モグラ叩き
きっと明日は晴れるだろうと思い、二日連続で雨。洗濯物は乾かせないし、なんだか残念だ。一人暮らしを始めて、二年。桜が咲く季節に今日もあの人を見た。
「かわいいね、コタロー」
うちの家にはペットとして犬のコタローがいる。そのコタローに会いに来ているのがハルセだ。ハルセはここに越してきて、仲良くなった人物の一人だ。お互いの趣味は全く違うものだが、話してみると性格が合っているのか、仲良くなっていた。
「そろそろ学校か、今準備する」
「そろそろ学校の準備をしておくのもありなんじゃない?」
「考えとく」
コタローに行ってくることと留守番を頼むことを伝え、扉を閉めた。
学校にあるものといえば、椅子と机くらいで、なんだか気が滅入る。学ぶことに椅子と机で十分足りるということでもある。
「じゃあ、またね」
ハルセとは別のクラス。ハルセはそう言って、教室に入って行った。
隣の教室の一番右後ろの席に座る。ここでいつも授業を受ける。
最後の授業を受け終わり、ハルセと帰宅する。
「思ったより疲れたー」
「座る時間が長すぎる」
ハルセは笑って、頷いていた。
ハルセを送り届けて、自分の家へ帰ると、そこには黒い服を着て大きい男が玄関の中に立っていた。
「よお、待っていたぞ、この時をな」
状況の理解をできないまま、大きい男はこちらに近づき、腕を掴もうとしてきた。逃げる暇もなく、その行動をただ見ていた。
「あなたは誰なんですか」
「向こうの世界で話をしよう」
腕を掴まれると、気づかないうちに、家から真っ暗闇の空間へ変わっていた。




