実績:[欠損部位の再生]を達成しました。
【視点:アディメ・ヘラーラ】
「リーバくんッッ!!」
私はそう叫んで、倒れ込んだリーバくんの体に触れた。
冷たい。
さっきは布越しに出血をしていた箇所を押さえていたから気づかなかったけれど、彼の体はかなり冷え込んでいた。
どうしよう……早くなにかしないと死んじゃう……!
「リーバくん! リーバくん!」
私は彼の名前を叫んで、彼の体を揺さぶる。
起きない。起きる気配すらない。リーバくんは目を瞑っているばかりで、私の接触に反応すらしてくれない。
私は彼の体を揺さぶる度に出血の激しさが増すのを見て、すぐさま揺さぶりを止めた。
「か、神よ、この者の命を……献上いたひっ……」
リーバくんと一緒にいた青い髪の人が治癒魔法を唱えているようだけど、動揺して詠唱ができていない。
彼女の手に持っている杖が震えていて、術を掛ける対象すら定まっていないように思える。
「リーバルト! リーバルトおい! しっかりしろ!」
勇者とさっき戦っていた金髪の強そうな男の人が必死にそう叫んでいるけれど、リーバくんは目を覚まさない。
また……また、目の前で死んじゃう。
私の大切な人が……また……。
「リーバくん! お願い! 起きてよ! 私を一人ぼっちにしないでよ!!」
なんで私はいつもこうなの?
結局はいつも私が大事なんだ。
リーバくんが死んじゃうかもしれないから心配しているんじゃなくて、私が孤独になるから、心配しているなんて……。
クズだよ……どうしようもないクズだよ……。
「ねぇ……お願いだから……!」
私はそう悲痛な叫びをあげて、リーバくんの右手を握り込むけれど、彼は起きない。
重力に従っている彼の手の、冷たい感覚が私の手に伝わってくる。
「再会してすぐにお別れなんて……嫌だよ……ねえ!」
だめ。起きない。
もう嫌。もう私の周りが不幸になっていくのを見るのがもう嫌。
起きてよ……ねえ起きてよ。
また、この人は私を置いて先に行ってしまうんだ。
私には何も言わずに、ただ無言で私を置いていくんだ。
私がいつもどう思っているか知らずに、私は平気だと勝手に勘違いして、私を置いていくんだ。
「ねえ、ねえ!」
私の顔中が色々な液体で湿っているのが分かる。
起きない。起きない。起きない。
ねえ、ねえ!
止まってよ。
なんで止まってくれないの。
私を置いて行かないでよ……。
血が止まらない。
涙も、鼻水も止まらない。
私の今の顔はくしゃくしゃで酷いものだろう。
「──なあ」
私が泣きながら彼の手を握っていると、黒髪の、小さい女の子が口を開いた。
「そいつの命、助けてほしいか?」
その笑みは酷く歪んでいて、私は、彼女が魔王のように思えてならなくなった。
──その後、リーバくんの左腕は治った。
何十人もの人の命と引き換えに。




