↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/130

10 疑念

「結局、昨日は帰ってこなかった……」

 目が覚めたハルは、潤んだ瞳で天井を見つめる。

「やっぱり、私も行くべきだったかな……」

 悩んだハルだったが、考えても仕方ないと思い起き上がった。

 そして着替えをしている時、いきなりドアが開く。

「おはよう、ハル。そろそろ飯に……」

「きゃーっ! なんでいきなり開けるのよ!」

 顔を出したマサに驚き、ハルは急いで体を服で隠す。

 その行為に、マサは首を傾げた。

「なんで隠す必要があるんだ?」

「女の子が着替えているんだから、ドア閉めて! あと、入る時はノックしてよね!」

「へいへい、わかりましたよ」

 マサはため息をついて、そのまま下におりていった。

「だからドア閉めてってばーっ!」

 急いで着替えたハルは、マサを追いかけて階段をおりた。

「おはようございます、ハル殿。なにかあったのでござるか?」

「……なんでもない」

 不機嫌なハルに、ユキは首を傾げる。

「それよりお腹空いたよね。今作るから」

「あぁ、それならマサ殿が作っていたでござるよ」

「えっ?」

 リビングへ行くと、マサが料理をテーブルに並べていた。

「す、すごい……ほうれん草のおひたしに卵焼き、焼き鮭もある。なんてバランスの取れた朝食なの」

 驚くハルだったが、ふとマサを見つめる。

 その視線に気づいたマサは、ちらっとハルを見る。

「あんたの元気がなかったから、飯だけでも楽しめるように考えたんだが……」

「そうだったんだ……」

 ハルは、マサに近づき手を握った。

「ありがとう、マサ!」

「お、お礼はいいから、早く食べようぜ!」

 照れたマサは、そっぽを向いて椅子に座る。

 ハルたちも椅子に座って手を合わせる。

「では、いただきます!」

 そして、朝食を終えたハルたちは、片づけをして公園へと向かった。

 公園に向かう途中、マサはある疑問が浮かんだ。

「そういや、ユキ。昨日はなんで、あの公園に来たんだ?」

「あぁ、それは……」

 ユキは、苦笑いを浮かべながら頭をかいた。

「警察での話は終わりましたが、ハル殿たちの家を知らなかったので、出会った公園に行けば会えると思ったのでござる」

「ただの迷子かい!」

「まぁまぁ。ユキが来てくれたんだから、あの時はなんとかなったんだよ」

「そうだけどよ……」

 納得のいかないマサに、ハルとユキは苦笑するしかなかった。

 やがて公園に着き、三人は辺りを見回す。

 すると、ベンチの下にある物を見つける。

「こ、これって……ユミちゃんが持っていたキーホルダー?」

 ハルが拾いあげたそれは、ひびの入った小鳥のキーホルダーだった。

「おい、羽根も落ちているぞ」

 マサが指さしたところには、数枚の羽根が落ちていた。

「やっぱり、なにかあったんだ……」

 キーホルダーを握りしめるハルの頭に、タカトの言葉が響き渡る。

『無責任にも、程があるな。助けられるのには、限りがあるんだぜ?』

「私の行為は、無責任なのかな……」

「ハル殿?」

「だって、協力するって言っておきながら、ユミちゃんたちのピンチに何も出来なかったんじゃ意味がないよ!」

 ハルが震えていると、マサとユキがそっと肩に手を置いた。

「気にするな、ハル。あいつらだって、ちゃんと逃げて他の町に行ったかもしれないだろ」

「そうでござるよ!」

「マサ、ユキ……」

「おや? こんなところで会うとは奇遇だな」

 公園の入り口に目をやると、レンがハルたちの方に歩いてきていた。

「レンさん!」

「会ったところ悪いが、家に戻ることを勧めるよ」

「えっ、どうしてですか?」

「君たちは目をつけられている。むやみに外出しない方がいい」

「わ、わかりました……」

 それからハルたちは、急いで家に帰ることにした。

★★★

「で、なんであんたまで家にいるんだよ」

 不機嫌なマサは、強くレンを睨みつけた。

「まぁ、そんな睨まないでくれ」

 レンは手を振りながら、ハルたちを見つめる。

「ここに来たのは、君たちに伝えておいた方がいいと思うことがあったからだよ」

「伝えておいた方がいい?」

 首を傾げるハルに、レンは静かに頷く。

「実はあの場所で、誘拐事件があったみたいでね。一人はアニマだったらしい」

 レンの話を聞いて、ハルの顔が青ざめていく。

「それって、ユミちゃんと高木さんじゃ……」

「ユミ?」

 ハルは、ユミたちに協力していることをレンに話した。

「なるほど……その裏サイトというのも気になるな」

「研究所の奴らが絡んでいるなら、あんたなにか知っているんじゃないか?」

「待って、マサ。研究所って調べたらいっぱいあったよ」

「つまり、その中の一つが、ユミ殿たちを狙ったというのでござるか?」

「そうだな。君たちも用心した方がいい」

「ありがとうございます……」

「まぁ、安心してくれていい。君たちを狙う輩は、俺が成敗しておこう!」

「おぉっ、それは頼もしい!」

 ユキは、輝いた目でレンを見つめた。

「ハル、どうかしたか?」

 ずっと俯いたハルに、マサは顔を覗きこんだ。

「ハル?」

 ハルの目は、少し潤んでいた。

「レンさん……あなた、もしかしてユミちゃんたちがさらわれるのを、見ていたんじゃないんですか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ほうれん草のお浸しに卵焼き、そして焼き鮭。 そのラインナップは見事なまでに清く正しい、純日本的な朝食の献立ですね。 おかずが三種類あるので、ここに味噌汁或いは澄まし汁があると一汁三菜になりますね。
マサはそういう女の子のこととかに鈍感なのかな〜? でも、料理は上手いんだ♪ レンさん……何か秘密が??
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。