額と言っても良い。実際のところ、お小遣いも千円と言ったところだろう。
「それで、良い。一先ずこちらも調査はするが、報告までの間は、夜道に気を付けろ、良いな?」
「ありがとうございます」
そして、その後世間話を少しした、後、学生は帰っていった。
「ねぇ ≪吸血鬼≫ 武士なんて本当に居ると思う?」
「さぁな。実際の所は分からん。が、 ≪報酬≫ は受け取ってしまったんだ。調査はするが、兎に角。あの、学生は、あやふや過ぎる。結局の所何にも分からん。お前も夜道には、気を付けることだ。いいな?」
あら、お優しい。あの、 ≪吸血鬼≫ が心配だなんて。よっぽど危険なんだろうな~失踪事件も絡んでいるし。
「さて、武士は夜に出ると言っていたか、なら、裏山にある狸隠神社に行くとするか、夜に」
どうしよっかな。私は。
「楽しそうッスね。肝試しですか?」
黒笑が言ってくる。ん? いつの間に!
「さっきですよ。俺も、行って良いッスか?」
「別に良いが、いや、いいか。自分の身は自分で守れよ」
黒笑には、 ≪鬼≫ の ―ミギウデ― がある。とてつもなく、強い。なら、うん。大丈夫か。
「今日の夜に行くぞ」
「は~い」
そうして、ワタシたちは、裏山にある狸隠神社に来たのであった。