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改訂版 アニマルな君たちは今日も戦う  作者: しゅうらい
第5章 vsアンドロイド編
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81 狼も懐いたようです

「マイたちは、一体どこに……」

 周りを見渡しても、マイたちの姿はどこにもなかった。

 あかりは、周囲を警戒しながら歩いていく。

 すると、ある痕跡を見つけた。

「これは……」

 その頃、全力を出し切った大型アニマは、肩で息をしていた。

 そして、ゆっくりと地面に座りこむ。

「みんな、お疲れ様。ゆっくり休んで」

 ハルは大型アニマに近づき、体を優しく叩いた。

 大型アニマは静かに振り向き、そっとひとさし指で、ハルの頭を撫でる。

 その行為に、ハルも微笑んだ。

「おい、ちょっと来てくれ!」

 すると、遠くからあかりがハルを呼んだ。

 それに気づいたハルは、もう一度大型アニマの体を叩く。

「みんなは、ここで待ってて。すぐ戻ってくるから」

 そう言って、ハルはあかりの所に行った。

「あかりさん、どうしたんですか?」

「ここを見てくれ」

「これは、タイヤの跡?」

 あかりに言われ、ハルは指さされた地面を見つめた。

 そこには、はっきりとではないが、タイヤの跡があったのだ。

「どうやら、吹き飛ばされる前に、用意していた車で逃げたらしい」

「もしかして、追うつもりですか?」

「いいや……」

 ハルの問いに、あかりは首を横に振る。

 そして、マイたちの逃走した方を見つめた。

 その表情は、とても切なげだった。

「あいつらとは、また会うことになるだろうから、今は追わないよ」

「そうですか……」

「あんたが、心配することじゃないよ。さぁ、戻ろうか」

 あかりは微笑み、振り返って歩きだす。

 ハルもおいていかれないように、小走りでついていった。

 大型アニマの所に戻ると、あかりは首を傾げた。

「しかし、この大型アニマは、ずっとこのままなのか?」

「えっと、もう少ししたら戻れると思うんですけど……」

 ハルが苦笑していると、大型アニマが光りだした。

 そして分裂し、小さな光の球になっていく。

 やがて、光の球はマサたちの姿に戻っていった。

「ふぅー、なんとか止めることができたぜ」

「さすがに疲れましたぞ……」

「ところでハルさん、力が増した時言っていたことって……」

 突然のユミの発言に、ハルとマサの体がビクッとはねた。

「そっ、それはえっと……」

「ユミ、お嬢たちを困らせるな」

 ハルは動揺してしまい、言葉に詰まってしまう。

 だが、ハルの気持ちを察したイグが、ユミの頭を優しく叩いた。

 それに安心したハルは、バレないように胸を撫でおろす。

 マサも自身を落ち着かせるように、そっと息をはいた。

 すると、氷の壁が消滅し、アキナと猿渡が近づいてきた。

「よかった、皆さん無事ですね!」

「アキナちゃんが、氷の壁を作ってくれたおかげだよ」

「そんな、私はただ……」

「アキナのお姉さん、すごいんだよ!」

 アキナが戸惑っていると、猿渡がハルの手を掴む。

「皆の力になりたいって、いろいろ特訓していたんだよ」

「そういえば、戦いの時も、似たようなこと言っていたような……」

「私は、この力を制御したかっただけです。猿渡君だって、頑張っていたでしょ?」

「さぁちゃん、そうなの?」

「僕、いろいろ迷惑かけちゃったから、この力を使いこなしたくて……」

「そっか……」

 俯く猿渡の頭を、ハルは微笑んで撫でた。

「さぁちゃん、頑張ってえらいね!」

 ハルに褒められ、猿渡は照れくさくなり、また俯いた。

「お姉ちゃんに、褒められた……」

「なんだ、あんたはこの坊やの姉なのか?」

「いや、そういうわけではないんですけど……」

 ハルは否定したが、あかりはあごに手を当て、ハルと猿渡を交互に見つめた。

 そして、いたずらな笑みを浮かべる。

「よしっ、あたしもこれからは、あんたのことを『ハル姉ちゃん』と呼ぶことにするよ」

「なっ、なんでそうなるんですか?!」

「別に構わんだろ。それに、あたしに敬語はしなくていいぞ」

「よかったな、ハル。勝ち気な妹ができたぞ」

「マサ、からかわないで!」

 いたずらな笑みを浮かべるマサに、ハルは動揺して慌てだす。

 だが、突然眠気がきて、倒れそうになる。

「ハル!」

 マサは手を出そうとしたが、その前にレンが受けとめた。

「ハル、大丈夫か?」

「レンさん、すみません……なんだか、急に眠くて……」

「無理もない。昨日から徹夜だからな」

「じゃぁ、一旦研究所に戻りましょう」

「ねぇ、アキナちゃん」

「ハルさん、どうしたんですか?」

「この場所や、あのメイドさんたちはどうなるの?」

「朝になれば、他の研究員が来るので、その方たちに任せると思います」

「そうなんだ……」

 ハルはレンに抱えられながら、倒れているメイドたちを見つめた。

 そして、いまだ消火できていない、廃工場に視線を移す。

 頭によぎるのは、サラのことだった。

「サラさん……」

「ハル、君が心を痛めることはないよ」

「レンさん……」

「最後に、彼女とは助け合えたんだ。それだけで充分じゃないかな?」

 ハルが顔を上げると、レンは優しく微笑んでいた。

 そのことに、ハルも安心して微笑む。

 やがて、朝日が昇り、ハルたちを優しく照らすのだった。

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