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劔が煌く夜に  作者: 中村中
終章。
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真実と真相。

ーとある研究施設の一室ー


パソコンディスプレイが四台と、それぞれに繋がる人よりもはるかに大きな箱がある。


ただの箱ではない、これこそがこれらのパソコンの本体なのである。


縦230cm、横190cm、奥行き90cmのデカい箱が四つもあるのだ。


この部屋の中央部にはこれまた大きなモニターがあり、先ほど実親とルシフェルが闘いを繰り広げていた場所が映し出されている。


「ようやく解決したみたいですね、良かった。」


大型モニターの前に立っている白衣の研究員が言う。


「そうだね。しかし私の子たちはみんな優秀だ。」


同じく大型モニターの前に立っている痩せ型の、恐らくここの研究リーダーであろう者が答える。


「ところで花田君くん、この事件の事の発端は何だったろうか。」


「あれ、先生聞いてなかったんですか?」


「徹夜続きでね、その日は寝坊してしまったんだ。だから聞けてない。」


「わかりました。」



この研究室には研究リーダー指導のもと完成した大型コンピュータ4台がある。


それぞれの名をゼウス、ルシフェル、バァル、ジークフリートという。


これらはただ一つの機能に特化した今までにないタイプのプログラムが詰め込まれている。


ゼウスには[データベース]を。

全ての情報を記録し、引き出すという機能。


ルシフェルには[情報処理]を。

どんな複雑なプログラムでも瞬間的に実行する機能。


バァルには[式構築]を。

どんなものもコンピュータ上で実行できるプログラムにする機能。


ジークフリートには[ウイルス対策]を。

例えどんなウイルスであろうと感染から守る機能。


この四つのコンピュータは互いに繋がっており、互いに互いを補い合っている。


ゼウスが情報を引き出し、バァルが実行式を構築、ルシフェルが式を実行、といった具合である。


このコンピュータは世界でもかなり高い評価を受け、賞賛されている。


それ故にクラッキングを仕掛けてくる者が後を絶たない。


互換関係にあることは周知の事実であるため、一台でもウイルスに感染したりハックされてしまうとたちまち他にも影響が出る。


それらのような被害からコンピュータたちを守るため、ジークフリートがファイヤーウォールを担当する。


その上コンピュータたちは人工知能をも埋め込まれており、たいへん高度な技術が用いられている。


人工知能が暮らしていくために、ということで仮想空間までもプログラムとして作り上げた。


完璧なはずのジークフリートの機能であったが完成してしばらくののち、あるバグのような小さな綻びが発覚する。


実際の彼は龍を狩り、その返り血を全身に浴びて無敵の身体を手に入れたがある一点、背中の一部に葉っぱがへばりついていたためその部分だけは龍の血を浴びられず生身の身体のままであったという。


その事実を知るのは彼の身内の者のみであった。


コンピュータのジークフリートの綻びとはまさにこれであった。


弱点がないはずであるジークフリートに弱点があるということ。


外側からの攻撃(クラッキングやウイルスなど)にはめっぽう強いが、内側からの攻撃には対応しきれないというものであった。


その点を補正するためにプログラムが構築された。


それが[プログラム補善プログラム]、通称プログラムAである。


実行後は跡形もなく自然消滅するはずであったそれは何物かによって吸収されてしまった。


後にこれが大倉実親となる。


実親の元となったモノは、プログラムAが補正を行っている最中にアプローチを仕掛けたため補正が中途半端に終わってしまい、コンピュータが混乱してしまった。


コンピュータが混乱した結果、あるはずのないプログラムが構築されてしまい仮想空間の書き換えが急遽行われてしまったのだ。


これが地球震が起こった真相である。



「といういきさつだったのです。」


「悪性プログラムはAに隠れて侵入したのだろう。てことは私たちの身内の誰かの犯行、という線しか残らんな。」


「残るも何も、完璧なジークフリートがやられるのは内側からしかないと常々仰っていたではないですか。」


「そうだっけか。」


「そうですよ先生。」



悪性プログラムは大倉実親としての人格を得、更にはプログラムAの特性を自分の物にした。


プログラム書き換え能力である。


実親と触れ合っていたルシフェル、バァル、ゼウス、ロキを除く人間たちは皆実親がプログラムを無意識下で書き換え出現させた者であった。


ジークフリートという名を伏せさせロキと名乗らせたり、自分とロキを入れ違いに実体化させるプログラムは恐らく、実親が「この方が面白い」と考えていたからなど色々言われてはいるが実際の理由は本人に聞かないとわからない。


確認しようにも本人はもういないため、事実は闇に葬り去られてしまった。


オーディンやその他の正規コンピュータ側陣営に出てきていた者たちは三台の連携で生み出した援軍のようなものだとルシフェルたちは言う。


また、実親が無尽蔵に様々な技を発動できていたのはやはりプログラム書き換え能力の恩恵であったと言える。



「さーて、誰が私の子にちょっかいを出してくれたのかな?」


「先生、目が笑ってません怖いです。」


「でも、まぁ結果オーライではあるよね。」


「ジークフリートのプログラム修正が一応終わったからですか。」


実親の消滅後、ジークフリートのプログラムは修正され、今度こそプログラムAは消え去った。


もちろん実親の残して行った仮想空間への傷跡はまだ修復途中である。


徐々にではあるがジークフリートの管理下にある仮想空間に明るさが戻ってきている。


「問題は解決されたけど、いつどこでどんな綻びが発覚するかわからないよね。いくら完璧とのたまっていたとしてもそれが事実である保証はないもんね。」


「ええまあそうでしょうね。」


「にしても僕に見つからずにあんなプログラムを突っ込まれるとは思ってもみなかったよ。そいつはさぞかし優秀なんだろうな。うーん、誰なんだろう、お礼を言いたいものだ。」


「先生にはなかなかない経験をさせてくれましたからね。犯人の方はお礼を言われて困惑するでしょうけど。」


「今後は気を抜けないね。」


「今までは気を抜いてたんですか。」


「言葉の綾だよ花田くん。にしてもキミも言うようになったじゃないか。」


「いえそんなつもりはなかったんですが。」


「とにかく今後、警戒を怠らないようにね。」


「わかってますよ。」



先生、と呼ばれているこの人は世界で五本の指に入るほどの天才プログラマー“近藤 秀一”なのだ。


また、花田くんと呼ばれていた方は仮想空間内に出てきていた花田と同じスペックを持っていて、近藤の右腕とも言える存在なのである。


仮想空間内で出てきた他の研究員や登場人物は皆、ここの研究室の研究員であることは言うまでもない。


ただし、春日井美嗣と佐々木輝々だけはまったくの空想人物だった。

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