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57 一年越しに、通じ合った想い

「皆が落ちこんでいる時、薫さんが提案してくれたんだ」

「薫さんが?」

「大切な人を想って、皆それぞれ作ったんだよ」

「さぁちゃんのは、太陽だね」

「私も、作ったんですよ!」

「ユミちゃんのは、イルカと小鳥かしら」

「前に、ハルさんからいただいた、キーホルダーを参考にしたんです」

「あぁ、なるほど!」

 ハルが見せてもらったのは、次の三人である。

 猿渡が太陽、ユミが小鳥とイルカ、イグは四つ葉のクローバーだった。

「マサとユキは、どんなのを作ったの?」

「ユキのは……」

「俺は、肉でござる!」

「にっ、肉?」

「どうやら、自分の好きなものを作ったらしい」

「アキナ殿に渡したら、喜んでくれましたぞ!」

「いや、あれはどう見ても……」

「困っていたようにしか、見えなかったが……」

「そうでござろうか」

「ふふっ、ユキの大切な人は、アキナちゃんなんだね」

 ハルがアキナに視線を向けると、アキナは苦笑いだった。

 皆で騒いでいるこの時間は、家にいる時みたいだなぁ。

 そう思ったハルの顔は、自然とほころんでいた。

 しかし、マサが片手を、ポケットに入れていることに気づく。

「マサ、どうしたの?」

「……」

 マサは黙ったまま、ハルを見つめる。

 すると、突然ハルの手を握り、談話室を出ていった。

「まっ、マサ、どこ行くの!」

「マサ殿、ハル殿をどこに連れていくのでござる?!」

「いいのよ、ユキ君」

「アキナ殿、どうしてでござるか?」

「マサ君も、ハルさんと二人っきりになりたかったんだよ。ねぇ、ユミさん」

 アキナに言われ、ユミはため息をついた。

「しょうがないですね。あとで、いろいろ聞いてやるんだから!」

★★★

 談話室を出たマサとハルは、研究所の庭に来ていた。

「まっ、マサ、ちょっと休憩しようよ!」

「あぁ、悪かったな、急に連れだして……」

「本当だよー。びっくりして、コケそうになったんだから」

 苦笑するハルだったが、マサはまだ手を握っている。

「えーっと、マサ、そろそろ手を離してくれない?」

「嫌だ」

「即答かい!」

「いいじゃねぇか。だって……」

 、ハルの手を引っ張り、マサは自分の方に引き寄せた。

 そのため、ハルとマサの距離が近くなる。

「やっと、二人っきりになれたんだからな」

「まっ、マサ、恥ずかしいよ……」

「大丈夫、誰も見てねぇから」

「そっ、そうじゃなくて!」

「ハルは、俺とこういうことするの、嫌なのか?」

 ハルが顔を上げると、悲しげなマサと目が合った。

「俺はもっと、ハルとこうしていたい……」

 マサに抱きしめられ、ハルは心が満たされていくのを感じた。

「嫌なわけないじゃない。私も、マサとこういうこと、したかった」

「本当か!」

「嘘なんてつかないよ」

 微笑むハルの頬に、マサの手が添えられる。

 そして、二人の影が重なった。

 少しして影が離れ、お互い見つめ合う。

「好きだ、ハル……」

「マサ……」

 マサはハルから離れると、両手を高く上げて伸びをする。

「ふーっ、やっと言えたぜ」

「そっか。あの時、マサが言おうとしていたのは、それだったのね」

「あの時?」

「ほら、私が白い空間に吸いこまれそうになった時、マサが言おうとしていたじゃない」

「……さぁ、なんのことやら」

 とぼけるマサに、ハルはムッとした表情になる。

「『俺は、あんたのことが……』とか、言っていたじゃない!」

「だから、もう言っただろ」

「それは、そうだけど……」

 ハルが俯いていると、マサに頭を撫でられる。

 それが心地いいと、ハルは思った。

 だが、恥ずかしくもあり、照れ笑いをする。

 すると、マサはなにかを思いだしたように、ポケットに手を入れた。

「そうだ、ハルに渡したい物があるんだ」

「もしかして、皆で作ったペンダント?」

「あぁ。俺は、ハルを想って作ったんだ」

 マサが取り出したのは、三日月と夜空が描かれたペンダントだった。

「わぁっ、キレイ!」

「ハルに会えるように、願いをこめて作ったんだぜ」

「ふふっ、叶ってよかったね!」

「そうだな。ほら、つけてやるから、じっとしていろ」

 チェーンを外し、マサはハルの首につけ始める。

 ハルがペンダントに見とれていると、マサが右頬にキスをした。

「ひゃぁっ!」

「なんだよ、驚きすぎじゃねぇか?」

「いきなりはやめて、びっくりするから!」

「ふんっ、嫌だね」

「なっ、なんでよ!」

「だって、ハルの反応が面白いし」

 微笑むマサに、ハルは頬を膨らませる。

 だが、お互い吹き出し笑い合った。

「マサ、ペンダントありがとう!」

「あぁ、渡せてよかったぜ」

「じゃぁ、皆の所に戻ろっか」

「いや、もう少し一緒にいようぜ」

「でも、皆が心配するんじゃない?」

「大丈夫だろ。まさか、俺よりあいつらの方が、気になるのか?」

「もう、またそういうこと言うんだから!」

「やぁ、ハルとマサじゃないか」

 二人が手をつないで微笑んでいると、出口にレンが立っていた。

「あっ、レンさん!」

「久しぶりだね、ハル。元気にしていたかい?」

「はいっ、私、元気なのが取り柄なので!」

「まぁ、ここに着いた時は、傷だらけだったけどな」

「マサ、余計なこと言わなくていいの!」

「おや、確かに包帯だらけだね」

「あはは……ちょっとコケちゃいまして……」

 坂を滑り落ちたとは、言えないハルだった。

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― 新着の感想 ―
おっ!ついにマサはハルちゃんに想いを伝えることができたんですね♪ 長かったなぁ〜!あ、でももしかしたら一年の間会えなかった時があったから、尚更マサはハルちゃんへの想いを募らせることができたのかな?(*…
ハル! マサ! 良かったねーーー!!♡♡ マサ、今度こそ手を離すんじゃないぞ? じゃないとユミちゃんから何をされるか分かったもんじゃない! はにかむお話、ありがとうございました♡
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