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14話 高ぶる

 会議と言えるのか分からないがよく分からない話し合いが終わった後にバーチェが近付いてきた。

 なのでとりあえず話してみることにした。


「父様!この私アインは、アイム様にも依頼されなかった魔王の討伐を依頼されてしまいました!これは父君の素晴らしいスパルタ教育の賜物でございます!私が家を追放されたのも子に冒険をさせるためだったのですね!」


 煽っておく。

 顔を真っ赤にしてプルプルと拳を震わせていた。

 ざまぁみろ。

 更にもういっちょ。


「私は今回の魔王討伐で更にベルトリーチェの家名を上げてみましょう!あっ!今はベルトリーチェではなかった!この白魔道士の私がベルトリーチェの名を騙るなんておこがましいですね!」

「貴様………」

「悔しいなぁ?悔しなぁ?あれだけバカにしてきた白魔道士の雑魚に、必死に愛をこめて育てた天才剣士様(笑)が無様に床舐めさせられたもんな?」


 手を振りあげようとしたバーチェの手を掴むシド王。


「聞き覚えがある名前だと思ったらお前はベルトリーチェの子だったのか」

「今はベルトリーチェではないがな」


 そう答えておく。


「何があったのかは知らないがここで喧嘩はしないでくれ。特に先に暴力を行使しようとしたバーチェ。貴様を裁くことになるぞ?」

「………申し訳ございません」


 頭を下げるバーチェ。


「最弱の白魔道士に負けた魔法剣士は王城にいらないってよバーチェ。お前はアイム共々追放だ」


 あの時に言われた言葉を返しておく。


「お前たちの間に本当に何があったんだ?」


 シドの疑問に答えておくことにしよう。


「俺は神託の儀式で白魔道士の適性がある事が分かった。それをバーチェに伝えたら『やだっ!私の息子白魔道士で要らなさすぎ!』って言われて家から追放された。それでその時に俺は言ってやったんだよ。俺を追放したこと後悔するなよって」


 案の定これだ。

 ざまぁない。


「これで煽るなとか言わないでくれよ?俺は今最高にハイテンションなんだからな。おいバーチェ。気分を聞かせてくれ。今どんな気持ち?ねぇねぇ、今どんな気持ち?」


 顔を真っ赤にして黙り込んでしまったバーチェ。

 笑いが止まらなくなってきた。


「ねぇねぇ、聞いてる?あ、効いてるよね。ごめんごめん」


 笑いながら言ってやるのがポイントだ。

 いやぁこんなに愉快なことがあるだろうか。


「それとよ。アイムの傷治してやったの俺だぜ?命の恩人に暴力振る前にやることがあんだろ?」


 胸を刺し貫かれてかなりやばそうな状態のアイムを完全に回復させたのはこの俺だ。


「………あ、ありがとうございました」


 怒りを感じさせる様子で頭を下げるバーチェ。


「伝わらないなぁ君の気持ち。土下座だろ?命を救ってやったんだぞ?」

「………誠にありがとうございました」


 言われた通り地に頭を擦り付ける男。


「無様だな。もういいよ。それより見苦しいから俺の前から失せてくれお前は俺の前から追放してやる」


 あの時にされたことをそのままやり返す。


「俺は優しいからこれからも顔を見せることは許してやるぞ。お前とは違ってな」


 ゲラゲラ笑いながら部屋から追い出す。

 ふぅ、スッキリした。


「という訳で俺はそろそろ帰るよ」


 シドに向かってそう口にする。

 ふむ。面倒くさいが魔王討伐となるとそれなりの準備が必要だろう。


「分かった。途中経過を報告してもらえるとありがたい」


 シドのその言葉を聞いて俺は王城を出ることにした。




「という訳だ。魔王を討伐してくれと頼まれた」

「え?」

「魔王をですか?」

「いきなりですわね」


 宿に帰った俺は早速シオン達に全部話すことにした3人も流石に驚いたような反応をした。

 それも当然だろう。

 いきなり魔王の討伐なのだから。


「だがのんびりしてくれてもいいと言われている」


 つまりだな。


「俺は急ぐつもりは無い。それが1年後になるか2年後になるかは分からないということだ」


 あまり長引くと怒られるかもしれないがそれはその時に考えればいい話だ。


「なので俺はとりあえず第2の四天王を倒すことにするぞ」

「つまり魔王は討伐するつもりなんですか?」


 よく分からなさそうな顔をするシェリー。


「いや、魔王までは倒すかわからない。俺には夢がある。そしてその夢のためには四天王を倒したくらいの実績が必要なのだ」

「どのような夢なのですわ?」


 俺はまだ話していないから誰も知らないのは不思議なことではない。


「ふっ、聞きたいか?」

「聞きたいかも」


 シオンにもそう言われたので答えることにしよう。


「それはだな。俺は白魔道士を最高職にしたいと思っている」

「白魔道士を最高職に、ですか?」

「あぁ。俺は白魔道士を最高職にしたい」


 それは前世からの夢でもあった。


「だって自分の職が産廃だの何だのと言われては嫌だろう?」


 誰だって嫌ではないだろうか。


「それはそうだね」


 シオンも頷いている。


「だが今の白魔道士の序列はみんなも知っての通り最下位。だが、この最下位が四天王を倒せばどうだ?番狂わせが起きるはずだ。そして俺はいずれ白魔道士を最高職にしてみせる」


 そう宣言した。


「そして弟子を取るのだ。弟子を取りアイン様!素敵!と言われたい」

「私がいるのですわ!ダーリンは素敵ですわ!」


 そう言ってくれるレイナだが違うのだ。


「もっと大勢に言われたいのだ。ということで四天王は倒す。そのための準備というこうか。具体的なことに関してはお前たちに任せるぞ」


 ということで今日のところはこれでお開きだ。

 さて、俺も準備しなくてはな。












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