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必殺の一撃

登場人物

ハルナ:どこにでもいそうな女の子と見せかけて実は魔法少女。魔法の腕輪“マジカルチェンジャー”を使って変身し、魔法の拳銃“マジカルブラスター”を使いこなす。

カーター:ハルナのパートナーであるネコのような容姿を持った妖精の男の子。持ち前の明るさと豊富な知識によりハルナの戦いをサポートする。

クローディオ:闇の皇子。時期尚早として世界の破壊に否定的な態度を示している。

クローディア:闇の皇女。

ソリーサ:闇の幹部。闇の魔法で世界を脅かす。

シン:闇の幹部。闇の機械で世界を脅かす。

ケミル:闇の幹部。闇の薬で世界を脅かす。

ゼノ:闇の幹部。宇宙より邪悪な意思を持つ者を呼び寄せて世界を脅かす。

イオ:闇の幹部。闇の生物兵器で世界を脅かす。

 その日、いつもと同じように学校へと向かったハルナは前日に自身が体験した出来事を友達に話しました。

 ただし、その話は突如現われた怪人によって恐ろしい思いをしたという内容に止まっており、その後妖精との出会いを通じて世界の危機を救ったことは含まれてはいませんでした。

 ハルナにとって人間関係とはとてもデリケートのことのように思われており、他の人に無い優れた力が自身に備わっていることが周囲に知られてしまったら、周囲から裏切り者として認識されて嫌われてしまうとハルナは考えていたのです。

 その一方で、自身が辛い体験をしたと周囲に話せば、周囲の同情を得られ、特別な扱いを受けられるであろうとも思っていました。

 ハルナは怪人によって心に深い傷を負わされた少女を演じました。

 友達にに対して秘密を持つに対しハルナは少なからず罪悪感を覚えましたが、ハルナの話す辛い体験は真実に基づくものでしたのでその点においては気が楽でした。

 そしてハルナは虚偽の体調不良を理由に午前中で学校を早退し、カーターとの待ち合わせ場所に向かったのでした。


 ハルナはカーターの待つ路地へと辿り着きました。

「もう来たの……!?」カーターが驚いた様子で言いました。

「うん!」ハルナが答えました。

「でもだって……学校があったんじゃ……?」

「そんなのどうにだってなるよ!世界の危機だもん!」

「確かにそうだけど……。」カーターが言いました。「でも、太陽の力がまだ強いこの時間帯に闇の力が出てくる可能性は高くないかも知れない。」

「えっ……そうなの……?」

「うん。闇の力は太陽の力で弱まるから、もうちょっと時間が経ってからの方が可能性が高いかな。夕方が近付いたくらい……。」

「そうなんだ……。でもまあいっか!」

「世界を守ることを頼んだ身としては言い辛いけど、日常も大切だよ?」カーターが言いました。

「世界を守る為に戦い始めたんだから、普通の日常生活なんて送れないよ。」ハルナが言いました。

「まあ、それは今後の課題ということにしておこう。」カーターが言いました。「それよりも今日は戦闘訓練だ。急いで腕を上げないとね。」

「今の実力じゃ全然ダメかな?」ハルナが聞きました。

「いや、この間の戦いぶりはスゴかったけど、次も同じようにやれるとは限らないし、訓練しておくに越したことは無いと思って。」カーターが答えました。

「なるほどね。」

「それじゃあ、変身はしなくても良いから、武器を出してみてよ。」

「うん、分かった。」ハルナがマジカルブラスターを召喚しました。

「向こうを見て。」

 路地の奥にいくつかの空き缶が並べられています。

「アレを撃てば良いの?」ハルナが聞きました。

「うん。」カーターが答えました。

「良いよ。やってあげる!」ハルナがマジカルブラスターを構えました。

 ハルナは一発ずつマジカルブラスターを撃って順に空き缶を撃ち抜きました。

「どう?上手かった?」ハルナが聞きました。

「うん。凄いね。」カーターが答えました。

「まあね。」


 地下深くにある闇の神殿では闇の幹部達が話をしていました。

「世界の様子はどうだった?」闇の幹部の一人、イオが言いました。

「フッ、思ったよりも楽しめたぜ。」この小説の読者にとっては既にお馴染みであろう闇の幹部の一人、ソリーサが答えました。

「案の定我々に対抗し得る力が存在するということか……。」闇の幹部の一人、ケミルが言いました。

「それにしても皇子はいつまで様子を見続けるつもりなのだろうか?いかなる力が世界に存在しようとも、闇の力こそが絶対のハズだが……。」闇の幹部の一人、ゼノが言いました。

 そこへ闇の皇女クローディアがやって来ました。

「兄上は現状に対しとても深い関心を抱いているわ。これまで幾度と無く闇の力が世界を滅ぼそうとしてきたにも拘わらず、未だ世界が滅びていないことにはそれなりの理由が存在する。私達にとって世界を分析することはとても重要なことよ。」

「それで、皇子は今何処に……?」ゼノが聞きました。

「さあ、私にも分からない。」クローディアが答えました。

「……。」

「皇子がどうしていようと今はどうだって良いじゃないか。」闇の幹部の一人、シンが口を開きました。「そんなことよりも、次は僕の番で良いかな?」

 一同がシンを見ました。

「僕のしもべを見せてあげるよ。」シンがそう言うと同時に一体の怪人が姿を現しました。

「何だ?」ソリーサが言いました?

