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薬作り

見つけてくださり、ありがとうございます✨


  ∗∗  満月の薬草採集の翌日 森の家  ∗∗


 

 ノト、ローズは庭で薬草の仕分け作業をしていた。

 大量にあるので製薬工房ではなく、庭で行う事にしたのだ。

 乾燥させるものとそのまま使うもの。

 薬草のまま売るものと薬に加工するもの。

 目的別に分けていく。

 空間収納に入れていたのでどれも新鮮そのものだった。

 


 ----- ふぅ~~~。 はぁ~~~。


 ノトは薬草を仕分けながら、時々溜め息をついている。

 仕分ける手も止まりがちだ。



 仕分け作業を眺めていたクリムゾンが声を潜めてローズに耳打ちした。


 「なぁ、ノトはどうしたんだ?」

 「たぶん、恋患いだと思うわよ」

 「恋患い?何だそれ?」

 「好きな相手の事を思ってボーッとしたり、溜め息をついたり具合が悪くなったりする事よ」

 「好きな相手ってあの兎の?」

 「たぶんユゥナさんだと思うわよ」

 「そっか、いい感じだったもんな」

 「そうね」

 「でもさ、あれじゃ仕分けが終わらないよな」

 「そうよね‥‥‥どうしよう」


 「私にいい考えがある」


 メルクリウスがローズ達の側に来てニッコリ笑った。


 「メルクリウスさん、いい考えって?」

 「まぁ任せて」


 そう言うとメルクリウスはノトの近くに行き、声をかけた。


 「ノト、そんなにゆっくりしていていいのかい?早く薬を作った方がいいと思うよ。ユゥナ殿のいるナズナ村はそれほど大きくないし、薬屋も無いだろう?薬を届けてあげたら喜ぶんじゃないかなぁ」

 「メルクリウスさん‥‥‥‥‥そう、そうですね。届けてあげないと」


 ノトは急に真剣な眼差しになり、今までとは違う素早い動きで作業を始めた。


 「ローズ、ほら頑張って。早く仕分けを終わらせて薬作りに取り掛かろう」

 「う、うん、わかった」

 「クリムゾンも手伝ってくれる?獣人姿になってくれるかな」

 「お、おう、いいぞ」


 クリムゾンはボンっと獣人姿に変わると、ローズと一緒に作業を始めた。


 「上手くいっただろ?」

 「メルクリウスさんお見事です」

 「私も手伝おう。皆でやれば早く終わるさ」

 「ありがとうございます」


 私達はほぼ無言で作業を進め、仕分け、洗浄、乾燥まで終わらせた。

 場所を製薬工房に移しいよいよ薬作りを始める。


 

 「あら?そういえばティムは何処かしら?」

 「ソファーで寝てたぞ」

 「寝てたの?そう‥‥‥まだ疲れているのね」

 「ティムはまだ小さいからね。そういえば、ケルピーのロータスはどうしたんだい?」

 「ロータスは水魔の湖に行っています」

 「湖に?」

 「なんでも、仕事の引き継ぎをしてくるそうです。ロータスって城の警備のお仕事をしていたみたいですよ」

 「ふぅーんそうか、引き継ぎはちゃんとしないといけないからね」

 「ですよね」

 「俺、少し休みたい‥‥‥。ティムと一緒に寝る」

 「疲れちゃった?いいわよ、休んで」

 「うん。‥‥‥メルクリウス様すみません、失礼します」

 「お疲れ様。ゆっくりするといい」

 「ノト、すまないな」

 「ううん、大丈夫。ここまでありがとう」


 -----ボンっ。


 クリムゾンはケット・シーの姿に戻ると居間へ向かった。

 窓際のソファーで寝ているティムの隣に潜り込むと、一緒に寝始めた。

 椅子に座って本を読んでいたベリルは2人を見ると笑顔を浮かべ、また本に視線を移した。


 

 製薬工房では、次々に薬が出来上がっていった。

 痛み止めの薬、咳の薬、お腹の薬、塗り薬、よく使われる薬を作っていく。


 「ねぇノト、美容液は作らないの?」

 「美容液か‥‥‥それは今度ね。必要としているお客さんは限られているから、生活に必要な薬から作っていくよ。あともう少しだから、頑張ろう」

 「わかった」


 更に薬が出来上がっていく。


 「そろそろいいんじゃないかな?」

 「はい、メルクリウスさんありがとうございます。ローズもお疲れ様」

 「うん、皆さんお疲れ様でした。たくさん出来たわね」

 「そうだね。暫くは大丈夫だね。‥‥‥今日はこの辺で終わりにしましょう。居間でお茶にしませんか?」

 「そうだね」

 「賛成」


 私達は地下の工房から1階の居間へと向かった。

 ティムとクリムゾンはまだソファーで寝ている。


 そっとテーブルに着くとノトがお茶とお菓子を持ってきた。

 皆で暫しお茶とお菓子を楽しむ。

 お父様がおもむろに口を開いた。


 「ノト、まだ体力は残ってるかい?」

 「旦那様、急にどうしたんです?」

 「出来上がった薬の幾らかをナズナ村に届けてもらおうかと思ってね」

 「ナズナ村に?」

 「小さな村だったからね。きっと助かると思うよ。此処やホンベルクまで薬を買いに行くのは大変だ。勿論、明日でも明後日でも構わないけれどね。どうかな?」

 「旦那様‥‥‥大丈夫です。このあと、ナズナ村まで行ってきます」

 「そうするといい」

 「早速、持っていく薬の用意をしてきます」


 ノトは明るい表情で席を立つと、工房へと行った。


 「ベリル様、お優しいですね」

 「なんのことかな」

 


 「‥‥‥‥‥ん?いい匂い‥‥‥お菓子だ!ティム起きろ」

 「んーーまだ眠い‥‥‥」

 「俺は行くぞ」

 「うん、いいよ」


 クリムゾンはソファーから飛び降りるとテーブルまで走ってきた。

 

 「自分もいいですか?」

 「ははは、クリムゾン遠慮しなくていいよ。席に着いて食べるといい」

 「はいっ」

 「お茶を入れてくるわね」

 「ローズありがとう」


 クリムゾンは嬉しそうにお菓子を頬張った。


 ローズがお茶を入れて居間に戻って来たのと同時にノトが荷物を抱えてやって来た。


 

 「旦那様、メルクリウスさん、ローズ、クリムゾン、行ってきます」

 「箒を使うとはいえ、気を付けて行くんだよ」

 「はい」

 「暗くなる前には戻るようにね」

 「そうします」

 「ノト、行ってらっしゃい」

 「うん、行ってくるよ」

 「モゴ、モゴモゴモゴ」

 「クリムゾン、ゆっくり食べて」


 ノトは笑いながら手を振って、部屋を出て行った。

 

 クリムゾンは口をモグモグさせながら手を振る。

 私はノトの後を追い外へ出た。


 「気を付けてね~」


 箒に跨がり宙に浮かぶノトに手を振った。

 

 「うん」


 ノトはスピードをあげ飛んで行き、あっという間に姿は見えなくなった。


 ‥‥‥‥‥ユゥナさんに会えるのが嬉しいみたいね。こっちまで嬉しくなるわね。


 私もついつい笑顔になり、軽い足取りで部屋に戻った。


 

 

読んでくださり、ありがとうございます✨

PV、評価、ブックマーク、大変励みになっております!

皆さんに良いことがありますように✨

 :*(〃∇〃人)*:

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