表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私達の最良の時/私達は幸いなる少数  作者: MV E.Satow maru
第3章 私達は幸いなる少数
72/79

MAIN SCREEN:FIRST/FINAL JOINT CONCERT

 体育館の舞台上に2つのバンドのメンバーがひしめいていた。ドラムの宮城森乃みやぎもりのがヴォーカル二人を見た。蘆谷香久耶あしたにかぐや若咲理里香わかざきりりかも頷いたのでスティックで小さくドラムを叩き始めた。人の鼓動に近いそれで香久耶かぐやはギターの音色を乗せ歌い始めた。


 そこに リズム あったから

 人は ビート 刻んだから


 エレキベースの徳田美英莉とくだみえりとキーボードの御所ごしょハルノが優しくギターと歌声を支え始めた。


 そこで 音を かなでたから

 人は メロディ 響かせた

 音と リズム 出会ったから

 声と 楽器 があったから

 人は 歌い 始めたんだ


若咲理里香わかざきりりかがコーラスで加わった。


 私に とって それはいつ?

 もう 思い出 の果て・in my life


 最良の時 皆に 出逢い 歌う

 最良の時 皆が いたから 歌えた

 Finest hour in my life


 間奏。理里香りりかがトランペットを手にすると浪々と主旋律をベースにした即興演奏を見せ、そこに香久耶かぐやも勝負とばかりにギターがぶつかった。


 そんな二人の演奏にバイオリンの守川萌香もりかわほうかが呆れて割って入ってカデンツァで技巧を凝らした演奏を始めると香久耶かぐや理里香りりかは我に返ってフェードアウトしてお互いに苦笑。


 バイオリンのカデンツァの最後にチェロの稲山郁美いねやまいくみ、コントラバスの加藤翠かとうみどり、トロンボーンの晴田天乃はるたあまのが加わって先ほどとは打って変わったクラシカルな演奏の中、理里香りりかが歌った。


 それは 偶然 賽の目に

 人は それを 奇跡見る

 そんな 奇跡 起きたから


 ここから香久耶かぐやがコーラスで加わる。そんな香久耶かぐやを見た理里香りりかは少し微笑みながら歌い続ける。


 人が 集いて 音奏おとかなでた

 それは リズム 縦糸で


 香久耶かぐやのバンドのドラム宮城森乃みやぎもりのが加わって理里香りりかのバンドのドラム井上奈留美いのうえなるみと共にリズムがステレオで刻み始めた。二人もカウンターパートのドラマーを見て笑顔で頷きあった。


 それは 音の 横糸で

 縦が 揃って 音編おとあまれ


 ここで香久耶かぐやのバンドのベース、キーボードが再び音楽に加わり香久耶かぐやもギターも弦をかき鳴らした。二つのバンドがによる大合奏。体育館の中を音が響き渡り、唯一の観客である陽一は体でリズムを取りながら聞き入っている。


 香久耶かぐや理里香りりかは二人で肩を組まんばかりの近さで歌った。それは香久耶かぐや理里香りりかの歌だ。


 私は 歌に 捕らわれて

 合奏がっそう の中に・in my life


 最良の時 この愛おしい瞬間とき

 最良の時 いつか集いて振り返ろう

 Finest hour in my life


 最後の音が鳴り終わった時、香久耶かぐや理里香りりかたちはハグしてお互いの健闘を称えあった。最初で最後のジョイントコンサート。唯一の観客だった陽一は心の底からの拍手を香久耶かぐや理里香りりかのバンドの人達に送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