「ダイナモイド、僕の作り出した闇のロボットさ。」シンが言いました。「コイツで世界をメチャクチャにしてやる。」


 ハルナは路地で射撃の訓練を続けていました。

 カーターが魔法で浮かせた空き缶をハルナは素早く撃ち落としていきます。

「凄い!」カーターが感嘆の声を上げました。

「そうでしょ!?」ハルナが言いました。

 この時ハルナは自分でもその腕前に驚いていました。

 次の瞬間、遠くから爆発音が響き渡ってきました。

「今の音……!」ハルナが言いました。

「うん……!」カーターが走り出しました。

 ハルナはカーターを追って爆発音の聞こえてきた方向へと走り出しました。


 ダイナモイドが通りで暴れていました。

「ハアッ!」ダイナモイドが両腕から電撃を放って近くのビルを破壊しました。爆発と共に地面へと瓦礫が降り注ぎ、人々が逃げ惑いました。

「ハハハハハッ!良いぞダイナモイド!そのまま全てを破壊し尽くせ!」シンが言いました。

 そこへハルナとカーターが駆けつけました。

「ん……?」シンが言いました。「フン、ようやく現われたか……。」

「これ以上好き勝手にはさせないから!」ハルナが言いました。

「変身だ、ハルナ!」カーターが言いました。

「うん!」ハルナが構えました。「変身!」

 ハルナが変身しました。

「僕はシン。君と僕の作った闇のロボットとどっちが強いか試してみようか。」シンが言いました。

「闇のロボット……?」ハルナが言いました。

「フッ、お前など俺の敵では無いことを思い知らせてやる。」ダイナモイドが言いました。

「アレは闇の力で作り出されたロボットだ……!」カーターが言いました。「種族としては機械だけど、人間と変わらない程の知能を備えているようだよ……!」

「どんな相手だろうとやっつけてみせるよ!」ハルナが言いました。

「フン、減らず口はコイツらを倒してから聞くんだな。」ダイナモイドが言うと同時に多数のアンドロイドが現われました。

「行くよ!」ハルナがマジカルブラスターを使って次から次へと向かってくるアンドロイド達を瞬く間に倒しました。

「ほう、少しは腕があるようだな。」ダイナモイドが言いました。

「そうだね!」ハルナが言いました。

 ハルナがダイナモイドに向けてマジカルブラスターを発砲しました。ダイナモイドがマジカルブラスターから撃ち出された魔法弾を受けて怯みました。

「くっ……!」ダイナモイドが体勢を立て直しました。「だが、その程度の腕でこの俺を倒すことは出来ん!」

「えっ……?」

「ハアッ!」ダイナモイドがハルナに電撃を放ちました。

「アッ……!」電撃を受けてハルナの動きが止まりました。

 次の瞬間、爆発が起こってハルナはふっ飛ばされてしまいました。そしてハルナは持っていたマジカルブラスターを手放してしまい、地面に落ちたマジカルブラスターは無辺世界へと滑っていきました。

