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オッサンフェアリーと私  作者: さむぺん
第1章 妖精界
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多発するドス

 そんなことよりオッサンどこに消えたんだ?

 いや、私が今地上にいないことに意識を向けるべきか。

 毎度の事ながら同時多発する異常な展開に頭はまだ適応出来ていない。


 一旦降りられる所まで降りよう。

 降りる途中に見たあの花は何故かとても不気味に見えた気がした。


 一番低い枝まで降りてはみたけど、下から手を伸ばした時は案外近くに感じたのに高い。普通に怖い。

 オッサンを木に登らせたら良かった。時を巻き戻す事とか出来ないのかな。


「おい誰や!」


 突然響くドスの効いた声。お前こそ誰や、そして何故関西弁なんだ。

 こうやって早々にツッコミどころが多い所までもが関西チックである。


「おるんはわかってるんや!さっさと出てきたら優しくしたるぞぉ」


 そういう脅すような事言う奴って大体そのつもりは無いよね。まだお互い姿は見えていない、有利なのは私の方か?


「ビビってんちゃうぞ!!!い、いるんだろ!」


 ん?これ、私の方が有利かも。

 枝を揺らしてみた。


「んひぇあ!?やややっぱいるだろ!!」


 やっぱり。ヘタレドス野郎だ。

 でもパニックになった相手が何してくるかわからないのは事実、慎重にやらなきゃ。


「あのー」

「は、はい!違っ、なんだぁ!?」

「どちらにいらっしゃいますか?私の所から姿が見えなくて」

「てめぇこそどこにおんねん!!おらぁ」


 見えてないけど、今足ガックガクなんじゃないかな。


「あの、見るからにデカい木があるじゃないですか」


 ここでふと思った事がある。

 私と相手の距離ってお互いが見えない程なのだろうか。

 木の上にいるとはいえ、1番下の枝まで降りてきた時点で葉に隠れるとか見上げないといけないような高さでは無い。飛び降りるにはちょっと怖い高さではあるけど。


「デカい木?そんなもんいっぱいあるやろが!」


 その中でもデカいのがあるだろうがと思いつつ声のする方を探す。

 木と木の間はそれなりに間隔があるのにその隙間には誰もいない…という事は相手も木の上に??

 いいや、本人に聞けば。と自分を取り戻す。大きく息を吸い込み叫んだ。


「そんな事よりあなたはどこにいるんて゛す゛か゛あ゛ぁぁ」


 声を張りすぎたのだろう。バランスを崩した私は背中からドスンと地面に叩きつけられた。

 結構ふかふかタイプの土なおかげで痛みはそこまで無いのが救いだったかも。


「お、おい……大丈夫かよ」


 ドス声と共に目の前の木の幹からひょこっと顔を出したのは、20代前半くらいの爽やかな青年だった。

 今のところ生首にしか見えないけど、まぁ彼も妖精なのだろう。

 ドス声は寝転ぶ私を覗き込むように見つめるが、体はピッタリ幹から離れる様子はなかった。


「大丈夫です。結構ふかふかの地面でした」

「いや、でもあんた……腕が……」

「腕?別に痛みとかは無いけど」


 状況が理解出来ず、とりあえず起き上がろうとついた左腕が崩れる。

 なんとも言えない気持ち悪い感覚に包まれた左腕を天に掲げた。


「どす黒い色してるやんけ……」


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