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第一章19 「ロワイとリゼ」

目が覚めた俺は、白昼夢のような戦いの痕跡を前に、惨状を思い出す。魔力的な感じか喪失感を感じるが、体は何故か元気だった。胸を背後から貫かれた傷も嘘のように治癒している。しかし、その装備の欠損した痕跡が夢では無いと語りかけてきた。

胸の前で自然と拳を握りしめていた。リゼを失った悲しみが募るが、生きている。

周囲を見渡すとバンドルリングに格納されていたリゼのアイテムが散乱しており、一際目につく黄色い魔石が鼓動を打っているように感じた。

リゼの魔石……、いや勇者の魔石か。さしずめリゼハート。人間もダンジョンで死ぬと魔石になるのか……?そんな話聞いたことすらないが。

取り上げた拳よりも小さな魔石を見て、ふと、何かができる気がした、だが、何かが足りていない。そんな感じがする。傍らに落ちているサイクルビルドのボスの魔石。明らかにサイズの大きなそいつを持ち上げて、俺のできる気が確信に変わった。

だってそれは、誰よりも尚更のことリゼを理解したから。

だってそれは、誰よりもリゼを喰らったからーーー。

「ビルド:リゼ」

サイクルビルドの魔石から膨大な魔力が俺を通じてリゼハートに流れていく。その傍らで土石流の如き勢いで、川がその川べりを削るように魔力の奔流に合わせて俺の中から何かがすり減っていくのを感じた。

だが、それは恐らく俺の中にあるリゼその物だ。

擦り切れて、擦り切れて、そして、俺の意思がまた朦朧としてくる。

だが、ここで気を失うわけにはいかない。

気合いを入れ直して、魔力の流れと俺の中のリゼと向き合う。

普通これほど大量の魔力をスキルに流し込むと因子が焼ききれてスキルを失ってしまうが、関係ない

出会ってからの思い出のような走馬灯を観るように、次から次へと流れ続ける。

そのどれもこれもでリゼは笑顔だ。膨れっ面でも、怒っていても、ふざけていても、最後は笑顔でどれもこれも大切な瞬間を過ごしてきた。

俺の手にあるリゼハートの輝きが徐々に強くなる。

強い輝きに意識が持っていかれそうになり、もうダメだと思った瞬間に一際大きく輝き、その輝きが薄まった頃には、横たわっていた。リゼが。綺麗なままの姿で。

俺はさっきまで気絶する寸前まで消耗していたが、そんなことは吹き飛んでしまった。

リゼが薄目を開けてこちらをぼんやりと眺める。

そして、俺の顔に手を伸ばしてこう言うのだ。

「なんて顔、してるのよ」

「目覚めて最初がそれかよ……」

ボソリと呟いたリゼに、俺は感極まりリゼを抱きしめた。

「……っあ、ん、生きていて、よかった……」

頬を伝う何かは感動の証。

外套を取り出し、リゼにかけてやると、俺はリゼを抱き抱えてダンジョンを後にした。

お疲れ様でした。

一応これで当初予定していた分は完結となります。

2章も鋭意執筆中ですので、いずれ公開できるかと


ここまでお付き合いいただきありがとうございました

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