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決裂

20時に投稿するつもりが今日ギリギリになってすみません。

「異形だぁぁぁぁ異形が出たぞぉぉぉぉ————」

「そんなどうして・・・」

「女と子供は地下に!男は全員武器を取れ!」

「おいおいなんだよアレ・・・」


はい・・・すでに歓迎されてませんね。分かってました。

玲二の予想通り村はパニック状態になり、武装した男たちに囲まれそうになっていた。

「気をつけろ!野生じゃねーぞ!!」

「でけぇ・・・」

「狼狽えるなお前ら!死んでもここを死守するぞ!!」

「そうだ!子供や女性の避難が時間だけでもかせぐんだぁぁ!!」

あぁ、不味い。今にも突っ込んできそうな雰囲気だ。無駄かもしれんけどここは説得を。

「ちょいちょいちょい、待て待て、俺に戦闘の意思はない。」

戦闘の意思がない事をアピールする為に片膝を着き、両手をあげて無害アピールをする。


「うぁぁぁぁ、なんだこいつ喋たぁぁぁぁ!!!」

「油断するな!!異形の言葉など聞き取れる訳が分からないないだろうが!!」

「そうだそうだ!俺たちを惑わす為の幻覚に違いない!!」

あっ、ダメだこれ・・・俺が何を言っても突っ込んできそう。

「くらえ!化け物がぁぁぁぁ―――」

と思っていたら、案の定リーダーらしき男が槍を振るい脛に槍を突き立てきた。

しかし、野生の異形を貫ける程度槍で玲二の身体を貫けるはずもなく、あっけなく折れた。

「なぁ!?槍がッ!!!」

あ~ぁ・・・やっぱり折れたか。

「なぁ、マジで待てって。俺の言葉分かるだろ?話を聞いてくれ!!」

再度説得を試みてみる。

「騙されるな!我らの言葉を巧みに使い油断を誘おうとしているだけだ。耳を貸すな!!」

「そうだそうだ。騙されないぞ!そう言って、何もかも喰うつもだろう!!」

「ちっちが————」

「我らの命をかけて仕留める。一斉に突撃だっ!!」

「「「おおおぉぉぉぉぉぉぉ」」」

くそっ!!駄目だ話にならねぇ。

男たちは槍を掲げて玲二に突撃を始めた。

「えぇいクソ・・・せめてクゥだけでも————」

守ろうと思い腕を庇う姿勢を取ろうとした時、肩から立ち上がり大声で叫んだ。

「待って下さいッッッ!!!」

「「「「————っ!?」」」」

その声に俺も驚いたが、突撃してきた男たちはもっと驚いた様子立ち止まった。

「・・・まさか、クゥか!?」

リーダーぽい男が肩の上に立つクゥに向かって問いかけた。

「そうです。三日前にリゼフさんたちと連合国に取引に向かったクゥリャ・レナントです。」

「どうしてここにいるんだ。取引は?」

「・・・失敗しました。道中で複合型の異形に襲われまして・・・私以外皆・・・」

「そんな・・・嘘だろ・・・」

「複合型・・・冗談キツイ過ぎる・・・」

「そんなの連合国軍でもないと勝てないじゃないか・・・」

男たちはクゥの言葉に皆、絶望的な表情を浮かべていた。

「事実です。私だってこの異形のレイジさんが複合型異形から助けてくれなかったら死んでいました!!ですから、私たちの話を聞いて下さい!」

「・・・分かった。皆武器を下ろせ。」

リーダーらしき男が指示を出すと、みんな槍を下した。

「レイジさん降ろして貰えますか?」

「あっあぁ、分かった。」

右手に座ってもらいクゥを地面に降ろした。

「ありがとうございます。」

「その・・・大丈夫か?」

村の人間とは言え、異形を連れて来てしまった事を咎められるのではないかと思うのだが・・・

「大丈夫ですよ。悪いことには————」

「早く来い!!」

リーダーらしき男がクゥに向かって怒鳴る。

「行って来ますね。」

「あぁ・・・」

クゥはリーダーらしき男の方へ歩いて行った。

「化け物、お前はそこから動くなよ!!言葉がわかるんだろう?」

「あぁ・・・分かった。」


「おぉぉぉ・・・返した。」

「ほんとに・・・分かるのか・・・」

「会話ができるとは・・・」

さっきから話していたはずなんだけど、今更かよ。

それからクゥはこの村から出発してからの一連の出来事を大まかに説明した。

三日前に出発し、二日目の連合国への道中で崖の上から複合型異形が突然現れたこと、仲間は複合型異形に食べられてしまったこと、一人だけで逃げていると玲二が助けてくれたこと、そして、玲二に守って貰いながらこの村まで連れて来て貰ったことを。

