七話 家出一日目終了
用意が僕とのお見合いの件だけだったのか、高原親子はそのまま帰っていった。
「よろしかったのですか?」
僕が社長室に戻るとネコが問いかけてきた。
「ん?何が?」
「お見合いの件です。あんなにあっさりと了承してしまって、よかったのかと思いまして」
「ああ。それは大丈夫だよ。さっきも櫻嘉さんに言ったけど僕がOKしなければそれで終わりなんだから」
「はあ」
それでも心配そうに僕を見るネコ。
「多分、櫻嘉さんとしてはアンノウンなんて名前がある僕とつながりが欲しいだけなのさ」
そう。
だから、本当のところは僕と実咲が結婚なんてしなくてもいいのだ。
「それに、ヘタなことしたら櫻嘉さんの会社に吸収されちゃうしね」
「なるほど」
「さて、それじゃ今日のところはもう護衛は終了でいいよ。僕はもう今日のところはここから出ないから」
グーっと伸びをしながら言う。
「・・・・。・・・・・・あの」
「ん?どうしたの?」
「もしかして美香様とのこと、本気で怒っていますか?」
恐る恐る聞いてくるネコ。
「んー。まあ、半々ってところかな」
「は、半々と言いますと?」
「わがままで流石にカチンと来たのと、何でも駄々をこねたら僕が言うことを聞くと思いこまれても困るからね。僕が怒ったら流石に姉さんでも反省するでしょ?」
「な、なるほど」
「姉さんの護衛に付く人にしっかり反省できているか確認してから戻るよ」
それまではここで生活だ。
「しかし、私共でも流石に美香様相手に近距離での護衛は勘付かれます」
「今まで通り、安全圏内で見張ってくれればいいよ。近距離は母さんと父さんに任せるから」
「はい。了解しました」
「それじゃ、お疲れさま。ゆっくり休んでね」
「はい。ありがとうございます」
そう言ってネコは部屋から退出していった。
「さて、それはそうと、学校はどうしようかな」
おそらく、姉さんは今日、家に僕が帰ってこないとなると次は学校に僕が来るかどうか確認に来るだろう。
僕がHWM社社長の冬月だとは知らないし、姉さんは僕が友達の家に泊まっているだろうと考えるだろうし。
学校の前に姉さんがいるのは流石に目立つだろうけど、中途半端に反省しても今後も際限なく繰り返すからね。
ここでバシッと反省してもらわないと。
仕方ない。
裏門から入るか。
近くまでは免許を持っているサルかイヌに車で送ってもらおう。
言い忘れていたけど、イヌとサル以外はまだ学生だからね。
ネコは大学生だし、キツネとウサギも高校生だ。
給料から天引きの形で学費を支払っている。
でも、本当のところは僕の給料からだ。
だって、高校生である僕が持つには大きすぎる金額が僕の銀行には毎回振り込まれている。
というか、僕が自分で振り込んでいる。
まあ、護衛部隊のみんなには色々事情があるんだよ。
ま、今考えても仕方のないことか。
明日も学校だし、今日は早めに寝るかな。
いつもより早起きしなきゃいけないし。
父さんと母さんへの連絡は護衛部隊の誰かがしてくれているだろうし、大丈夫だろう。
僕はそのまま自分の部屋の入っていった。
読んでくれて感謝です。
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