八話 原因
「高原さん!今、夜だから!うちは大きいけど、届く声は届くんだから」
「ご、ごめん」
シュンとなる高原さん。
「それで?どうしたの?」
「私の許嫁って言うか、見合い相手の人、HWM社の社長の波原冬月って名前の人!年齢も若いからって父さんも言ってたし、実際に会ったら確かに若くはあった。でも、これは一体全体、どういうことなの⁉」
「あ―。そういえばお見合いしてくれって話があったなー。どうしたっけ?」
思い出しはしたけど、全部は無理だな。
睨んでくる高原さんも怖いし。
そう考えてサルに聞く。
「『この年齢で結婚なんてそもそも無理だし、考えられないよ』と言って、向こうから断ってくるように仕向けるように指示がありました。それで、社員の一人に嫌な奴を演じながら見合いをするように指示を出し、差し向けました。まあ、年齢は発表してないのでこういう案件は後を絶ちませんが」
ご、ごめんなさい。
でも、子供だと他の会社に舐められるし。
でも、だんだん思い出してきたぞ!
「あー。そうだったそうだった」
「じゃあ、何?あのお見合いも本当はあんたとのお見合いだったってこと?」
「まあ、そのようだね」
つまり、僕は自分のお見合い相手とその父親に説教してたってことか。
恥ずかし!
「・・・」
と、そこで高原さんを見ると、プルプルと震えていた。
あれ?
これ、結構ヤバい?
「あ、あの?どうしたの?」
「わ、私の。私のここのところの騒動・・・、大体全部あんたのせいじゃないか――――‼」
高原さんの今日一番の叫びが家中に轟いた。
・・・
とりあえず興奮する高原さんを何とか迎えを呼んで家に帰し(詳しい説明は今度にした)、サルも外に出て監視をしに行った。
今日はそれはもう疲れた。
濃厚過ぎる一日だった。
一日の前半はイヌたちを手配した後に姉さんとデート。
後半は不良の皆さんとのデート(そういう意味じゃありません)。
その後に高原さんに問い詰められるフィニッシュ付き。
なかなかのフルコースだ。
「明日からはまた学校だし。さっさと寝るか」
・・・
―高波家―
深夜。
ナツが寝たのを確認して私、高波美香はナツの部屋に入る。
むふふ!
気絶してからの記憶はないけど、どうやらナツがどうにかしてくれたらしい。
起きたら私の部屋だった。
さすがナツ!
私の自慢よ!
でも、そのかっこよかっただろう場面を見れなかったのは残念。
だから、
「これくらいの役得があってもいいよね!」
私はじりじりとナツを起こさないようにベッドに近づく。
「ナツも流石に今日は起きても私を振り払ったりしないだろうし!今日は絶好のチャンス‼」
美香、行きま~す!
「な~つ~‼」
見事なルパンダイブで私はナツの寝ているベッドに飛び込む。
バフン!
そんな音とともに私がベッドに着地する。
「あれ?」
ナツがいない?
布団をめくってみるとそこには紙が置いてあった。
『明日から学校だし、今日は疲れたから姉さんの相手は無理です。家のどこかで適当に寝ます』
と書かれた紙が。
「ふ、ふふふ。ふふふふふっ!」
笑いがこみ上げてくるわ!
「いいわ!やってやろうじゃない!絶対に見つけ出してあげるんだから!」
そして、私の眠らない夜が始まった。
・・・
―地下―
「いいのですか?」
サルが家を駆け回る姉さんを見て僕に聞く。
「いいんだよ。ああでもしないと僕は寝られないんだから」
僕は現在、家の外にいた。
姉さんには内緒で造った敷地内の地下にあるHWM社の支部。
まあ、僕と数人分の仕事スペース、それに仮眠室しかないけど。
「それに、ここに僕がいた方がサルも護衛しやすいでしょ?」
「まあ、そうですが・・・」
「まあ、いいじゃん。さあ、寝よ寝よ」
僕はそう言って仮眠室に向かった。
『ナぁ~~~ツぅぅ~~~~~~‼』
家の方からそんな姉さんの声を聞きながら。
読んでくれて感謝です。
この話で第一部は終了です。
あとは、エピローグだけです。
次の話もよろしくお願いします。




