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改訂版 アニマルな君たちは今日も戦う  作者: しゅうらい
第4章 アニマの暴走編
54/92

54 呼ばれた理由

「ここって、山の中だったんですか?!」

「そんなに驚くことか?」

「驚きますよ!」

「まぁ、お主たちが登った山道とは、少しはずれているがな」

「もっと、わかりやすい所に送ってくれればよかったのに……」

「それは、神に言ってくれ」

「えっ、神の遣い様が、こっちに送ってくれたんじゃないんですか?」

「我ではない。神がお主を呼んだのだ」

「そっか、皆じゃなかったんだ……」

 自分を呼んだのがマサたちでないことに、ハルは落ちこんだ。

 そんなハルを見つめ、神の遣いは首を傾げる。

「どうした、お主もこの世界に来たかったのであろう」

「そうですけど……」

「まぁ、落ちこむのは後にするんだな」

 そして、神の遣いは背を向け、先に進んでいく。

 ハルも、おいていかれないようについていった。

 すると、突然神の遣いが振り向いた。

「まずは、我の話を聞いてもらおうか」

 真剣な神の遣いの眼差しに、ハルは頷いた。

 だが、なぜか考える仕草をして、なにもしゃべらない。

 二人の間に、気まずい空気が流れていく。

「あのー、神の遣い様。話というのは?」

 なかなか話さない神の遣いに、ハルは恐る恐る尋ねた。

 難しい顔をしていた神の遣いは、一度小さく頷いた。

 そして顔を上げ、話し始める。

「選ばれし者である娘よ、よくぞ参られた」

「いやぁ、選ばれし者って、そんな勇者みたいな!」

 『選ばれし者』と言われ、ハルは照れ笑いをする。

 その行為に、神の遣いは眉をしかめた。

「お主、なにを喜んでいる?」

「だって、なんだか特別って感じじゃないですか!」

「まぁ、特別なのには違いないが、そんなにうれしいものなのか?」

「もちろんです!」

 喜ぶハルを、神の遣いは無表情で見つめた。

 それに気づいたハルは、咳払いをして平静を装う。

「すみません、そんな風に言われたことなかったんで」

「はははっ、やはりお主は、面白い奴だな」

 神の遣いに笑われ、ハルは頬を膨らませた。

 しかし、神の遣いは、すぐ真顔に戻る。

「だが、喜んでいられるのも、今だけだぞ」

「えっ、なんか嫌な予感がするんですが……」

「その予感は当たっているな」

 涼しげな神の遣いを見て、ハルは大きく肩を落とした。

 しかし、神の遣いは一瞥しただけで、話をやめることはなかった。

「お主が呼ばれたのは、またこの世界で問題が起こっているからだ」

「あぁ、やっぱり……」

 大体の予想はしていた。

 それが当たったことに、ハルはまた肩を落とす。

 だが、ある疑問が浮かんだ。

「問題が起こっているのに、神様はなにもしないんですか?」

「神は、見守ることが仕事であり、干渉はしないことにしている」

「なんですか、それ!」

 『神は干渉しない』

 ハルは、そのことに怒りを感じた。

 しかし、言われた神の遣いは、無表情だった。

「なぜ、お主が怒る必要があるのだ?」

「なぜって……」

 問われたハルは、なにも言い返せなかった。

 『干渉しない』、それは『なにもしない』ということ。

 見守っていることではない。

 それが、ハルは許せなかったのだ。

 しかし、言葉が出てこない。

 なにも言わないハルに近づき、神の遣いは腕を軽く叩いた。

「お主が選ばれたのは、恐らく干渉されにくい、という理由があるからだろう」

「あまりに大問題だと、私の手には負えないかも……」

「大丈夫、お主には仲間がいるだろう」

「あっ、そうですね!」

 元気になったハルを見つめ、神の遣いは微笑む。

 ハルは一瞬見とれたが、慌てて話題を戻す。

「そっ、それで、問題というのは?」

「それなんだが、あの桂木の一件で、政府に疑問を抱いたアニマたちが暴れているらしい」

「でも、アニマは契約しないと、力が使えないんですよね」

「そうだ、よくわかっているな」

「私も、こっちにいる間、いろいろ教えてもらいましたから」

 得意気に話すハルを、神の遣いは無視した。

 そして、また眉をしかめる。

「彼らは、集団で行動しているらしく、契約した人間を捕えて利用しているのだ」

「そんなっ、ただ利用するために契約するなんて……」

「桂木も、アニマを利用した。それが、彼らの行動する理由だ」

 神の遣いの言葉に、ハルはなにも言えずにいた。

 すると、神の遣いは足を止める。

 そのため、ハルも足を止めて振り返る。

「娘よ、彼らを説得して、この件をおさめてほしい」

「さすがに、問題が大きくありませんか?」

「桂木とアニマキングを倒したお主だ」

「あれは倒したというより、神の遣い様がやりましたよね?」

 ハルの質問に、神の遣いは口笛を吹く。

 その子どもみたいな仕草に、ハルは呆れていた。

「ほっ、ほれ、迷っている時間は無いぞ!」

「急かさないでください!」

 神の遣いはごまかすように、ハルに答えを求めた。

 それに、ハルは焦り始める。

「大事なことだから、私だってちゃんと考えたいのに!」

「あっ、足元気をつけろよ」

「はい?」

 神の遣いの指さしで、ハルは下を向く。

 すると、突然地面がなくなったのだ。

「きゃぁーっ!」

 ハルの悲鳴だけが、山の中に響いていた。

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