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私達の最良の時/私達は幸いなる少数  作者: MV E.Satow maru
第3章 私達は幸いなる少数
73/79

SUB SCREEN:STUDIO RECORDING

 スタジオではティエンフェイとブラス・フリート、コメット・ストリングスの選抜メンバーがひしめき合っていた。琴乃が言った。

「さ、みんな。ライブ感出したいから一発録り。上手く行っても何回か録るから気楽に。でも本気だしてね」

『はーい』

あの時はこんなやり取りがあって録音が始まった。


 ドラムの中谷ちゅうやちゃんがヴォーカル二人を見た。撮影は夏だったので中谷ちゅうやちゃんは白いTシャツにジーパン姿がよく似合っていた。青いシャツ姿の摩耶まーやが左腕をのばし、オフホワイトのワイシャツに細身のネイビーブルーのパンツルックのミフユが右腕をのばして拳をぶつけ合った。二人の演奏前のおまじないだ。それを見届けた中谷ちゅうやちゃんはスティックで軽くドラムを叩き始めた。人の鼓動に近いビートに摩耶まーやはギターの音色を乗せて前奏を丁寧に紡ぐと歌い始めた。


 そこに リズム あったから

 人は ビート 刻んだから


 エレキベースを担いだ朱里しゅり先輩とキーボードのふーちゃんも加わりギターと歌声を支え始めた。ティエンフェイのサウンドがスタジオを満たし始めた。


 そこで 音を かなでたから

 人は メロディ 響かせた

 音と リズム 出会ったから

 声と 楽器 があったから

 人は 歌い 始めたんだ


 ミフユがコーラスで演奏に加わった。摩耶まーやを見て合わせている。


 私に とって それはいつ?

 もう 思い出 の果て・in my life


 最良の時 皆に 出逢い 歌う

 最良の時 皆が いたから 歌えた

 Finest hour in my life


 間奏。ホーちゃんがトランペットで主旋律をベースにした即興演奏をしているとそこに摩耶まーやのギターが絡んで行った。琴乃が喧嘩っぽく行けと身振りで煽っている。


 ホーちゃんと摩耶まーやの勝負に終止符を打ったのはバイオリンの薫子かおるこだった。彼女のバイオリンが技巧を凝らした即興演奏を始めて割って入るとホーちゃんと摩耶まーやは演奏をフェードアウトさせた。


 バイオリンの米山薫子よねやまかおるこのカデンツァが終わるとチェロの松本祥哉まつもとしょうや、コントラバスの高山輝羅理たかやまきらり、トロンボーンの井上光いのうえひかる、ドラムの平河野梨花ひらかわのりかのブラス・フリート&コメット・ストリングスの演奏にスイッチした。


 それは 偶然 賽の目に

 人は それを 奇跡見る

 そんな 奇跡 起きたから


 摩耶まーやはギターの手を休めて今度はミフユの歌を支えるコーラスとして歌った。


 人が 集いて 音奏おとかなでた

 それは リズム 縦糸で


 平河野梨花ひらかわのりかのドラムに中谷ちゅうやちゃんのドラムが加わってダブルでリズムを響かせ始めた。二人は目線で相手のドラムに敬意を送りあっていた。


 それは 音の 横糸で

 縦が 揃って 音編おとあまれ


 朱里しゅり、ふーちゃんと摩耶まーやも音楽の渦に飛び込んで行った。盛り上がるスタジオ。立会いの琴乃ことのはサムアップしつつもっと行けと合図していた。


 ミフユと摩耶まーやはそれぞれの立ち位置のままながら、お互いの歌を意識しながら歌っていく。


 私は 歌に 捕らわれて

 合奏がっそう の中に・in my life


 最良の時 この愛おしい瞬間とき

 最良の時 いつか集いて振り返ろう

 Finest hour in my life


 演奏が終わってワンテンポ待ってからバンドメンバー達はベストアクトだと確信してそれぞれ拍手した。ミフユと摩耶まーやはみんなとハグして回った。


 素晴らしい演奏だった。最良の時の記憶だった。


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