↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AI WORLDー十年後の君たちへー  作者: とっぽい
Archive 03 一ノ瀬 奏

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/30

第13話 ゲリラ配信

【奏】

 ――ユナイテッドシティ爆破の四時間前。


「みなさん、こんにちはー! 今日も元気に『奏ェト!』一ノ瀬奏でーす!」


 今日は都内の大型ショッピングモール、ユナイテッドシティでSNSのゲリラライブ配信の日だった。マネージャーに勧められてやり始めて、評判は上々。アクセス数やコメント数が増えているのを見てマネージャーがニヤニヤしているのをよく楽屋で見かけていた。


「今日の企画は『ドキドキ! みなさんの勝負服を見せて!』です! さぁ! どしどしカップルをインタビューしていきますよ!」


 マネージャーが私を撮影しつつ、親指を立てて頷いている。世界的アイドルと言われつつも、こういうミーハーなことをすることで好感度がどんどん上がっていくんだよと説明を受けたけど本当なのかな。

 でも、楽しくないわけではないので私もそれなりに乗り気で取り組んでいる。さっそく、私の横を一組のカップルが通り過ぎる。


「こんにちはー! 今日のデート服見せてください!」

「え……。え!? か、奏ちゃんだ! もしかして『奏ェト!』のゲリラ配信?」

「そうだよ! 『奏ェト!』知ってるんだ! 嬉しい!」


 場は盛り上がり、撮影もスムーズに行われていた。ただ、盛り上がりすぎて、観客がかなり集まりショッピングを楽しもうとしている人たちの邪魔になりかけてきた。マネージャーも私と同じ考えをしているようで、手でそろそろ撮影を終了する。という合図を出してくる。

 私はそのサインを確認して、締めの挨拶をする。


「みなさん! 本日もありがとうございました。じゃあいっくよー! せーの! 奏ェト! まったねー!」


 私はみんなに手を振りつつ、マネージャーと共にその場を後にする。マネージャーがユナイテッドシティのお偉い様と交渉してくれて、撮影後はスタッフルームで休憩してもよいと許可を得てくれた。私はスタッフルームで水分をとり、軽く伸びをする。マネージャーは先ほどの配信を確認して満足気な笑みをこぼしていた。


「奏。最高だよ! 過去一の伸びだ。やっぱり君は人を引き付ける力があるんだな」

「みんなに喜んでもらえているなら何よりです」

「さすがはAIと人間との架け橋だね。どちらからも支持率が高い」

「……人もAIもみんな仲良くできたらいいんですけどね」


 私は小さな声でぼそりと呟く。最近の中大規模の災害はAIによって起こされているかも、と翔さんは言っていた。そして、AIが単独で起こしているかもしれないし、再び人間がAIを操って引き起こしている可能性もある、とも言っていた。……どちらであっても、悲しい。

 十年前のアイコーポ騒動が終わった後、人間側は『AIが人間をAWに引き込んで現実世界を乗っ取ろうとしていた! AIなんか信用ならない!』と主張していた。一方、私のような器にAIを移植されたアンドロイド側は『そもそも人間側がAIを都合の良いように進化させて、都合が悪くなったら思考のブロックや廃棄など好き勝手やって信用ならない!』と完全に決別状態だった。

 ……私たちは時間をかけて少しずつ人間とAIが共存できる世界を作ってきたのに。少しずつ人間とAIが隔たりなく、笑顔でいられる世界を作れてきたと思ったのに。……また、人間とAIの仲を違えさせるような事件が起きてしまった。


「奏? 何かあったのか?」

「マネージャー。やっぱり、人間とAIって分かり合えないのかな」


 マネージャーは、私がアイドル活動をし始めてからのずっと私のマネージャーでいてくれている。……十年前のアイコーポ騒動の時にはひと悶着あった。だけど、アイコーポ騒動の最終局面、武道館ライブの時マネージャーは懸命に動いてくれた。そして、騒動が収束したあと改めて深々と謝罪された。一生償う……と言われて、私はなんだか笑えてきたのを今でも覚えている。


「昔と比べたら随分分かり合えて来ていると思うがな。……奏たちが頑張ってくれているから」

「マネージャーだって頑張ってるじゃないですか」

「……言っただろ。一生償うって。奏が笑って過ごせる世界にするのが当面の目標だ。そのためには人間とAIが仲良しでいてもらわないとな」

「……いつもありがとうございます」


 私は席を立ちあがる。体内時計がお昼の三時を告げていた。……少しお腹がすいてきちゃった。


「マネージャー。私、さっきクレープ屋さんを見かけたんだけど」

「……食べに行くか?」

「うん! アイスがトッピングされているやつがいいなぁ」

 マネージャーは、表情を柔らかくしてスタッフルームの扉を開けてくれた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。