第三話 花蟷螂様(はなかまきりさま)
場所を移し、此処は天上都。
天下街とは違い、清浄で雅な空気漂う都である。極楽に近いという事もあり、仏教的な建物や何某かの社、鳥居など、人間があの世との繋がりを求め、創造する様な建造物が建ち並ぶ。
人間がそうである様に、妖や神にもまた其々(それぞれ)に気質や性格があり、悪事を働く者もあれば善良な者もあり、激しく荒ぶる者もあればこじんまりと穏やかに日々の生活を営む者もいる。そして、これまた人間がそうである様に、妖力や神力の大きさによって、彼等にも位が存在する。人が恐れれば恐れるほど妖力や神力は増し、位は高くなる。人ならざる者達の力の大きさ、即ち位の高さを決めるのは、どれだけ恐怖や畏怖の対象となっているのか、と云う事に比例するのである。
都の往来に雅な姿をした者達の行き来が見えるのは、この都が、位の高い妖や高貴な神々の住まう土地だからかも知れない。
しかし、この様な雅で平穏に見える都も、しばしば天変地異に見舞われる。その原因は、此処に住まうものなら誰もが知っており畏怖している、とある神の仕業である。
ふと遠くから、祭囃子の音が聞こえてくる。目をやると、まるで人間の花魁道中か大名行列のような一行が、此方へ近づいて来るのが見える。
煌びやかな召し物は、まるで大輪の花が咲いたかの如く、
高らかな太鼓や笛の音は、蟲達の合唱の様だ。
それらに加えて、物騒な金属音を立てる、武器の数々。
そう彼等は、花蟷螂の神の一行である。
自由奔放な神々の中でも、ひときわ気まぐれで、
荒々しい事で名高い。
花蟷螂の神はたいそう豪奢な姿をしており、蝶の様に可憐で気高く、蟷螂の様に獰猛で気まぐれだ。花蟷螂の神のご機嫌一つ、匙加減一つで、戦という宴が幕を開ける。
さあ、今日は誰がその刃の餌食になるのか。
修羅の神、花蟷螂様のご機嫌は、今日も麗しい。
※この物語は、シンガーソングライターである筆者のオリジナル曲を小説化したものです。
↓元になったオリジナル曲はこちら↓
花蟷螂様/四月一日 青【オリジナル】
https://youtu.be/EDCzsKzjwnE?si=7DHBkTZO6Sc7-kbW




