不穏な影は迫り(1)
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アリア嬢と庭園で話してから約2ヶ月が経とうとしていた。
今日は王宮の父様の執務室で資料を覚え、分からないことは質問する、ということをしている。
「父様、この時代の王族は1度滅びかけているとの記述がありますが、どうしてですか?」
今から500年ほど前の王族は急激に数が減少して、王位を継ぐ者があまりにも居らず、滅びかけたとの記述がある。
しかし、その前に戦争や天災、飢饉があったとの記述はない。その場合、何が王家を傾けた原因なのだろう。
「あぁ、それはね、"星の祝福"の暴走が理由だよ。当時の王太子が戦いに関する能力を持っていて、それが暴走して滅びかけているんだ。」
"星の祝福"は人の理を超えた能力を得ることも多いが、能力が暴走して周囲に危険が及ぶことがある。滅多に起こることではないけれど、ないとは言い切れないのが精霊の祝福というものだと言うべきか。
「なるほど。では父様、次は___、」
「失礼致します!グラファイス伯爵、そのご子息にお伝え申し上げます、陛下より、迅速に執務室に来られよ、とのことです!」
次の質問をしようとした時、焦って少し息が切れている官吏が入室してきた。
陛下が父様と僕を呼んでいる……、父様のみならまだ分かるけれど、実際の執務も行っていない僕が必要な要件など、余程の緊急事態なのだろうか。
「了解した。すぐに向かおう。」
父様が少し早足で陛下の執務室まで歩いていく。僕は置いていかれないように、かと言ってぶつかるほど近くなりすぎないように一定の距離を保ちながら後を追いかける。
こちらが急いでるのを察したのか、他の官吏達が端に寄ってくれたので軽く会釈しながら歩いておいた。
陛下の執務室の扉をノックし、誰何の声に答える。
「陛下、ただいま参りました。」
陛下は落ち着いたように見えるものの、その眉根には深い皺が寄っている。
「あぁ、カリスト、リシェード。よく来てくれた。」
陛下が父様の名前を呼ぶということは、私的なことか、他言無用なことだということ。これだけ険しい顔をしているのだから、恐らく後者だろう。
「あぁ、急用だと聞いたのだけれど。何か想定外の事態でも起きたのかい?」
「……本当に最悪の事態だ。そして、リシェードの能力を使ってもらいたく、2人ともだと指定して来てもらった。」
父様も名前呼びで何となく察したのか、丁寧で回りくどい口調ではなく、単刀直入に聞いていた。
最悪の事態、ってどういうことなのだろう。僕の能力が必要な時など、余程の真意が見抜けない相手の感情を見抜かないといけない時くらいしか無いのに。
「あともう1人……、シトリファーのご令嬢も呼んでいる。彼女は現時点で今回の問題についてかなり詳しい。」
ちょうどその時、ノックの音が聞こえる。
「陛下。アリア・シトリファー、御前に参上致しました。」