「なるほど・・・事情は分かった。」

リーダーらしき男は納得しているようだった。

「では・・・」

「だが、そこの化け物は消えてもらおう。」

「なっなぜですか?!」

納得してくれたと安堵した表情が固まる。

「何故だと?分からないのか・・・」

そして、リーダーらしき男は玲二を指差し。

「あれは異形だ。化け物だ!人食いの化け物だッ!!」

「違います。レイジさんは人を食べたりなんか—————」

「黙れッ!!」

リーダーらしき男はクゥを頬を思い切り引っ叩いた。

「————ッあ」

叩かれたクゥは尻餅を着いた。

「なっ、おまえ!?」

俺は思わず立ち上がった。

「うっ動くなよ!」

「やっぱりお前も他の異形と同じ俺たちを襲う気か!?」

「なっ・・・今のは俺じゃなくても、動くだろう!?」

「黙れ異形の化け物が!!!」

反論しようとした俺にリーダーらしき男を怒鳴りつける。

「俺たちが・・・人間が、どれだけお前ら異形に殺され、犯され、壊され、奪われたと思っているんだッ!!」

それは俺に、いや、異形に対して向けられた強い憎悪と怒りだった。

「————っ」

玲二は自分が何かして来た訳ではないが、自分の姿は異形だ。俺はいくら違うと言おうが俺が異形である時点でそんなものどうしようもない。

俺は何も言い返すことが出来なかった。

「俺は・・・」

言いかけて、顔に小石が当たった。

「ママを・・・返せ・・・」

小石が飛んできた方を見ると五歳ぐらいの女の子が泣きながら玲二を睨んでいた。

「ルシア、何故ここに居るんだ!地下に行けと行っただろう。」

女の子の父親らしき男が女の子に駆け寄った。

「さぁ、皆のところに戻るんだ!」

そう言って父親らしき男に手を引かれて連れていかれる女の子の眼はいつかお前を殺してやると言わんばかりの殺意と憎しみだった。

「・・・くそぉ。」

小さく悪態を着いた。この世界は五歳の子供にまであんな殺意に満ちた目をさせるような世界だ。しかも、それは自分が異形であるからだ。

俺は無意識の内に拳を握り締めていた。悔しくて、それでいてなんとも悲しくて、やるせなくて。

「そうだよな・・・」

仇である異形の俺はどう足掻いても人間といることなんて不可能なんだ。家族や友人を殺された者の怒りは簡単に消えはしない。

「俺は帰るよ・・・」

このままここに居ても、争いや憎しみの原因をつくるだけだ。

「そんな・・・待ってください!」

クゥは玲二の元に走ろうとする。

「ダメだ。来るな。」

そう言うと、クゥは立ち止まった。

「え?」

「クゥ・・・俺とお前は違うんだ。俺は異形でクゥは人間だ。異形の俺なんかといるより、この村にいた方がいいし、俺は居ないほうがいい・・・」

「なんで・・・そんなこと・・・言うんですか」

クゥは今にも泣き出しそうになっていた。

「クゥ、お前だって分かるだろう?異形は・・・人間とは分かり合えない・・・」

そう無理なのだ。異形(おれ)と人間との溝は余りに深すぎる。

「元々、クゥを村に送り届けたら帰るつもりだったしな。」

「行くとこなんてないって・・・言ったじゃないですか。」

クゥは完全に泣き出してしまった。

「なぁに、俺は異形だせ?腹は空かないし、睡眠も要らない、たから、何とかなるさ。」

俺はリーダーらしき男の方に向き直る。

「聞いての通りだ。俺はクゥをここに送り届けに来ただけだ。役目は済んだから俺は行くぜ。」

「あぁ、とっとと消えやがれ!!」

「分かったよ。」

俺はクゥに背を向けて歩き出した。

後ろからクゥが何か言っているように聞こえるが気がないようにした。

「あぁ。最後に一つ。」

俺は背を向けたまま、リーダーらしき男を含む男たちに聞こえるような声で言い放つ。

「今回の事でもし・・・クゥが何かされたら、お前ら全員潰すから、覚悟しとけよ!」

そう、怒気を込めてまた歩き始めた

「ヒィィィ―――」

「あっァァァ・・・」

俺の怒気に当てられた男たちの何人かは悲鳴をあげていた。

「待ってくださいよ・・・」

玲二の背中にクゥは叫んだ。

「わたし・・・まだ・・・なにも・・・返せてぇ・・・」

涙声で掠れた声は玲二に届く事はなかった。










明日は20時の予定です。多分遅れないと思います。

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