「くうっ……!」ハルナがよろめきながら立ち上がりました。

「ハルナ……!」カーターが叫びました。

 ダイナモイドがよろめくハルナを連続で殴りました。ハルナは為す術無く殴られ続けました。

「ハッハッハッハッハッ!闇の力に盾突く者がどれ程の実力かと思ってみれば、所詮はこの程度か!こんなんじゃ全然期待ハズレだよ!」シンが言いました。

 ハルナが殴り飛ばされて地面に倒れこみました。

「最早お前に勝ち目など無い。降参サレンダーをするんだな。」ダイナモイドが言いました。

「……。」ハルナがゆっくりと立ち上がりました。

降参サレンダーなんてしないよ……!」ハルナが言いました。

「何だと……?」

「この身に魔力が残っている限り、私は戦いを諦めない!」

「ハルナ……!」カーターが言いました。

「フン、降参サレンダーをしなかったところでお前に何が出来る?」ダイナモイドが言いました。

「そうだ!」シンが言いました。「攻撃力はダイナモイドの方が遥かに上だ!君に出来ることなどもう何も無い!」

「ハアーッ!」ハルナがダイナモイドに殴りかかりました。

 ハルナの攻撃はダイナモイドにはあまり効いていないようでしたが、ハルナはダイナモイドのパンチを確実にかわして自身のパンチやキックを次々と打ち込んでいきました。

「ハアッ!」ハルナのストレートパンチを受けてダイナモイドが後退しました。

「くっ……!おのれ……!」ダイナモイドが電撃を放ちました。

「ハアアッ!」ハルナが電撃をかわしながらローリングソバットを繰り出しダイナモイドを蹴り飛ばしました。

「ぐあっ……!」ダイナモイドがダウンしました。

「ダイナモイド……!おのれ……!だが、所詮は悪足掻きに過ぎん!次の攻撃が決まれば今度こそ終わりだ!」シンが言いました。

「それはどうかな?」カーターが言いました。

「何……!?」

「アイツを倒せる方法があるの!?」ハルナがカーターに言いました。

「ああ!」カーターが言いました。「マジカルチェンジャーには隠された能力がある!」

「隠された能力?」

「変身中にマジカルチェンジャーに指を添えて念じることで魔法が発動し、強力な体術を繰り出すことが出来るよ!」

「強力な体術……?」ハルナが言いました。「うん、分かった!」

 ハルナがマジカルチェンジャーに指を添えました。それと同時にマジカルチェンジャーから「Fatal Arts」の電子音声が発せられ、ハルナの体に魔法の力が漲り始めました。

「ハアッ!」ハルナがジャンプしました。

「……!」体勢を立て直したダイナモイドが戸惑う素振りを見せました。

「マジカルキック!」ハルナが魔法の力をその身に纏いながらダイナモイドに飛び蹴りを浴びせました。

「ウアアアアアアアッ……!」マジカルキックを受けてダイナモイドがふっ飛ばされ、地面に倒れると同時にそのまま爆発しました。

「バカな……!」シンが言いました。

「私の勝ちだね!」ハルナが言いました。

「くっ……!まだだ……!僕の作り出したロボットを破壊された屈辱、一万倍にして返してやるぞ!」シンが叫びました。

「……!?」

「出でよ!マグナスマキナ!」シンが叫ぶと同時に巨大ロボットが召喚されました。

「巨大ロボット……!?」ハルナが言いました。

「フン!」シンがマグナスマキナのコックピットにワープしました。「コイツで決着をつけてやる!」

「ハルナ、マジカンダーを召喚するんだ!」カーターが言いました。

「うん!」ハルナが言いました。「相手の場にのみ巨大戦力が存在する時、マジカンダーは魔力を使わずに召喚することが出来る!マジカンダー召喚!」

 マジカンダーが召喚され、ハルナがそのコックピットにワープしました。

「行くぞ!」マグナスマキナがゆっくりとマジカンダーに接近し、マジカンダーとマグナスマキナは殴り合いました。

「リストバルカン!」激しい殴り合いの中、マグナスマキナのスキをついてマジカンダーが右腕の機関砲を撃って攻撃を仕掛けました。

「うああっ……!」機関砲の弾丸を受けてマグナスマキナがゆっくりと後退していきました。

「ハアッ!」マジカンダーが続けて左腕の機関砲でマグナスマキナを攻撃しました。

「くっ……!」マグナスマキナがさらに後退しました。

「これで決める!ラスティング・バースト!」ハルナが操縦桿を動かしました。

 マジカンダーの両腕から絶え間無く撃ち出される機関砲の弾丸を受けてマグナスマキナは為す術がありません。

「おのれ……!脱出だ!」シンがマグナスマキナの内部から脱出しました。それと同時にマグナスマキナはラスティング・バーストにより爆発しました。

「この僕が敗北を喫しただと……!?覚えていろ……!」そう言い残してシンは姿を消しました。


 マジカンダーとマグナスマキナとの戦いが行われた近くにある建物の屋上でハルナとカーターは落ち合いました。

「大丈夫、ハルナ?」カーターが言いました。

「うん、多分。」ハルナが答えました。「ちゃんと世界の平和を守ったよ。」

「そうだね。」

「でも、負けそうになった時は辛かったかな……。」

「うん。これからも厳しい戦いが待っているかも知れない。痛い思いもたくさんするかも知れないけれど、やっていけそう?」カーターが聞きました?

「この流れで「無理」なんて言えないでしょ……?」ハルナが言いました。

「まあ、そうだけどね……。」カーターが言いました。

「でも、やるよ。ここまで来たんだもん。最後まで世界の平和を守り抜いてみせる!」ハルナが言いました。

「ハルナ……!」

「でも、痛い思いをしなくて済む選択肢があるなら、そっちを選びたいな。」ハルナが言いました。

「ハルナ……。」カーターが困った様子で言いました。

 こうしてこの日もハルナは世界の平和を守ったのでした。

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