落ち込むノト
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「あの、旦那様、その‥‥‥」
「どうしたんだい?」
「すみません!いろいろありました!」
そう言うとノトは立ち上がり、頭を下げた。
「えぇっと、まぁ座りなさい。そして落ち着きなさい。何があったんだい?」
ノトは話し出した。薬草採集の事、ローズがいなくなった事、ゴブリンの事、冒険者や警備隊に助けられた事、メルクリウスにも助けられ且つ世話になった事、冒険者をこの家に招きお礼をした事‥‥‥。
ベリルは最後まで静かに聴いていた。
「そうか、大変だったねノト。無事で良かったよ。それにローズが世話になったようだね、ありがとう」
「旦那様、そんな‥‥‥僕が薬草採集に行こうなんて言わなければ‥‥‥」
ノトは俯いてしまう。
「それは違うよ。ノトは何も悪くない。誰も悪くない。 そうだろう? たまたまそういう巡り合わせだっただけだよ」
「そう言っていただけると気が楽になります‥‥」
「そうよ、ノトは何も悪くないわ。悪いのは集団で出てきたゴブリンよ。森から出てきたのが悪いのよ」
息巻くローズに向かってベリルは静かに諭すように話した。
「‥‥‥確かにそうだが、彼らにも彼らなりの事情があったんだろう。仕方ない事だよ。 それよりも、ローズ、君は少し反省したほうがいいね。女の子を助けに向かったのは立派だとは思うが、攻撃魔法も満足に出来ないのに無謀だとは思わなかったかい?その結果ノトを危険な目に晒してしまったのだから」
「はい‥‥‥その通りです。ノト、ごめんなさい」
ノトは笑顔で「いいんだよ」と言った。
ベリルはローズとノトを見た後、メルクリウスに目を向けた。
「メルクリウス、2人が世話になったねありがとう。君が居てくれて助かったよ」
「いえいえ、礼はシルフ達にお願いします。彼女達が私に知らせてくれたから駆け付ける事が出来たんです。それに、なかなかに面白かったですよ。私1人では経験出来ない事ばかりです」
メルクリウスが笑いながら言った。
「シルフ達居るんだろう?」
メルクリウスの隣に、ひゅるひゅるひゅるっと小さな風の渦が起き、シルフ達が小さな美しい姿を現した。
「メルクリウスに知らせてくれてありがとうシルフ達。ローズとノトが無事だったのは君達のおかげだよ」
「ベリル様、お役に立てて私達も嬉しいです」
シルフ達は嬉しそうに、また誇らしそうに答えた。
「あっ、あれがシルフ。初めて見たよ」
「ノト、初めて見たの?」
「うん、僕は精霊や妖精を見る事は出来ないから」
「そうなの?急に見えるようになったの?」
「ふふ、私達、誰にでも見えるように姿を現す事も出来るのよ、ふふふふふ」
「そうなの、凄いわね」
シルフ達は嬉しそうに皆の周りを飛び回っている。
「さてと、最後にメルクリウスの話を訊こうか」
メルクリウスは頷くと、チラ、とローズとノトに視線を向けた後、ベリルを見据えて言った。
「畏まりました。このままお話しして宜しいですか?」
「あぁいいよ。この2人にも知っておいてもらったほうがいいだろうから」
◇ ◇ ◇
3人の若者達は上等な服を身に付け、歩きながら話していた。
「ドラゴ、何故ローズを連れて来なかったんだ?気に入っていただろう?」
「クラウス、私には婚約者がいるんだよ。何を言っているのかな?」
「じゃあ、妹にしたいとか何だかは?」
「‥‥‥‥‥ローズに訊いたのか?」
「まぁね」
「ドラゴには妹も弟もいるだろうに何を言っているんだ?」
「んーーハインツ、確かに私には可愛い妹と弟がいるよ。でもね、妹は近衛隊に所属し凛々しい姿で『兄上』と呼ぶし、弟は軍の諜報部に所属しクールな姿で『兄上』と呼ぶ。‥‥‥‥‥私は可愛らしく『お兄様』と呼ばれたい」
「呼んでもらえばいいじゃないか」
「呼んでくれると思うか?あの2人が」
「‥‥‥‥‥無いな」
「だろう?それに、あの2人ではちょっと違うんだよ、ちょっと」
「そうか‥‥‥‥‥まぁ、頑張れ」
「何を頑張るんだ?」
「諦めなければ叶うかもしれないだろ」
「叶うって‥‥‥‥‥‥‥そうだ、いい考えがある。我が弟とローズが婚姻関係になればいいんだよ」
「「弟と?」」
「そう、いい考えだろう?」
「無理強いはするなよ?」
「わかってるよ、もちろん」
ドラゴはにこにこ笑いながら、クラウスとハインツは肩を竦めながら城の中へと入って行った。
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