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付加魔法は自分のために  作者: 仙堂レイ
第二章:十人十色
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パーティー-6

「ほら、さっきの狼のデータも載ってるよ」

「やっぱり、何組かは挑んでるんだな」

「そして、ほとんどが全滅してるな」


 掲示板には、幾つかの撃破報告と全滅報告が載っていた。おそらく、書き込んでいない挑戦者も少なからずいるだろう。

 やはり、自分で戦闘して直接情報を得たい人や素材が欲しい人、戦闘狂に自信家なんかが多くいるようだ。というか、ゲームが好き、得意等と言うような輩はだいたいそんなものだと思う。


 しかし、撃破報告はほとんどなく、大方のプレイヤー達が返り討ちに遭っているようだ。そして、見事撃破したパーティーも幾名かの死に戻りや多大な犠牲を払っているようで、ソロプレイヤーに関しては全滅だそうだ。これは、ハヤトが特別強いのではなく、運営側のバランス調整の結果だろう。


「んで、出現条件は……」

「『ウルフを狩りまくる!』みたいだね」

「いや、確かにそうだろうけど大雑把過ぎねぇか?」


 かなり大雑把に纏められているが、確かにそれで合ってはいるだろうと思う。事実、撃破と全滅関係なくあの狼(ウルフリーダーと言う名前らしい)と戦闘するエリアに転送される直前まで、誰もがウルフを狩っていたそうだ。

 しかし、狩った数はバラバラで、数十匹くらいでボス戦になったり100体前後でもボス戦にならなかったという報告もある。あくまで自己報告なので全員が正しく数えて狩っていたのかは分からないが、さすがに2桁以上数え間違える奴はそうはいないだろう。


 スレッドでは、ウルフを倒した際に抽選がありそこで低乱数を引ければボス戦に移行するのではないかとの意見が多いみたいだな。各報告の討伐数があまりにもバラバラだし、何の前触れもなく特殊フィールドに移されるので特別な条件があるとはあまり思ってないようだ。


 しかし、俺は既にある1つの仮説を立てていた。掲示板をするすると流し読みしてそれらしい情報を集め、自分の中で仮説を確信へと変える。所詮、仮説は仮説でしかないのだが、それを自分が信じられないとネットに発言なんて出来ない。

 ネット弁慶は発言が特定されないから出来ること。キャラ名偽れないこの世界では、不特定多数にはなれないのだ。

 1人の、ミナトとしての発言となると、ハードルはとても高く思える。不特定多数でないと、責任を負わなければならないからだ。特に、この仮説のように多くの人を振り回す可能性がある発言は、それだけ重く考えてしまうのだ。


「かと言って、言わないと何も始まらないんだよな」


 思わず呟いてしまったが、結局はそうなのだ。行動せずして始まることはない。気付いたことは言うべきだ。それが間違っていたなら、その可能性が1つ潰れるだけのこと。条件が少しは解るのだから、確実に損ではないのだ。


 それに、折角ミナトとしてこの世界にいるのだ。ならば少しくらい現実の湊ではなく、ゲームのミナトになっても良いだろう。

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