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私達の最良の時/私達は幸いなる少数  作者: MV E.Satow maru
第1章 私達の最良の時
11/79

2020年2月(1)

古城こじょうミフユ


 2月上旬、4日間の定期試験を終えるとすぐ練習が始まった。


 最初は西田にしださんの特訓だった。西田にしださんは彼女の声に合わせてられるか私をテストした。


「私がアーって言うから同じ高さで声出してみて」


何をやるんだろう?と思いつつ彼女の指示通りやってみた。最初ズレがあったのは分かったので声の出し方を調整した。合ったなと思ったところで西田にしださんが右手で合図を送ってきた。


「OK。今の合ってるから」


そう言うと別の音高でまた「アー」と歌ったので私もそれに合わせるという事を繰り返した。

その後、西田にしださんが三音歌って私がそれに合わせたり、彼女が歌う声の音階の上下を手で示したりした。

いくつかこのようなテストをした上で西田にしださんは口もとを緩めて言った。


「良かった。音高も音階も自己認識はそうおかしくないよ。耳と認知と発声にズレがあるだけだから練習で直せる」


そう言うと彼女は私の練習用のカラオケを作ってくれた。そしてマイクの声とカラオケをミキシングしたものをモニター用ヘッドホンで聞かせてくれた。


「音感が狂うのは自分の声が分かっておらずフィードバック出来ないから。練習で音高、音階を理解出来るようになってちゃんとしたバンドの音響システムのモニタースピーカーの音で判断するようになれば大丈夫。あとは練習で慣れるよ。冬ちゃんの音域、テンポにあった曲を用意するから。冬ちゃんの好きなバードさんの主題歌も入れるからお楽しみに」

「分かった」


 西田にしださんは思った以上に鬼教官だった。春休みの入院は数日だけど完全に話せない期間があるので彼女のギターに合わせての練習を中心に最初からフルスピードで色々と教わった。


「ソロ練はひたすらヘッドホンつけて歌う練習ね。音高、音階がおかしいと思ったらチェックするから言って。あと喉は痛めないように休息とか気をつけてもらうけど。休息も練習のつもりでしっかり取り組んで」


私は西田にしださんの思った以上のヒートアップに思わず「ひええええ」なんて言葉を脳裏に思い浮かべてしまった。


 学祭までの約3ヶ月。高校時代は壇上で話すのは嫌だったけど「会長の仕事でしょ」と副会長の陽子ちゃんは私が仕事から逃れるのを許してくれなかったから多少は免疫あるけど、歌。歌かあ。

妹のミアキに音痴認定されてる私が歌ってありえないわーと思っていたけど練習はたしかに成果を生みつつあった。まあ、ティエンフェイのみんながOKというならいいんだろう。そこまでは努力してみる。

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