↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/130

66 アニマなら

 マサはハルに気づき、慌ててマイを引き離した。

「はっ、ハル、なんでここに!」

「なんでって、いろいろ逃げていたらここに来て……」

 ハルは、ショックのあまり立ち尽くしていた。

 そして、マイに視線を向ける。

「それより、マサはなにしているの?」

「こっ、これは別に……」

 ハルに問われると、マサの返事は歯切れが悪かった。

 しかも、ずっとハルと目を合わせないでいた。

 そのことに、ハルは引きつった笑みを浮かべた。

「他の子にも、そういうことするんだ……」

 それだけ言うと、その場から逃げるように走りだした。

「まっ、待て、ハル!」

「ハル、どこに行くんだ!」

「ハルさん!」

 マサたちはハルに呼びかけたが、ハルは止まらなかった。

 目には涙をため、必死に走っていく。

 すぐに駆けだしたのは、マサだった。

 レンとユミもお互い頷き、後を追った。

 残されたマイは、不敵な笑みを浮かべていた。

★★★

「はぁっ、はぁっ……」

 ハルは、全速力で走り続けていた。

 知らない道を、右へ左へ。

 あちこち走り、自分が今どこにいるのかわからないでいた。

 しかし、今のハルには関係なかった。

 マサとマイのキスシーン。

 その光景が、ハルの頭の中を支配していく。

「マサの……バカっ!」

 ハルは涙をこらえながら、立ち止まり息を整える。

 すると、横に公園があった。

 そこは広かったが、誰もおらず静かなものだった。

 ハルは何気なく中に入ったが、体力の限界がきていた。

「もっ……もうダメ……」

 足がもつれ、倒れそうになった。

「「ハル!」」

 すると、マサとレンが駆けつける。

 そして、マサは腕を、レンはお腹を支えた。

 なんとか倒れずにすんだハルは、ゆっくりと顔を上げた。

「マサ……それにレンさんも……」

「ハル、いきなり走りだすから、心配したよ」

「レンさん、ごめんなさい……」

「そうだぜ。話そうとしたのに、いきなり逃げるんじゃねぇよ」

 マサの声に、ハルは静かに振り向く。

 だが、ハルはマサを拒絶し始めた。

「嫌っ、離して!」

「おい、なんで急に暴れだすんだよ!」

 慌てるマサをよそに、ハルの抵抗は続く。

 なんとかマサは腕に力をこめ、大人しくさせようとした。

「俺の話を聞けって!」

「痛いっ、マサと話すことなんか、なにもないわよ!」

 睨みつけるハルに、マサは必死に弁解した。

「あれは、俺の意思じゃねぇよ。それに、不可抗力だったんだ……だから」

「そんな話、聞きたくない!」

「マイとは、なにもないんだ。俺が一番に想っているのは、あんただけだ!」

「ウソよ、信じられない!」

 何度も拒絶するハルに、マサはイラつき始める。

「あんた、いいかげんにしろよ!」

「そこまでだ、マサ」

 マサがどなろうとすると、レンに手首を掴まれる。

 レンに止められ、マサは強く睨みつけた。

「……なんのつもりだ、レン」

「それはこちらのセリフだ。ハルが嫌がっているだろ」

「あんたには、関係ないだろ」

「いや、大アリだ」

「はぁ?」

「俺は、ハルと契約したアニマだ。契約者を守る義務がある」

「レンさん……」

 レンとマサは睨み合い、お互い一歩もひかないでいた。

 しかし、マサがハルを離さないため、レンの手に力がこもる。

「っ!」

 突然の痛みに、マサの顔が歪む。

 マサの手が離れ、ハルは少しほっとした。

 そんなハルを、レンが素早く背後に隠した。

「ハルの気持ちがわからないなら、契約をやめるべきだ」

「なんであんたに、そこまで言われなくちゃいけないんだ!」

「言っただろう。俺は、ハルと契約したアニマだと」

「そこに、あんたの気持ちは無いのか?」

「ハルを守る。それが俺の気持ちだ」

「それは、契約していたら当然だろ。そうじゃなくて、あんたの心はどうなんだ」

 マサに聞かれ、レンは眉間にしわを寄せる。

 マサとレンが睨み合っていると、空からユミがおりてきた。

「やっ……やっと見つけました!」

「ユミちゃん!」

「もうハルさんったら、目的もなしに走ったらダメですよ!」

「ごめん、ユミちゃん……」

「それになんです、この緊張感……」

 ユミは、マサとレンの張りつめた空気に驚く。

 すると、レンがハルを連れて、ユミに近づいた。

「ユミ、すまないがハルと一緒に、少し離れていてくれないか?」

「いいですけど、レンさんは?」

「少しばかり、マサの相手をしようと思う」

「レンさん……」

 心配するハルの頭を、レンは優しく撫でた。

「大丈夫だよ、ハル。こんな感じでも仲間なんだから」

「俺は、あんたを認めてねぇ!」

「マサ……」

 ハルは、不安だった。

 マサとレンの雰囲気が、いつもと違っていたからである。

 レンはマサに振り向き、ハルから離れていく。

「俺も、今の君を認めるわけにはいかないな」

 そして、お互い距離をとり、戦闘態勢に入った。

「「アニマなら、戦いで己の正しさを示せ!」」

 二人の声が響き、お互い駆けだした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。