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オッサンフェアリーと私  作者: さむぺん
第1章 妖精界
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妖精って結構冷酷ですね

 ひたすら何も無い大通りを歩き続けた。

 オッサンも疲れているのか話しかけてこない。

 今自分たちがどの辺を歩いているのか、どれくらい歩けばトンネルに着くのかもわからない。


「今どの辺なのかってわからないですよね」

「地図無いもん、わかんないよ」

「500年前のならありますけど」


 少し前を歩くオッサンの足が止まる。


「どうしたんですか?」

「疲れた」

「そんな事言われても……」

「もう夕方じゃん、今晩どうするの」


 疲れているせいかあからさまに不機嫌なオッサン。子供か。

 しかし日が暮れてきているのは事実だ。宿を探さなければならない。

 見える範囲に宿どころか民家すらないのだけど。


「この辺何も無さすぎて、このままじゃ野宿です」

「嫌だけど」

「じゃあ泊まれそうな所が見つかるまで歩くしかないです」

「それも嫌だけど」


 じゃあどうしろと言うのか。

 端の方を歩いているとはいえ、都会と言われている妖精界。それなりに栄えているのかと思っていたが、違ったようだ。

 私も野宿はしたくない。

 オッサンが座り込んだ。


「ちょっと汚いですよ」

「もう歩けないもん」

「みっともないですよ」

「なんとでも言え!」


 子育てはこんなに大変なのか、ふとそう思った。コイツはオッサンだけど。


「わかりました。じゃあ私は先に進むので」

「好きにしろっ」

「なんなら他の妖精に声掛けて人間界帰りますからね」

「……」


 オッサンが立ち上がる。折れるの早いな。

 私は少しオッサンが可哀想になり、リュックからママンさんに貰ったバームクーヘンを取り出した。


「これでも食べて頑張ってください」

「水分無いのにコレはチョイス悪いよね」


 文句を言いつつバームクーヘンを食べたオッサンは、少し元気が出たようだ。

 大通りはまだまだ続いているが、しばらくは歩いてくれそうだ。

 また少し歩くと、T字路に辿り着いた。


「右と左、どっちに行きますか?」

「十字路ならまっすぐ行くのにねー」


 確かに真っ直ぐ歩いてきていきなりT字路なのは、周りの環境的に不自然な気もしなくはない。このまま十字路に出来そうな感じだし。

 道を外れても構わないのなら、直進で進むのも選択肢としてはアリだ。


「この感じだと直進出来そうですよね」

「決められた道を歩くだけが人生じゃないよね」


 オッサンは道を外れ、直進した。

 今までは周りは森だったが、T字路から先は草原に近い状態に手入れがされているようだ。

 もしかしたら自然公園みたいな形の場所なのかも。小屋とかがあればラッキーだ。


「どんだけ歩いても草じゃん!」

「手入れはされてるみたいですし、何かありそうなんですけどね」

「無いじゃん!無いと意味ないじゃん!」


 それはそうだ。

 さすがに疲れたので、足を止めて周りを見渡す。


「なんかフワフワした動物が見えますけど」

「ほんとだー!」

「パパーンちゃんの仲間的なやつですか?」

「フッ、全然違うし」


 動物への興味より遥かにオッサンへの苛立ちが勝っている。


「あれはジンギスだね、家畜羊」

「どストレートですね」

「毛は服に、体は食料になる為の存在」

「辛辣……」


 妖精界では羊をジンギスと呼ぶらしい。

 食べる為の存在だからって料理名が名称になったらしい。普通に可哀想。

 パステルパープルユニコーンとかメルヘンチックな名前付いてるのもいるのに。

 妖精って思ったより冷酷な種族なのかも。


「家畜羊がいるってことは、ここ入ったらダメだったのでは?」

「確実にそうと言えるね!野生では存在しない種の羊だし!」


 また不法侵入という訳か。


「ここから出ましょう」

「良いけど出口どこ?」

「わかりませんけど、直進はやめましょう」

「ジンギスの方行く?」

「反対方向にしましょう」


 家畜泥棒なんかと間違われると面倒だ。

 早足で右方向に進む。


「家畜飼育するなら柵くらい付けておいて欲しいですね」

「ジンギス賢いからね、葉っぱが無い所は行かないの」


 だからT字路だった訳か。手入れされているように見えたのも、家畜羊が食べていたからだと言われると納得がいく。


「もっと早くジンギス見つけてたらねー」

「確かにそうですね」

「まぁこれも人生経験さっ!」

「そんな大した出来事では無いですけど」


 何とか草原から抜ける事が出来た。

 途中何匹か家畜羊に遭遇はしたが、オッサンが近付くとすぐ逃げた為、トラブルは回避出来た。


「あそこ!小屋みたいなのあるよ!」

「結構大きいので普通に妖精が住んでそうですね」

「もう暗くなっちゃうし、交渉しよ!」

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