↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
改訂版 アニマルな君たちは今日も戦う  作者: しゅうらい
第5.5章 小休止(2)
82/130

82 私たちの関係

 廃工場を出発したハルたちは、薫の研究所に向かっていた。

 車に揺られ、一時間ほどで到着。

 研究所の前では、薫が帰りを待っていた。

 車から降りたハルは、再会に喜びの声を上げる。

「薫さん、お久しぶりです!」

「おぉっ、ハルさんお帰り」

 軽く片手を上げ、薫はハルの後ろに視線を移す。

「皆も、無事だったようだね」

「はい、本当に助かりました」

 お礼を言うハルに、薫は優しく微笑む。

 そして、研究員たちに指示を始めた。

「怪我人や捕まっていた人は、今すぐ病院へ!」

「了解しました!」

「手の空いた者から、通常の業務に戻るように!」

 的確な薫の指示に、研究員たちは素早く動いた。

 それを見届けて、薫はハルたちに振り向く。

「君たちも疲れただろ。今日はここで休みなさい」

「ありがとうございます!」

「じゃぁ、早く部屋に行こうぜ」

「こら、マサはこっちだろ」

 ハルの手を引き、マサは中に入ろうとした。

 だが、あかりに腕を引っ張られる。

 そのため、危うくコケそうになった。

「おい、急に引っ張るんじゃねぇよ!」

「あぁ、すまない」

 マサに怒られ、あかりは手を離した。

「あんたは、病院の方に行った方がいいと思って……」

「こんなの、大したことねぇよ」

「えーい、つべこべ言わずに、さっさと来い!」

「まっ、待て、俺はハルと一緒にいるんだーっ!」

 あかりに引っ張られたマサは、必死に叫んだ。

 しかし、あかりはお構いなしに連行していく。

 それを見ていたハルたちは、ぽかんとしていた。

 それから中に入り、ハルたちは廊下を歩いていく。

「あかりさん、すごかったね……」

「マサ殿の意見は、完全に無視でござったな」

「あっ、ユキ君、いたいた!」

「アキナ殿、どうされたので?」

「ちょっと今、人手が足りないの」

「それは大変でござる!」

「すみませんハルさん、ユキ君借りていいですか?」

「いいけど、私たちも手伝おうか?」

「いえ、ユキ君だけで大丈夫です」

「そっ、そう?」

「ハルさんたちは、部屋でゆっくり休んでくださいね」

「あっ、うん……」

「じゃぁ、ユキ君行きましょう!」

「承知!」

 そして、ユキはアキナに手を引かれ、廊下を走っていく。

 やがて、二人は角を曲がっていった。

「なんだか、慌ただしいですね」

 微笑んだユミは、何気なくハルの顔を見た。

 だが、ハルの顔は、とても寂しげだった。

「ハルさん?」

「あっ、ごめん……」

「……どうかされたんですか?」

「なんだか私がいない間に、皆の関係が変わっちゃったなぁと思っただけ」

「そうか?」

「あまり変わっていないと思いますが……」

「なぁ、レンはどう思う」

「俺も、そこまで変化はないと思う」

 イグに聞かれ、レンは頷いた。

 しかし、あごに手を当て俯く。

「だが、ハルがそう思うのも、無理はないな」

「やっぱり、一年は長いですよね」

「でも、ハルさんがいなくなったのは、あの空間のせいで……」

「確かに、そうだね」

 必死に、ユミは励まそうとした。

 大好きな人が、とても辛そうな顔をしていたから。

「でもね、ユミちゃん……」

 しかし、振り向いたハルは、苦笑するだけだった。

「マサやユキのそばにいたのは、あかりさんやアキナちゃんだよ」

 そう答えると、ハルは足早に歩きだす。

 その背中を、ユミたちは見つめることしかできなかった。

「ハルさん……」

「お嬢、なんだか辛そうだったな」

 イグは少し困り、頭をかいた。

 そして、ユミに視線を向ける。

 そのユミは、拳を握り、俯いていた。

「ハルさんが辛いのに、なにもできないなんて……」

「ユミ、今はそっとしておいた方がいい」

「でも……」

「それも優しさだと、俺は思う」

「そうですね……」

 俯くユミの頭を、イグは優しく叩いた。

「そんなに心配しなくても、大丈夫だ」

「イグさん?」

 ユミが顔を上げると、微笑んでいるイグと目が合った。

「お嬢には、まだ俺たちがいるんだからな」

「はい!」

 イグの励ましがうれしくなり、ユミも微笑んだ。

 そして、三人はハルを追いかけたのだった。

★★★

 数時間後、ハルは眠りから覚めた。

 しかし、あることに驚き固まった。

 なんと、マサが寝息をたてて眠っていたのだ。

「なっ……なんでマサが、私の布団に入っているの?」

 動揺したハルは、起こさないように小さく呟く。

 そして、必死に考えた。

「今朝、マサは怪我をしていたから、病院に連れていかれたはず……」

 やがて、ひとつの答えに辿り着く。

「……抜け出したのね」

 ハルはため息をつき、反対側に首を動かす。

 しかし、また固まった。

「ゆっ……ユミちゃんまで私の布団に?」

 反対側では、ユミも寝息をたてて眠っていた。

 そして、ハルは手を動かせないことに気づく。

 理由は簡単である。

 二人ともハルの指に、自分の指を絡ませていたのだ。

「はぁ……これじゃ動けないなぁ……」

 小さくため息をつきながら、ハルは数時間前のことを思いだす。

「確か、部屋に着いて寝る位置を決めて、私の隣はレンさんだったはず……」

 ハルは、動かせる範囲で周りを確認した。

 マサは壁ギリギリで寝ており、ユミの隣には、イグが寝ていた。

 つまり、どこにもレンの姿はなかったのである。

「レンさん、一体どこに……」

 ハルは心配になったが、また睡魔がおそってきた。

「ヤバい……また眠気が……」

 しかし、廊下に響く足音が、それを妨げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ハルちゃんは会っていなかった1年の間に、微妙な関係の違いがあって、なんだか少し淋しくなったのかな…? でも、寝て起きたら、マサとユミに挟まれてww 心配することなかったね♪(*^^*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。