79 アニマvsアンドロイド
ハルは不安な気持ちのまま、マサたちを見つめていた。
お互いの攻防が続き、決着がつかないでいた。
「ちっ、これじゃラチがあかねぇよ!」
「アニマは敵……」
そう呟くと、メイドは片手をハンマーに切り替える。
すると、勢いよく振り回したのだ。
「危なっ!」
マサは体をそらして、ギリギリで避けた。
「マサ殿!」
ユキはマサに近づこうとしたが、その隙をメイドは逃がさなかった。
「よそ見していても、いいのですか」
「なぬ?」
すると、もうひとりのメイドは、片手をドリルに切り替えたのだ。
そして、素早くユキに突っこんできた。
「くっ!」
ユキはなんとか避けたが、マサは柊を睨みつける。
「あんた、なんでこんな物取りつけてるんだよ!」
「おや、ドリルは男のロマンでしょう」
「知らねぇよ。ドリルはともかく、ハンマーは必要ないだろ!」
「遊び心も必要ですよ?」
「必要なわけあるかーっ!」
戦いながらも、マサの怒りは爆発した。
「あれは確かに、いらない気がしますね」
マイは呆れつつ、隣の柊を見つめる。
その柊は、とても楽しげな笑みを浮かべていた。
まるで、おもちゃで遊ぶ子どものように。
「ではそろそろ、私も行ってきますね」
そう言って、マイは戦いの中にとびこんでいった。
「マサさん、なにを怒っているんでしょうか」
「アニマは敵、排除します」
メイドはそう言うと、空気砲を撃ってきた。
「くっ、かまいたち!」
ユミは風の刃で応戦しながら、メイドに呼びかける。
「やめて、私たちは敵じゃないです!」
「排除します、排除します」
「ダメ、こっちの声が届かない……」
「そんなことしても、無駄ですよ!」
「えっ?」
ユミが振り向くと、背後にマイの姿があった。
「ギアーショット!」
「くっ!」
「ユミ、避けろ!」
イグの言葉が聞こえ、ユミはマイト距離をとる。
そこへ、イグが無数の羽根を、矢のように飛ばしてきた。
「シューティングアロー!」
「ちっ」
マイはすぐに気づき、体の向きを変えて避けた。
そして、イグに向かっていく。
「あなたが見捨てなければ、姉様は!」
「イグさん、逃げてください!」
「ギアーショット!」
「ぐっ!」
マイの拳を受け、イグは吹き飛ばされる。
「イグ!」
レンは駆けつけようとしたが、メイドに阻まれてしまう。
「どいてくれ。君の相手をしている暇はない」
「いいえ、あなたの相手は、私です」
マサたちが戦っている中、マイは倒れているイグに歩み寄る。
「あなた、わざと私の拳を受けましたね」
「……なんだ、バレていたのか」
「それで、私が許すとでも?」
「許されるとは、思っていない。だが、あの時は俺も死を覚悟していた」
「姉様を、助ける余裕はなかったと?」
「……あぁ、そうだ」
イグの返答に、マイは歯を食いしばった。
強く、強く憎しみをこめて。
「なら、あなたから始末します!」
「そんなことさせないよ!」
マイが拳を構えると、あかりの槍が降ってきた。
驚いたマイは、横に跳ねて槍を避けた。
そして、マイたちの所に歩いてくる、あかりを見つめる。
「……なぜ、邪魔をするんです」
「あんたとは、ちゃんと話さなければ、と思ったからだよ」
あかりは槍を引き抜き、先端をマイに向けた。
「話すことなんて、なにもありません」
「なに?」
すると、マイは槍を蹴り上げ、あかりに迫った。
「あなたは、もう用済みなんですから!」
「マイ……」
「ギアーショット!」
マイの拳は、あかりの腹を直撃した。
あかりはそのまま吹き飛ばされ、ハルの所に転がった。
「あっ、あかりさん大丈夫?!」
「くっ……あいつには、もう誰の言葉も届かない」
「そんな……」
ハルは戸惑いながら、まだ戦っているマサたちを見つめた。
すると、柊の元に、マイが戻ってくる。
「おや、始末してこなかったのかい?」
「それなんですが、いいことを思いつきました」
マイは微笑むと、柊に近づき耳打ちをする。
「あぁ、それはグッドアイディアだね」
柊は口角を上げると、メイドたちに呼びかけた。
「全員、戦闘をやめて、こちらに戻りなさい!」
「了解しました」
すると、メイドたちは素早く距離をとり、柊たちの元に駆けだしていく。
「どういうことだ?」
「戦わずに、話し合いをするのでござろうか」
「戦闘をやめてくれたのは有り難いが、なにかおかしい」
「みんな、一旦こっちに戻って!」
「お嬢?」
「嫌な予感がするの!」
「イグさん、ここはハルさんの言う通りに」
「わかった」
アニマたちは頷き、ハルの所に戻っていく。
その間にも、柊はコードを打ちこんでいく。
そして、マイは高らかに言い放った。
「今から、ここにいる全員消してあげますわ!」
「よし、入力完了だ」
「さぁ、アンドロイドたち。全員吹き飛ばしてしまいなさい!」
「コードを確認、実行します」
五人のメイドたちは呟き、両手をレーザー砲に切り替える。
「レーザー砲、充電開始」
メイドたちは、ハルたちに標準を合わせ、充電を開始した。
狙われていることに、あかりは焦りを見せる。
「どうする、あれを受けたら全員終わりだぞ!」
「どうしよう……なにか手段は……」
「手段なら、ある」
突然のレンの言葉に、ハルたちは顔を上げる。
「レンさん、どういうことですか?」
「そうか!」
マサも、レンの言いたいことがわかり頷く。
そして、不安な顔をしている、ハルの肩に手を置いた。
「安心しな、ハル。俺たちにはまだ、希望がある」




