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28 やってきた子も契約者

 夕方、ハルたちは研究所から帰ってきた。

「ふぅー、向こうではいろいろあったけど、家に帰ると安心するわ……」

「ハルさん、明日ちょっと出かけてもいいですか?」

「いいけど、どうしたの?」

「一度、高木さんに会っておこうかと思って……」

 ユミは、少し気まずそうにしていた。

 高木というのは、ユミの前の契約者である。

 ユミが大型アニマとなり、後に死亡したため、契約が解除されたのだ。

 それを知っているハルは、微笑んでユミの頭を撫でる。

「会うのは自由なんだから、気にしないで。ちゃんと話してくるんだよ」

「あっ、ありがとうございます!」

 次の日、ユミは朝早くに家を出ていった。

 朝食を済ませたハルは、リビングでくつろいでいた。

「はぁー、やっぱり家が一番落ち着くわぁ……」

「昨日も、似たようなことを言っていたでござるな」

「ここのところ、騒がしかったからな」

「もう、騒ぎは勘弁よ」

 ハルが机に突っ伏していると、イグが近づいてきた。

「お嬢、疲れているならマッサージでもしようか?」

「えっ、そんなことできるんですか?」

「任せておけ」

 そしてイグは、ハルの肩をそっと撫でる。

 すると、マサがハルを引き寄せた。

「ハルに気安く触るんじゃねぇ!」

「触らないと、マッサージできないだろ」

 イグも、自分の方に引き寄せようと、ハルの腕を引っ張る。

「お二人とも、ハル殿とじゃれてて、ずるいでござる!」

 二人が睨み合っていると、ユキもハルに抱きついてきた。

「ちょっ、ちょっと三人とも落ち着いて!」

 ハルたちが騒いでいると、インターホンが鳴った。

「……嫌な予感」

 ため息をついたハルは、重い足取りで玄関に向かう。

「こんな時間に、誰かしら……」

 ドアを開けると、そこにはハルと同じ歳くらいの女性が立っていた。

 その女性は、黒髪をツインテールにして、桜色のワンピースを着ていた。

「あの、どちら様でしょうか」

「はじめまして。私は、天道かほと申します」

「はぁ……」

「ここに、マサという猫のアニマがいるでしょう?」

「えっ?」

 マサの名前を出され、ハルは驚いた。

「なんで、あなたがマサを知っているの?」

「当たり前です。だって私……」

「おーい、ハル。一体、誰が来たんだよ……」

「マサ!」

 なかなかハルが戻ってこないため、マサが様子を見にきた。

 マサを見つけたかほは、大喜びして跳びはねた。

 しかし、かほに会ったマサは、顔を引きつらせる。

「かほ……」

「マサ、知り合いなの?」

「知り合いもなにも、俺の契約者だった女だ」

 マサは苦い顔をして、かほを睨みつけた。

「なんで、あんたがここにいるんだよ」

「なんでって、ひどいわねぇ」

 かほは、頬を膨らませてすねてみせた。

「まっ、まぁ、立ち話もなんですから、中にどうぞ」

「あら、じゃぁお邪魔するわね」

★★★

 かほを中に通し、全員リビングに集まった。

 だが、マサはかほより離れた所に座る。

「ちょっとー、なんでそんな遠い所に座るのよ」

「別にいいだろ」

「そっ、それより、かほさんはどうしてうちに?」

 あまりにもマサが、かほを威嚇していたので、ハルが慌てて質問した。

 その問いに、かほは頬に手を当てて答える。

「それは、たまたまこっちに用事があったのだけど……」

「用事って、本当かよ」

「本当よ。そしたら、車の中からあなたを見かけたってわけ」

「それで、わざわざうちに?」

「そうよ」

 かほは、ハルに素っ気ない態度をとる。

 すると、ユキが運んでいたお茶の一つを、マサが取り上げる。

 そして、かほの前に、大きな音を立てて置いた。

「話は終わったな。じゃぁ、もう帰れよ」

「ひどいわ、マサ!」

 かほは、両手で顔を覆い俯いた。

「あるサイトで、あなたに賞金がかけられていたから、心配だったのに……」

「えっ、その一件は、もう大丈夫なんじゃないの?!」

「どうやら、まだ削除されていないものもあるらしいな」

「そんなぁー……」

「お二人とも、今はマサ殿たちでござる」

 ハルは、はっとしてかほを見つめる。

 かほの表情は、隠されて見えなかった。

「マサに、こんな仕打ちをされるなんて思わなかったわ……」

「それはそうだろ。あんた、どのツラ下げて俺に会っているんだ」

「マサ、さすがに言い過ぎだよ……」

 ハルがマサをなだめようとしたが、マサの怒りはおさまらない。

「あんたのせいで、俺がどんな目にあっていたか……」

「あっ、あの時は私も感情的になっていたわ」

 かほは、座ったまま頭を下げた。

「本当に、ごめんなさい……」

「かほ……」

「ほら、マサ、かほさんも謝っているんだから、許してあげたら?」

「……まぁ、ハルがそこまで言うなら」

「本当!?」

 許してもらえたのがうれしかったのか、かほは両手を合わせて喜ぶ。

 その場にいる全員が、ほっとした。

 しかし、かほの次の言葉で、その場の空気が固まることになる。

「なら、一緒に私の家に帰りましょう?」

「はぁーっ?!」

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― 新着の感想 ―
かつて契約していた天道かほさんとマサとの間には、今はわだかまりがあるようですね。 マサの側では完全に縁が切れたと認識してますが、かほさんの方は今もマサに執心しているようですね。
いきなり現れたマサの元契約者。 マサはなんだかあまり関わりたくない感じだよね〜
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