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改訂版 アニマルな君たちは今日も戦う  作者: しゅうらい
第5.5章 小休止編(2)
92/92

92 葛藤

「アニマは敵……」

「ちっ、やっぱり解りあえねぇのか?」

「全員、彼女から目を離すな!」

「サラさん、やめて!」

 レンの指示に、アニマたちはサラを睨みつける。

 ハルは慌てるばかりで、必死にサラに呼びかけた。

 だが、サラはライフル銃を向けたままである。

「おいおい、まさかここで撃つんじゃないだろうね」

 薫は苦笑し、ハルたちとサラを交互に見つめた。

 すると、俯いていたサラの口が、重く開いた。

「違う……」

 小さく呟かれて出たのは、否定の言葉だった。

 不思議に思ったハルは、首を傾げる。

「サラさん?」

「アニマは、敵じゃない……協力するべき相手……」

 サラは言葉をつづけ、体を震わせる。

「アニマは敵、倒すべき相手。違う、彼らは人間に害をなす者ではない……」

「一体、どうなっているの?」

「彼女は今、葛藤しているんだよ」

 サラの様子に、ハルは戸惑っていた。

 そのハルの肩を叩き、薫はサラから目を離さずにいた。

 やがて、震えが止まり、サラは目線を上げた。

「ハルさんたちと交流して、彼女の中で、なにかが変化したみたいだね」

「変化、ですか?」

 頷いていた薫を見つめ、ハルはまた首を傾げた。

「彼らと、争う必要はない」

 そこまで言うと、サラはライフル銃を下ろした。

 機械音が響き、普通の両手に切り替える。

 そして、深々と頭を下げた。

「……大変失礼いたしました」

「本当に、あの時のサラさんなの?」

「えぇ、アニマは敵でないことを、私は知りました」

「よしっ、プログラムの移行は成功した!」

 喜びの声を上げたのは、薫だった。

 そしてハルに近づき、優しく肩に手を置いた。

「しかし、驚いたな。あの事故でも、彼女のメモリーは破損しなかったんだから」

「はい。あっ、でも……」

 薫の言葉に、ハルは喜んだ。

 しかし、あることが頭をよぎる。

「製作者の柊さんが、命令でもしたら……」

「それは、ご安心ください」

「えっ?」

 驚くハルを見つめ、サラはぎこちなく微笑む。

「他からのアクセスは、受信しないようにしていますので」

「それなら、暴走の心配はないね」

「また、俺たちを攻撃されたら、たまったもんじゃねぇよ」

「その心配は、無駄だと思いますが」

「でも、よかったぁー」

 安心したハルは、体の力が抜けた。

 そして、力なく床に座りこむ。

 すると、手を叩いた薫が、笑顔でハルを見つめる。

「そんなわけで、ハルさん」

「はい?」

 突然呼ばれ、ハルは声が裏返った。

 だが、薫の次の言葉で、その表情は驚きに変わる。

「彼女を、君の家に連れていってほしいんだ」

「えーっ!?」

「待て、薫。それはさすがに、無理があるんじゃないか?」

「そうですよ!」

 珍しくレンは、焦っていた。

 ハルも、ニュースを思いだし慌て始める。

「製造されたアンドロイドは、すべて処分するって言ってましたよね!」

「その場合見つかれば、ハルが捕まるんじゃないのか?」

 レンの言葉に、マサたちの視線は薫に集まった。

「それについては、大丈夫だろう」

 だが、薫は笑い、サラを指さした。

「見た目も違うし、一緒の方が都合がいいと思うんだが」

「いや、私だって、一緒にいられたらうれしいですけど……」

「それなら、問題ないだろう?」

「いえ、問題はございます」

 ハルが悩んでいると、サラは淡々と話し、マサたちを見つめる。

「アニマの方々は、どうなのでしょう」

 サラに見つめられ、アニマたちは顔を見合わせた。

「まぁ、最初は戦っていたが……」

「お嬢がいいなら、俺たちは構わない」

「私も、賛成です!」

「ハル、君はどうしたいんだい?」

「私は……」

 レンに問われ、ハルは言葉に詰まってしまう。

 しばらくして、ハルが口を開いた。

「私は、皆とサラさんが仲良くなったら、とてもうれしい」

「ハル……」

「いろいろあったけど、これからは仲間として一緒にいたい、です」

 言い終わると、ハルの顔がどんどん赤くなっていく。

 すると、サラがハルの手を、そっと握った。

「もし、許してもらえるのであれば、おそばにいることを、ご許可ください」

「そんなの、最初からしていますよ!」

 ハルもサラの手を握り、強く言い切った。

 そのことに、サラは微笑んだ。

「これからよろしくお願いします、マスター」

「マスターって、私のこと?」

 聞きなれない言葉に、ハルは数回瞬きをした。

 サラは頷き、マサたちを指さす。

「彼らの契約者なら、私の契約者でもあります」

「そっ、そういうものなの?」

「そういうものなのです」

「また、厄介な奴が増えたな」

「娘は、なんでも受け入れ過ぎではないか?」

「それが、ハルさんのいいところですよ、神の遣い様」

「確かにな」

 そして、マサたちはハルに駆け寄った。

 だが、あかりだけは近づけずにいた。

 アキナはそれに気づき、そっと近づく。

「あかりさん、あなたは行かないの?」

「いや、どんな顔をしていけばいいのか、わからないんだ」

「そんなの、『よかったね』でいいんじゃない?」

「そっ、そうなのか?」

 戸惑うあかりに、アキナは微笑んだ。

「大丈夫、少しずつで構わないから」

「あぁ、ありがとう!」

 あかりは頷き、ハルたちの元に歩いていった。

 談笑するハルたちを見つめ、薫とアキナは微笑んだ。

「いやぁ、よかったねハルさん。また家族が増えたじゃないか」

「はい!」

 ハルは、満面の笑みで頷いた。

 だが、彼女はまだ知らなかった。

 もうすぐ、究極の選択を迫られるということを……

ここまでお読みいただき、ありがとうございます!

この話で、「第5.5章 小休止編(2)」は完結となり、

あわせて第2部も、完結となりました。

応援してくださった方々、

ご感想を書いてくださった方々、

本当に、ありがとうございました!

第3部は、ただいまプロットを作成中ですので、

これからもアニマたちの物語を、よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
 まずは第2部の完結、お疲れ様でした!  サラさん良かった!  最初はな、生首でどうしようかと…(汗)  でも、これでハルちゃんのお家もまたにぎやかになりますね?  きっと、みんながいればどんな事にも…
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