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「あと、ブロッサムを発行するときに魔力測定を行うのだが、基準値以上だと最初から上位のブロッサムを発行されることがあるんだ。通常はシグで発行されるが、クエストの難易度もあるからな。それに見合ったクエストを選ばないと、本来選ぶべき人間に仕事が行かなくなってしまうから、もともと能力が高いのであればそれにあったクエストを選べ、ということだ。ユリシアは魔力量はマスター以上だがまだ魔法に慣れていないから、プル辺りになるんじゃないか?」
「プルだと三番目だね。クエストはどんなものがあるの?」
「シグやリトは、探し物を手伝ったり何かを修理したり薬草採取など、比較的魔力が低かったり戦うことに慣れていなくてもできるものが多いな。プルから魔物退治や魔物の素材回収が出てくるから、戦う能力が問われることになる。だからシグとリトのブロッサム向けに戦闘講座や訓練が行われるのだが、ユリシアにはリラとソラも居るし、問題ないだろう。」
この世界に来てから、リラとソラに色々教えてもらったし、魔法を使えるように練習もした。戦闘訓練もしてもらっているし、確かにシグからスタートする人たちよりかは進んでいるのかもしれない。
戦闘講座とかは職業訓練みたいなものなのかな。
『ねぇね、身分証も大事だけど、物の価値とか地理についても教わらないといけないんじゃない?この世界の常識は、私たちだと教えづらいから特に何も言ってなかったんだけど。アスターもそういうの、まだ教えていないでしょ。』
「あ。」
「そう言えば、そう言うことは教えていなかったな。」
うん、それめちゃくちゃ大事なことだね。
取り敢えず魔法の訓練だったり戦う術だったり、兎に角生きる術を身につける方が先だったし、イルリスの森にいる間はアスター以外の人間に遭遇しなかったから、そう言う常識とか知らなくても問題無かったし。
『僕たちは人間の生活とかよくわからないもんね。』
ソラの言う通りだね。アスターがいるから最悪私は言葉を覚えるまで喋らなくても良いし、時間の進み方とかお金とか、そう言う一般常識も覚えないといけないよね。
「そうだな。お金の使い方は、ブロッサム発行の手続きをしたら、待っている間に村の散策をしながら教えよう。」
「分かった、ありがとう。」
『私も側にいて通訳するね。ねぇねは地球にいた頃のものと結びつけながら覚えた方がいいと思う。』
「そうだね。リラもありがとう。」
「もう今日は遅い。明日また色々教えよう。」
「うん。」
この世界の住人がいる場所を初めて見て回ることになる。気疲れもするだろうし、早めに休もう。