指名手配犯、捕まる。
妖精マダムの言った通り、少し歩いた先にホテルがあった。
2階建ての横長な建物。ざっと20部屋はありそうだ。
「アパートみたいですね」
「なんとこれ、ホテルなんです!」
「存じ上げてます」
外にある看板を見る。
1泊2500F……2500円って事なのかな。
「2500……Fって人間界のいくらですか?」
「5000円」
「予想の2倍でした」
「ちなみにさっきの妖精は5000Fくれたよん」
という事は半分はお金が残るって事か。
良かった、食料とか買う余裕はありそうだ。
入口付近で中の様子を伺う。
中の妖精は暇そうにテレビを見ている様子。
「ニュース見てますね」
「脅す?殴って気絶とか?」
「これ以上犯罪を犯すと本気で捕まります」
「確かにぃー!」
しかし埒が明かない。
このままここにいても展開は無い。
行くか、諦めるかを決めないと。
「受付してきてください」
「なんで僕ぅー?やだぁ」
「人間が行ったら通報されますもん、私だってあなたに任せるの嫌ですよ」
「はぁー?行ってもらう立場でその言い方ー?」
まぁ目立つ度で言うと、正直私もオッサンもほぼ同じだけど。
私が妖精に見えるように出来ないのかな。
「妖精の服着たら私も妖精みたいになれますかね?」
「は?何頭メルヘンなこと言ってんの」
どの口が言うのか、完全なブーメランである。
「その羽根とかって体から生えてるんですかやっぱり」
「当たり前じゃん、服から生えてたらコスプレじゃん」
やはりそうだよな。そうなると私にはどうしようも無い気がする。
やはりここはオッサンが頑張るしかない。
顔さえ隠せばきっとバレる事は無いはずだ。
「うーん、どうすれば」
「さっきからどしたの、言動ヤバめぞ?」
「若者ぶってるそっちの方か気持ち悪いです」
「はーぁ?若者ぶってないし!失礼だなあたまメルヘン女!」
「そもそも頭メルヘンってなんですか!アンタこそ奇行しかしない底辺妖精の癖に!」
オッサンがシュンとしてしまった。
さすがに言い過ぎたか。
しかし柄にもなく怒ってしまった。
これも余裕が無いからなのかもしれない。
「君達」
「はい?」
不意に声を掛けられ、振り返る。
目の前に出された妖精マークの付いた手帳。
「妖精警察です。署まで同行してください」
「えっと、拒否権は……」
「ありません」




