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水晶の城へ

見つけてくださり、ありがとうございます✨


 午前は、ノトは製薬工房で道具類の準備や薬草の確認を、私とティムとクリムゾンは薬草図鑑を読んで復習を、お父様はのんびり読書、メルクリウスさんは何処かにお出かけしていた。

 

 「メルクリウスさんは何処に行ったのかしらね?」

 「さぁなぁ‥‥‥あっ、ちょうど帰って来たぜ」

 「本当だ、お姉ちゃん、メルクリウス様が帰ってきたよ」

 

 「ただいま戻りました」

 「お帰りなさい。メルクリウスさんは何処に行っていたの?」

 「ふふふ、ちょっと買い物」

 「買い物?何を?」

 「皆の衣装だよ」

 「衣装?どうして?」

 「せっかくベリル様の城へ行くんだろう?お洒落してもいいんじゃないかな?」

 「お洒落‥‥‥素敵ね」

 「あの‥‥‥僕達もですか?」

 「勿論、全員分あるよ。お昼を食べたら皆で着替えようね」

 「ありがとうございます、メルクリウスさん!」

 「「 ありがとうございます 」」

 「城にはたくさんの使用人がいるからね、気後れしないように衣装を調えるのも大事だよ」

 「使用人がたくさんいるんですか?」

 「あぁ、いろいろ楽しいよ、きっと」

 「楽しみ~~。ね?ティム、クリムゾン」

 「うん!」

 「おれも楽しみ!」

 


 * * 昼食後 * *



 私達はメルクリウスさんが用意した衣装に着替えて、居間に集まっていた。


 「これは何処の国の衣装なの?」


 メルクリウスさんが用意した衣装は、今までローゼリアで見たことの無いデザインだった。とてもシンプルでヒラヒラとしていて、妖精さんっぽい‥‥‥かしら。男女とも同じヒラヒラとしている。


 「これはね、北の大陸のだよ」

 「北の?」

 「そう、北の大陸の身分の高い者達が着ているかな。なかなかに優雅でいいだろう?」

 「確かにとても優雅ね」


 くるりと回ると、裾や袖がふわりと広がって、とても優雅に見える。

 男女共にヒラヒラ系で、少女趣味というか、私好みというか、とにかくテンションがあがる。


 「皆、支度は出来たのかな?」


 おぉ~お父様も素敵。

 ノトもメルクリウスさんも、おとぎ話に出てきそう。

 ティムとクリムゾンもいい感じ。

 ‥‥‥皆、美形だわね。


 「さて、そろそろ行こうか」

 「あの、お父様、どうやって行くんですか?まさか、箒?」

 「箒?違うよ?‥‥‥さぁ皆此方に集まって」

 「?」


 私達はお父様の周りに集まった。


 「此処から水魔の湖まで転移して行くからね。離れていたら置いていくよ」

 「転移?」

 「そう、皆で行くよ」

 「おぉ~転移か」

 「ドキドキするね」


 私はティムとクリムゾンにぴったりとくっつきながら、左手はお父様の袖を握った。


 「心配しなくても大丈夫だよ。一瞬だから」

 「‥‥‥はい」


 お父様は笑いながらそう言うけれど、転移なんて初めてだから恐いわよ。


 お父様がなにやら唱えると、足元に魔方陣が広がり光を発した。


 「おぉ~床が光った」

 「わぁ~」

 「これって、転移の魔方陣?」

 「そうだよ」


 足元から光が徐々に上に上がってくる。

 一瞬グラッと揺れ、視界がぼやけた。

 ぼやけたと思ったら、すぐに視界ははっきりとしてきた。

 目の前にはキラキラとした水面が眩しい、美しい湖が広がっていた。


 「さぁ着いたよ。目の前は水魔の湖だ」

 「湖?‥‥‥城の中じゃなくて湖の前?」

 「せっかくだから、此処から行こうかなと思って」


 「そうですね、正式な手順で行きましょう」

 「正式な?」

 「見ていれば分かるよ」


 メルクリウスさんやノトは知ってるみたい。

 私達3人、ティムとクリムゾンと私は首を傾げてしまった。


 お父様が湖に近付き声をかける。


 「我はべリル。水の竜王にして水晶の城の主。我が城への道を此処に示せ」


 -----ザザザザァ---


 湖の中から透明な道が現れた。

 ガラス?氷?それとも水晶?

