07 ツーベル騎士隊
新キャラ登場です。
「え……ここ、表門じゃない?」
立派な門の両側には一人ずつ騎士が立っている。
「うん。こっちでいいんだ。それよりシェリル。回復するからちょっと止まって」
私はフィランダーに回復魔法をかけてもらってから、ツーベル騎士隊舎の門へと進む。
門番をして居た騎士二人が私達を見て目を丸くした。
「わ……若様!?」
「え……今日訪問予定は……」
「ない。抜き打ちだからな。まず二人ともこれを触ってくれないか?」
フィランダーは胸ポケットから悪意に反応する魔道具を取り出す。
「これは……まさか間者が?」
「ここにもいる可能性があるかもしれなくてな。信用できないんだ」
「では自分が」
一人の騎士がその魔道具に触れるが、何も起こらない。
「反応なしだね」
「あ、自分も」
すぐもう一人の騎士も触れたがやはり何も起こらなかった。
「二人とも反応なしだ。二人を信用して言う。何も言わず私を通して騎士隊長の元へと連れて行って欲しい。なるべく周りの目を避けれる道を選んでもらえないか?」
「でしたら……ここから入った方が返って安全ですね。用がある人は大体裏門を使いますから。自分が案内致します」
「門番が一人になるが良いのか?」
「大丈夫です。何かありましたら防御壁を張りますのでご安心を」
「では若様。……と。こちらが奥方様でしょうか?」
「そうだ。紹介し忘れて居たな。俺の愛妻のシェリルだ」
「初めまして。シェリルと申します」
「おっお初にお目にかかります」
「今は正式な挨拶は省略していい。なるべく周りに悟られずに中へ入りたい」
「分かりました。こちらへ」
すぐに察しためらいもせず悪意に反応する魔道具に触れる姿に、私は心の中で感心していた。
すごい。さすがフィランダーが厳選して抜擢した騎士。……正直彼らに領都の騎士団に居て欲しかったなぁ。
でも難しいか。領館にも中立のテナージャ派が居たし。多分領都以外に配属するだけで手一杯だったのかも。
騎士の後ろをついて行くと、ある部屋に案内された。
フィランダーのエスコートされつつ中へ入ると、そこは応接室ではなく倉庫の様だった。
私が思わずフィランダーを見ると、「大丈夫」といった顔でうなずいた。それでも不安で思わず騎士に疑いの目を向けてしまった。黙ったままついて行くと、部屋の奥へと入って行く。
するとそこには棚があった。騎士は棚に入っていた本を引き抜くと、棚が横にスライドし通路が現れた。
「ここを進むと隊長室に繋がっております。暗いのでお気をつけください」
「隠し通路。……私に見せて良かったの?」
「大丈夫だよ。シェリルは俺の妻なんだから」
「妬けますね。若のそんな姿が見れるとは新鮮です」
そう言いながら騎士は本を棚に戻した。
「いいから案内しろ。影もついてるからどこからか声がしても驚かないでくれ」
「はい。では、こちらです」
薄暗い通路を進んで行くと、かなり複雑な道の様で私は迷路に迷い込んだ気分になる。察したのかフィランダーが囁いた。
「シェリル。俺のペンダントがあるからもし迷っても安心してね」
あ。呪いのペンダントは探知機能付きになったんだった。
「……忘れてた」
「もうそろそろ話すのはお控えください。誰かに気づかれますので」
言われた通り黙って進んで行くと行き止まりになってしまった。
騎士が壁に耳を立てようとするのをフィランダーが止める。
『中は隊長一人です。周りに人はいません』
サミーの声が聞こえ騎士はトントンとノックした。
すると四角い石壁がずれ、スライドする様に開く。
「どうぞ」
騎士に続いて中に入ると、そこには机が置いてあった。どうやら机の真横の棚から出たらしい。
「これはこれは……若ではありませんか。お久しぶりにございます」
中にいたのは領主のパトリック様より若干歳上と思われるヒゲを蓄えた男だった。
「こんな形で失礼する。緊急の抜き打ち訪問だ」
「そうでしたか。ありがとう。君は後始末をしてから門番に戻って良い」
「はっ!」
案内の騎士は私達が全員出たのを見届けてから来た道を戻っていった。
「今、騎士達は?」
「訓練組と見回り組に別れております。あと一時間くらいで訓練組が終わりますね」
「なら、手短に済まそう。妻のシェリルだ。こんな形で申し訳ない」
「初めまして。シェリルと申します」
「お初にお目にかかります。ツーベル騎士隊隊長のグレンと申します。して、用とは?」
「まずはこれに触れてくれ」
フィランダーは先ほど出した魔道具を取り出す。
「……なるほど」
隊長は呟いてから触れた。反応はない。
「良かった。グレンがここに来てから裏切った可能性もあったからな」
「自分は裏切る気はありませんよ。ですが……間者は下っ端ではないと?」
「……俺は冒険者市場という言葉をこの二十年一度も聞いた事がない」
「……は?」
「俺の許可なく開いて居た事になるな」
「そんなはずは……」
「という事は、俺に届ける書類を作成したものが怪しいという事になる」
「……まさか」
「心当たりは?」
「……副隊長。ここに着任してすぐに雇った者です。報告は届けているはずですが……」
「副隊長の経歴は?」
「平民で有力な冒険者でした。騎士の数が足りなかったので冒険者ギルドに協力を得て、雇った中の一人です」
「出身は?」
「中立のテナージャ派のどこかだったと思いますが……あぁ。スタートレットです、確か」
「グレン。忘れたのか? ここに着任して早々起きた事件を」
「事件……私が着任してからだと……確か二十年前……」
すると隊長の顔がみるみるうちに真っ青に変わった。
「申し訳ございません!」
「それ以外にも潜り込んでいる可能性がある。スタートレットの平民であっても気をつけるべきだった」
「認識が甘かった自分の責任です。スタートレットの平民には罪はないと勝手に思ってしまい……」
「まぁ……あの頃は人手も足りなかった時期だ。仕方がないとしか言いようがないが、次からは何かしら手を打たないとまずい」
「はい」
「これで副隊長は黒の可能性が高いな。……冒険者市場の事は隠蔽して居た訳ではないんだな?」
「伝わっているものかと……」
「もしかしたら何店舗かスタートレット関連のものがあるかもしれない。グレンは至急それを調べて欲しい。トミーも手伝え」
「「はっ!」」
「あとはどうやってあぶり出すかだが……」
『若。天井で怪しい人物を捕獲しました』
天井からクリフの声が聞こえた。
「ここへ」
するとフィランダーの影からクリフと紫の影の様なもので縛られている男が現れた。
登場人物紹介
ツーベルの街ーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前 グレン
所属 平民 ヘインズ家騎士 ツーベル騎士隊隊長
年齢 50歳
容姿
・髪 ツンツンのオレンジ
・瞳 茶色
・体型 がっしり
・顔 オレンジのひげを蓄えている
・身長 186cm
魔法 雷魔法 高
備考 特になし




