ありがとうママン
どれくらい眠ったのだろうか、ママンさんが夕飯が出来たと起こしに来た。
「おはよう!よく寝られたかしら?」
「はい、まだ寝足りない気もします」
「素直でよろしいわ」
リビングはとても良い香りに包まれていた。
わざわざ豪勢な料理を用意していてくれたそうだ。
見た感じ人間が食べている物とそう対して変わりはしないが、やはり少しキラキラしている。
「まさか息子が人間と旅をするなんて……」
「いやぁ、照れるよママン」
「褒めてないと思いますよ」
普通なら見習い卒業後巣立っていくはずだが、オッサンは卒業出来なかった為、実家暮しを継続していたらしい。
父親の仕事を手伝ったりしていたので、最悪このまま生きていけば、と思っていた矢先、天精界からカエル探しの通達があったらしい。
「パピンにも会って欲しかったんだけど……」
「お父さんは1週間出稼ぎに行ったわ、あんた帰ってきたらうるさいしって」
妖精も人間も家族の関係性は同じなようだ。
私もこの旅が終わったら実家に顔出すくらいはしようかな。
「明日朝から行くんでしょ?少しだけど日持ちする食料用意しておいたからね」
「さすがママン、気が利くぅ」
「ありがとうございます、助かります」
夕飯が終わり、片付けを手伝おうとしたのだが、妖精は家事とか面倒な事はパパっと魔法使っちゃうから大丈夫よと言われた。羨ましい。
少しでも他の界や妖精、カエルについてを聞きたかったのだが、いつの間にか睡魔に負けてしまっていた。
朝になり、出発の時間が訪れた。
ママンさんが用意してくれた物をリュックに詰める。何故か横でオッサンが棒立ちでこちらを見ている。
「あの、荷物は?」
「え?そのリュック持ってんじゃん」
「いや、私のじゃなくて」
「2人分はいるでしょ?」
なにナチュラルに私が荷物持ちな前提で話進めているのか。親の顔が見たい。
チラッとオッサンの母親を見た。
見た目は20前半に見えるが、実年齢はいくつなのだろう、息子がオッサンな辺りかなりの熟女には違いないのだろうけど。
「あっ、そういえば……」
「どしたの」
「パパーンちゃんはいないんですか?」
オッサンのペットなら同じ家にいるはず、でも姿を見ていない。あんなに存在感あるのに。
「パパーンならお父さんの方に行ってるはずよ」
「そうなんですね……」
「飼い主は僕だけどね」
まぁ飼い主これなら普通に父親を選ぶだろうと言うのは、父親に会ったことがなくてもわかる気がする。
「人間さん、息子をよろしくね」
「えっ、はい」
「妖精によっては差別したりするようなのもいるから、気を付けるのよ」
「はい、お世話になりました」
妖精も差別とかするんだな。完全平和主義なイメージがあったのに。
所詮私の知識はフィクションだったという訳だ。




