七話 報告
「ん?」
なんとなく部屋の外に気配を感じたので僕はドアを開けた。
「あっ!」
どうやら高原さんが家に遊びに来ていたらしい。
僕が電話をしていたから入るに入れなかったらしい。
「どうしたの?」
「い、いや、なんでもないわよ?」
「そう?」
「それならいいけど・・・」
と僕は言いながら部屋に入るように手招きした。
そしてその手招きを受けて高原さんは部屋に入った。
「前に来たときにはあまりそんなこと気にしてなかったけど、夏月の部屋ってあんまり男の子の部屋って感じがしないよね」
「そうかな?」
「ええ。私の知る限りにはもっとぐちゃぐちゃしてる感じ。それに比べると結構・・・・って言うかもう女の子の部屋かってツッコミしたいくらいに」
高原さんの言う男の子の部屋はだいぶ片寄っている気がする。
「流石に女の子はきついな~」
「そうかしら?」
「男の子としては複雑だよ」
実際、勘弁して欲しかった。
そうでなくても私服で外に出ると男にナンパされることも稀にあるくらいなのに見た目だけでなく、中身まで女の子みたいにはなりたくはない。
僕はその話題をやめるために他の話を振った。
「そういえば、今日はどうしたの?」
「そうだったわ。忘れるところだった」
これが素なんだからすごい。
「許婚のことの結果報告をしに来たの」
「おお。それは気になるな」
実際、ここ最近は事あるごとに気にはしていた。
父さんは仕事で家にあんまりいないけど、母さんに話は聞ける。
けど、そうしたら最後、「そんなに実咲ちゃんが気になるの?ねえ、ねえ?」と子悪魔も逃げ出す妖艶な笑顔で迫ってくる。
少しは考えてほしいものだ。
戸籍は母親だが、血は繋がっていないのだ。
息子でも顔は赤くもなる。
まあ、そんな素振りもするからまた母さんに弄られるのだけど。
そういえば、一度だけ姉さんが本気で勘違いして母さんに襲い掛かったことがあったっけ。
(注意;美香は重度のブラコンなので相手が肉親だろうと容赦はしません。夏月君は当たり前のようにしていますが、本来はありえないので注意してください)
結果は以外や以外、母さんの勝利。
姉さんが戦闘態勢に入ると母さんはなにか言いようのない笑顔の圧力をかけ、姉さんはそのままその場で敗北宣言をした。
というか、泣きそうになりながらごめんなさいした。
一体、母さんは何者なんだろうか。
なかなか昔のことを話してくれないからよく分からない。
まあ、あんまり回想に浸っていると高原さんにも悪いのでそろそろ聞こう。
「話してもいい?」
「どうぞ」
「えっとね。あの日、お見合い会場に行って相手の顔を見てきたの」
「うんうん」
「そうしたら、なんとも下心丸出しのいいところの坊ちゃんだったの」
「え?」
「なんか、私への質問も何だかいやらしいことばっかり」
「え~」
「もう、怒ってその場で怒鳴って許婚を解消して帰ってやったわ」
「なんとも、まあ、櫻嘉さんが可哀想なことだね」
「そうね。お父様も涙目だったわ」
聞くに堪えない話だ。
「それで許婚問題は完璧に終了っと」
「ええ。やっと、自由になったわ」
高原さんは伸びをすると真剣な目をして言った。
「今度は私が恩返しする番だから!何があっても安心してね」
妙に力強く言ってきた。
「う、うん」
そこまでのことはしてないと思うんだけどな~。
そこでふと、姉さんがまた帰って来ることを思い出した。
「そうそう。今度また姉さんが帰って来るから。またそのときは呼ぶね」
「ええ。ありがとう。そうしてもらえると嬉しいわ」
「うん。人は多い方が楽しいしね」
「でも、いいの?この前は私のせいで、家族水入らずにならなかったんでしょ?」
「高原さん・・・。忘れた?姉さんの特徴と特性」
「忘れてはないけど・・・。なんか、夏月の美香さんの扱いがもう人じゃないっぽいんだけど・・・」
「気にしない、気にしない」
「う、う~~~ん?」
そんな感じで誤魔化しながらも楽しくおしゃべりして過ごした。
読んでくれて感謝です。
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