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第八十四話 武蔵野合戦・小手指原合戦2

さて足利直義は武蔵国の小手指原に布陣していた。

ということで俺たちも近くに陣を張る。


此度の戦は新田義貞が高齢なので彼は鎌倉で待機してもらうとして新田義貞の息子の新田義宗と甥の脇屋義治が先陣を切ることになる。


戦ではいつも通り石火矢と火槍を使うことにする。京からの移動は馬で済ませ鎌倉から徒歩で目的地に向かった。


「新田義興、準備はできているか」

「これが最終決戦だ。気を抜くなよ」


義治と義宗が俺に話しかけてくる。彼らは新田の血縁だからか気安い関係だった。

これで喜助もいるから心強い。


「新田義興さま私も参戦させていただき嬉しい限りでございます」

「ああ俺もお前がいてくれて助かっている」


喜助には主に石火矢と火槍の管理をしてもらっている。派手さこそないがその堅実な働きぶりは感謝に値する。


「それにしても新田義興さまのお側に長いこと控えさせていただきました」

「お前ならきっとどこにいても成功したよ」


喜助には命を救われたことだってある。彼と今上帝のためにも足利直義討伐を果たさねば。


そして戦いは始まる。両軍合わせて二十万の兵士がぶつかり合う戦だ。

「行くぞ」

俺たちは石火矢を使って弓射兵を打ち倒していく。

戦の基本は弓矢だったので彼らが敵の主戦力となっていた。


そして槍の兵も現れる。槍はもっとも原始的な武器だがその使い勝手のよさから広く普及していた。

彼らにたいしては火槍を使って倒していく。


戦いは順調に進んでいった。

史実では一進一退の戦いを繰り広げていたらしいが今の俺たちの前では足利直義軍は敵ではなかった。

「ん?変わった軍団がいるな」

足利軍の第三陣を担っていたのは花を旗印にした軍団、花一揆だった。その司令官は齢十八の少年。饗庭氏直という名の少年は夢窓疎石の弟子でもあったらしい。

「噂に聞いた美少年の集団らしいが」

力の有無と美醜は関係ないと思うのだが足利軍も追い詰められているのだろう。

「まあ俺たちの敵じゃないか」

甲冑を花で飾り立ててとなかなか派手な格好をしていたが力の差は歴然としていた。彼らは武蔵七党の児玉党に追撃されて後退していった。


「義宗、敵の隙を狙って攻撃するんだぞ」

「ああ分かってる」

俺と義治の軍はほぼそばにいたが義宗は足利軍を猛追していた。

どうやら足利直義は全力で撤退しているらしい。

義宗は足利軍を最後まで追い詰めたが石浜までたどり着くと陣を笛吹峠に移し遊軍を待つことにした。


その間にも俺たちは義宗とはぐれてしまったが仁木兄弟と戦いをすることになった。

「某仁木頼章と申す」

「某仁木義長と申す」

一騎討ちではなく弓矢で戦う様子だった。それならばこちらも石火矢を使用して対応する。

「行け」

ドンッと低く響くおとがする。

それに対抗するように弓矢が大量に吹き荒れるが。

石火矢の威力は絶大だった。敵が敵うはずもなく。

「俺たちの勝利だ」

「そうだな義治」

かくして戦いは勝利を飾ることができた。

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