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改訂版 アニマルな君たちは今日も戦う  作者: しゅうらい
第5.5章 小休止(2)
90/130

90 研究所では、お静かに!

 薫の留守番電話が入ってから、二週間後。

 ハルたちは、薫の研究所を訪れていた。

 ちなみにユミは、イグに買ってもらった服を着ていた。

「ユミちゃん、その服可愛いね!」

「ありがとうございます!」

「それにしても、薫さんの確認したいことってなんだろう……」

「わからないが、俺が気になるのは……」

 レンの目線は、ハルの腰の辺りを見ていた。

 そこには、ハルと手をつないでいる神の遣いがいたのだ。

「なぜ、神の遣いも連れてきたんだい?」

「それは、留守番してて、なにかされても嫌なので……」

「一緒にいた方が、安全だと話したじゃないですか」

「まぁ、そうなんだが……」

 歯切れの悪いレンに、ハルとユミは顔を見合わせる。

 すると、神の遣いがけだるそうな声を出した。

「我は別に、留守番していてもよかったのだぞ」

「ダメです!」

「むむむ……」

 ハルにキッパリと断られ、神の遣いは口をとがらせた。

 研究所に入ると、走ってくる人影が見えた。

「ハルーっ!」

「マサ!」

 走ってきたのは、マサだった。

 マサは、勢いよくハルに抱きつき、頬ずりをする。

「ちょっとマサ、くすぐったい!」

「別にいいじゃねぇか」

「あのねぇ……」

「それに、俺はハル成分が足りないから、もうちょっとだけ」

「人を栄養素みたいに言わないでよ!」

「はぁー、落ち着く……」

 のどを鳴らすマサに、ハルは苦笑した。

 やがて、満足した彼は、ハルから離れる。

 少し名残惜しかったハルだが、ふとマサの足を見つめた。

「そういえば、もう足の怪我は大丈夫なの?」

「あぁ、完全に治ったぜ。それよりも……」

 突然マサの声が低くなり、ハルは首を傾げる。

「どうしたの?」

「どうしたじゃねぇよ。なんで、見舞いに来ないんだ!」

「行ったじゃない、二、三回ぐらいだけど……」

「来るんだったら、毎日来てくれよ!」

「無茶言わないで。ここ、けっこう遠いんだよ?」

「そうだぞ、マサ」

 二人が言い合いをしていると、あかりがやってきた。

 そしてマサに近づき、小さく指さす。

「ハル姉ちゃんを困らせたら、ダメじゃないか」

「あかりさん、マサがなにか迷惑かけなかった?」

「それはないから、安心してくれ」

 あかりは手を振り、いたずらな笑みを浮かべる。

「あたしは、マサといられて楽しかったしな」

「俺は、母親に言われるみたいで、ウンザリしたぜ」

「こらっ、マサ、そんなこと言わないの!」

 ハルに怒られ、マサはそっぽを向いた。

 だが、あかりは気にすることなく大笑いをする。

「構わないさ。口うるさく言っていたのは、確かだからな」

「本当、うちのマサがごめんね」

「マサ、君はもう少し、彼女に感謝するべきだ」

 レンは、ハルとマサの間に割って入った。

 そして、冷たくマサを見下ろす。

 マサも負けじと強く睨みつけた。

「そういや、レン。俺がいない間、ハルにちょっかい出したんじゃないだろうな」

「さぁ、どうだろうね」

 レンはハルに振り向くと、優しく微笑んだ。

 突然の微笑みに、ハルは顔を赤らめる。

 二人の関係を察し、マサはしっぽの毛を逆立てた。

「やっぱり、なにかしたんだな!」

「君には、関係ないだろう」

「そんなことねぇよ、だって俺たちはなぁ!」

「ちょっとマサ、落ち着いて!」

「こいつに食ってかかっても、あんたに勝ち目はないだろ」

 マサとレンは、火花を散らすように睨み合う。

 そんな中、ハルは焦り、あかりは呆れていた。

「これは三角……いえ、四角関係でしょうか」

「ユミ、ワクワクするんじゃない」

「お主らは、本当に面倒だな」

 ハルたちの騒ぎに、ユミは楽しげだった。

 それに、イグと神の遣いは呆れていた。

 すると、ひとつ咳払いが聞こえた。

 全員が振り向くと、アキナとユキが立っていたのだ。

「今のは、ユキがしたのか?」

「いっ、いえ、俺ではなく……」

「私がしたんですよ」

 アキナの返事に、ハルは隣のユキを見つめる。

 ユキはというと、顔を引きつらせていた。

「お楽しみのところ、すみませんが……」

 アキナは、満面の笑みを浮かべる。

 だが、明らかに怒っていた。

「そろそろ、薫さんの所に行きましょうか」

「はい……」

 これ以上、怒らせてはいけない。

 そう、ハルたちは思ったのだった。

★★★

「薫さん、ハルさんたちを連れてきました」

「ありがとう、アキナ君。おや?」

 作業の手を止めた薫は、ハルたちの様子に首を傾げる。

「なんだか大人しいけど、どうかしたのかい?」

「いえ……気にしないでください」

「まぁ、いいか」

 ハルは、苦笑しながら手を振った。

 アキナに目をやったが、薫は深く追及しないことにした。

 そして、研究室の奥を指さす。

「すまないが、これを見てほしい」

「えっ……」

 奥を凝視したハルは、机に置いてある物に目が釘付けになる。

 そこにあったのは……

「なっ、なんで、サラさんの頭がここに?」

 ハルは、震える手で口を押さえた。

 他のアニマたちも、言葉が出なかった。

 机の上には、すすだらけのサラの頭部があったのだ。

 しかし、サラの目は閉じていた。

 それはまるで、眠っているようだった。

 薫はハルたちの様子に、小さく頷く。

「その反応から見て、彼女は君たちと戦ったアンドロイドだね」

「はい……」

「でも、彼女はあの廃工場で……」

 ハルたちは、廃工場での出来事を思いだす。

 サラと協力して、アニマたちを助けたこと。

 そして、命がけで、マサを助けてくれたことを……

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― 新着の感想 ―
薫の指定通りにやってきたハルちゃん達。 あ、やっぱりマサはレン達と喧嘩しちゃったぞww アキナにも呆れられてそうだよね。 あっ、サラの頭?? 届いた箱はそれだったのかな?
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