猫の獣人
見つけてくださり、ありがとうございます✨
私は野菜たっぷりの夕食を食べながら、ノトに訊いてみた。
「ねぇノト、もう着ない服ってある?」
「あるけど、どうしたの?まさか、ローズが着るの?」
「私じゃあないわ。クリムゾンよ」
「え?クリムゾン?‥‥‥いやあのさ、サイズが全然違うよ?」
「今の猫の姿じゃあないの。獣人姿の時よ」
「獣人?クリムゾンが?」
「ほぉ‥‥‥クリムゾンは獣人の姿になれるのかい?」
「はい、ベリル様、ノト。自分は、兄達の様に半人化は出来ませんが、何故か獣人化は出来るのです」
「大したものじゃないか」
「ありがとうございます。獣人の姿はここ、ローゼリアではとても助かるのですが、ケット・シーの中では猫騎士は半人化の姿でという習慣がありまして‥‥‥その‥‥‥だから自分は猫騎士見習いのままでありました」
クリムゾンは椅子の上で立ち上がると、深く頭を下げて続けた。
「黙っていて申し訳ありませんでした!!」
皆が呆気にとられている中、お父様だけは微笑みながらクリムゾンを見つめて優しく言った。
「そんなことを気にしていたのかい?些細な事だよ。君自身が言っていたように此処では獣人姿の方が目立たないから、護衛騎士としては問題ないよ。時と場合により、猫の姿になればバッチリだ。最高じゃないか」
「最高ですか?」
「あぁそうだよ。猫の姿であれば、女性しか入れないような場所や狭い場所も難なく入れるだろう?」
「はい、それはもう勿論」
クリムゾンが身を乗りだし、お父様の方を見る。瞳はキラキラと輝いて顔は嬉しそうだ。
「ではこのまま姫の護衛を続けて宜しいのですか?」
「勿論さ」
「あ、ありがとうございます!!」
クリムゾンは勢い良く頭を下げた。
それを見ていたノトは遠慮がちにクリムゾンに声をかけた。
「ねぇクリムゾン、その、獣人姿を見せてもらえるのかな?」
「勿論。いつでもいいぜ。服さえあれば問題ない」
「食事の片付けが終わったら服を探してくるから、見せてもらっていい?」
「おぅ!」
こうして皆の前でクリムゾンが獣人化する事になった。
◇ ◇
「はい、これが小さくなって着れなくなった僕の服」
ノトはクリムゾンに綺麗にたたまれた服を渡した。
「ありがとう、ノト。助かる」
クリムゾンは服を受け取ると、嬉しそうに身に付けた。当然それはブカブカで可笑しな姿に見えたが、クリムゾンの顔は真剣だ。
「じゃあ、いきます! 変化魔法《 獣人化 》」
-----ぼぼんっ!!
軽く光ると、すぐに光は消えた。
クリムゾンが居た場所には、見知らぬ少年が立っていた。
ノトが渡した服を着て、明るい茶色の髪は柔らかげに揺れ、頭の上には茶色のピンとした耳、整ってはいるものの生意気そうな顔つき、琥珀色の瞳、ピョコピョコと左右に動く茶色のしましま尻尾。
年の頃は12-13才くらいだろうか。
何処から見ても猫獣人の少年だった。
「凄いね!クリムゾン。僕の村の子ども達と変わらないよ」
「うんうん、凄いわよ」
「びっくりだねぇ~」
「見事だね、クリムゾン」
皆が感心して声をかけた。
「なんか、照れるな。こんなに褒められたこと無いしな、えへへ」
「クリムゾン、これからもいろんな姿でローズの護衛を頼むよ」
「はい、ベリル様。頑張ります!」
獣人クリムゾンの笑顔はとっても可愛らしかった。
皆が笑顔でクリムゾンを見つめる中、思い出した様にお父様が話し出した。
「そうそう、明日は満月だよ。魔の森にまた採集に行くよ。以前話した通り、城に寄ってから魔の森に行くからね」
「「「 おぉ~~~ 」」」
「旦那様、何時頃行きますか?」
「昼食の後でいいだろう」
「わかりました」
「さぁ明日の為に今夜は早く休むんだよ」
「「「 はーい 」」」
* * 翌日 * *
-----コケーッコケーッ‥‥‥。
-----ガバッ。
「おはよう~」
「朝だ~起きるぞ」
「おはよう~」
私達は支度を済ますと下へ降りて行った。
クリムゾンは早々獣人の姿になっている。
いよいよ今日は城へ行く日。
そして夜は満月の魔の森へ。
「「「 おはようございます 」」」
「やぁおはよう、ローズ。ティムと‥‥‥クリムゾンでいいのかな?」
「メルクリウスさん、どうして?」
下の居間では、メルクリウスさんがニコニコしてお茶を飲んでいた。
「昨夜遅くにベリル様に呼ばれてね。そのまま泊まったんだよ」
「そうだったんですか。あの、今日は一緒に城と魔の森へは行くんですか?」
「あぁ、そのつもりだよ。宜しくね。それにしてもクリムゾンは本当に獣人の姿なんだね。ベリル様から聴いてはいたけれど、驚いた」
「メルクリウス様、この姿でも宜しくお願い致します!」
「ははは、宜しくね」
「皆、揃っていたんだね。おはよう」
「お父様おはようございます」
「「「 おはようございます 」」」
「さぁ皆、席に着こう。もうすぐ朝食だ」
お父様がそう言った時、ちょうどノトが朝食の乗ったワゴンを押してきた。
「ローズ、もうひとつのワゴンを押してきて」
「了解」
私は急いで台所に向かいワゴンを押してきた。
朝食、午前の仕事、昼食が終われば後はいよいよ城へ出発。
今からドキドキワクワクしてきちゃう。
だって、水の竜王の《 水晶の城 》よ。
どんなところなのか楽しみでしょう?
私は騒ぎたい気持ちを抑えて、すました顔で食事をしていた。
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