 透明な道は湖面の上を真っ直ぐと島まで続いていた。

 道には等間隔に衛兵が並んでいる。


 ‥‥‥あれって‥‥‥種族は何だろうか。

 顔や背中は魚っぽいけれど、手足や身体は人っぽい。 

 ‥‥‥魚人?‥‥でいいのかな?

 各々、槍を手にしている。

 あっ! よく見ると、上半身は人っぽくて下半身が魚っぽい人もいる。こちらは人魚?なのかな?

 いかにも水の住人って感じね。

 ん?? 透明な道を向こうから誰かが来る。

 緑色の馬? が音も無く此方にやって来る。

 ええ?何で馬?


 「ケルピーが来ましたね」

 「ノト、あれはケルピーなの?」

 「そうだよ、水の中に住み、近付く者を水の中に引きずり込む恐ろしい魔物だけど、此処では城を護る頼もしい護衛だよ」

 「そうなの‥‥‥怒らせると恐そうね」

 「ローズ、普通にしていれば大丈夫だよ」

 「お父様、聴いていたんですか」

 「そろそろ迎えの馬車も来るよ」

 「迎え?」

 「ほら」


 お父様が指差す方を見ると、緑色のケルピーの後ろから、2頭の水色のケルピーに引かれた白い馬車がやって来るのが見えた。音も無く静かだ。

 何故だろうとケルピー達の足下を見ると、透明な道の上には静かに水が流れていた。

 その水の上を、ケルピーも馬車も滑るように走っているのだ。

 さすが水棲の魔物と言ったところなのかな。

 水が流れる道の上で馬車は向きを変えた。



 「ベリル様、お待ちしておりました。ウンディーネ様が今か今かと待っておられますよ」


 「やぁケルピー、久しぶりだね。皆を宜しくたのむよ」


 「勿論でございます。さぁ皆様、馬車へどうぞ」


 その言葉と同時に、馬車の扉が開いた。

 まずはお父様が乗り込む。

 次に乗るよう言われるが、水が流れる中でドレスの裾を濡らしてしまいそうで躊躇してしまった。


 「ローズどうしたの?」

 「メルクリウスさん、あの‥‥‥裾が濡れてしまいそうで‥‥‥」

 「あぁ、大丈夫。この水は濡れないよ。水の上を歩けるから」

 「え?水の上を?」

 「さぁ手を」


 そう言うと、メルクリウスさんは私の手を取って馬車までエスコートしてくれた。


 「ありがとうございます」

 「どういたしまして。さぁ君達も此方へ」


 続けてノト、ティム、クリムゾンも馬車に乗り込むと最後にメルクリウスさんが乗り込んだ。


 「皆乗りましたよ、ケルピー」


 「メルクリウス殿、忝ない。では城へ参ります」


 馬車はゆっくりと音も無く動き出した。滑るようにすーーっと道を行く。

 振動も無くて、本当に静かだわ。


 ノトとメルクリウスさんは普通にしているけど、ティムとクリムゾンは緊張した面持ちで静かに座っている。

 どうしよう、私も緊張してきた。


 気をまぎらわす為に窓からそっと外を覗いてみた。


 透明な道に居る衛兵とは別に、湖の中にも大きな影が見える。湖面から顔を出して此方を見ている。


 ‥‥‥‥‥うぉ~~見られてる。


 慌てて顔を中に引っ込めた。


 「どうしたの?」

 「お父様、湖にもたくさん居ますよ。あれも衛兵ですか?」

 「そうだね。久しぶりの帰城だから、皆集まって来たんだろうね。気にしなくていいよ。それよりもそろそろ城が見えてくる筈だよ」


 もう1度窓から顔を出し、前方を見ると、大きく透明な山?いや、巻き貝の様な形の建物が見えてきた。

 あれが水晶の城?

 確かに透明で綺麗だ。

 本物の水晶で出来ているのかしら?

 水晶の中に住めるの?

 滑らないかしらね。


 そんなことを考えている間にどんどん城が近付いてくる。


 結構大きい。


 城の正面の広場をぐるりと回り、馬車は止まった。


 「さぁ皆様。お降りくださいませ。水晶の城でございます」


 緑色のケルピーの声が聴こえた。


 



読んでくださり、ありがとうございます✨

PV、評価、ブックマーク、励みになっております!感謝です!

皆さんに良いことがありますように✨

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