安直なネーミングセンス
確実に折れている色をした腕。
指名手配犯の私がこの世界で使える保険とかあるかな。
「それ、痛くないんか」
ドス声が恐る恐る口を開いた。
「痛くないんですよね。なんでかわからないですけど」
「うーん」
木から落ちた時も一瞬も痛いとは感じなかった。
いくらふかふかの土でも流石に高い所から落ちれば痛みは感じるはずだ。
「もしかしてアンタ、登っとったんはこの木か?」
ドス声はさっきまで私が登っていた木を指さす。
見た事のない花が咲き乱れている木。
「はい、この木の上から周りを見渡そうと」
ドス声はまるで海外アニメかのようにアチャーと言わんばかりのアクションをした。
「下にいた妖精は連れか?」
「認めたくはないんですけど連れです」
やっぱりな、と言いたそうな顔でこちらを見つめているドス声はいきなり誰かに電話をし始めた。
「おい!その妖精は部外者っぽい!!あぁ?なんか意味のわかんねぇ事をほざいてる?」
あぁ、そいつシラフでもそれなんですよね。
むしろふざけたこと言ってない時の方が異常みたいな。
「とりあえずさっきんとこに戻ってこい!」
ドス声は電話を切りこちらを見つめてきた。
そもそもスマホみたいなのって妖精界にあるんだ。
「あの、それってスマホですか?」
「スマホ?いや……無線やけど」
まさかの無線。今後それスマホになるやつですね。
もしかして妖精界の文明自体は人間よりはるか昔だったりするのかな?
まぁ今はそんな規模がでかい話はどうでもいいんだけど。
まず今起こっている状況の把握からしないと、さっきオッサンを誘拐した車の運転手とドス声は仲間。
多分この花に危害加えようとしてると勘違いされたのか。
少し前に聞いた轟音がまた聞こえた。
結構大きい車じゃん!乗せてってくれたりしないかな。車の窓が開く。
その瞬間汚らしい泣き声のような音声が聞こえた。
「助けてくださいよぉ、このオッサンやかましくてやかましくて……」
「僕ちん何もしてないのにぇぇぇぇぇぁぇぇぇぁぅ」
「ずっとこの調子なんすよぉ、ラリってるにしても程がありますってぇ」
運転していた金髪の妖精は頭を抱えていた。
すみませんうちのオッサンが……というのも癪だけど。
「いやぁそれが話聞いた感じ無関係臭いんや」
「え!?じゃあシラフでこれすかぁ?」
「シラフでそれです……」
「変な薬も何もしてないのにぃぃぃぃぃぁぁぃぃぃ」
金髪もドス声もかなりドン引きした様子でオッサンを見つめていた。
「じゃあなんでこんなとこにいたんすかぁ?紛らわしいっすよぉ」
「あ、そうや。この女の子怪我してて!パツ、手当したって」
金髪の妖精だからパツなのか?
あまりにも安直だけどそんなもんなのかな。
手当って事は医療的な仕事とかなのかな、気になる事が多すぎて腕の怪我のことなんて全く忘れていた。
「仕方ないっすねぇ、乗ってください姐さん」
何故か極道チックなあだ名が付きました。




