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09 里帰り




 私は寄宿舎を出て、家に帰る方面の馬車を乗り継ぎ、三日かけてコリンソン領に里帰りした。


「おかえりなさいませ。お嬢様」

「ただいまベン。……久々にお嬢様って呼ばれるとこそばゆいね」

「できましたら、お嬢様のドレス姿が見たかったですね」

「それは……勘弁して」


 出迎えてくれたのは、コリンソン家に長年仕えてくれている執事のベンだった。この国では珍しいゆるウェーブの茶色の髪と瞳を持っていた。


 ……どうして私の周りは茶色が多いのだろうと疑問に思う。シランキオでもこの容姿は一割満たないと言われているのに。


「旦那様がお待ちですよ」


 目を細めてベンは穏やかな笑みを浮かべた。








 執務室に着くと、ベンがノックをして私を中へと促した。

 中へと入ると、そこには懐かしい父の姿がそこにあった。


「おかえり。ホリー」

「ただいま、お父様」


 ストレートな黒髪黒目、私と同じ涼やかな目を持つ貴族の中では平凡な四十男は、父のキース・コリンソン男爵だ。穏やかな笑みを浮かべる姿は私をホッとさせた。


「道中疲れただろう」

「ちょっと」

「体力があって何よりだ。ジュリーは体力がないからなぁ」


 ジュリーとは私の姉の事だ。子爵家に嫁いだのでもうこの家にはいない。


「お姉様が何か?」

「明日、来るそうだよ。ホリーに会いに」

「……お父様には?」

「ジェリーにとって、ホリーの方が優先順位が高いんだよ。二人ともなかなか帰って来てくれないからなぁ。こっちは寂しいよ」


 拗ねた子どもの様に言うお父様に私は思わず苦笑した。


「それはごめんなさい。帰って来た理由は……ご存知なのでしょう?」

「……戦争か。なぁ、これを機に戻って来る気は……」

「ないです」

「そうかぁ」


 私の即答に、お父様はガクッと肩を落とした。






 コリンソン男爵家には、男の後継がいない。子どもはお姉様と私の二人だけ。本来ならお姉様が婿を取る予定だった。

 しかし、お姉様は運命の出会いをしてしまい、セイラー子爵家に嫁いでしまう。なので私が婿を取らねばならなくなってしまった。


 でもお父様は……「ホリーは好きな事をして良いんだよ。家の事はいざとなったら別の家から養子を貰えば良いから」と私に自由をくれた。


 そして私が選んだのは女騎士になる道だった。お父様はまさか私が女騎士になるとは思いもしなかったため、実家に帰る度に戻ってこないかと言われてしまい、近年は避けていたのだ。






 するとお父様は話題をビルの事に切り替えた。


「ホリー。ロッドフォード子爵はまだ許可してくれないのかい?」

「はい。……一生結婚は出来ないかもしれません」

「まだ諦めるのには早いかな」

「でも私はもう二十歳ですよ。それにお父様はどうなのです?」

「私はカーリーしか居ないよ。今後新しいお母様を迎える事はないから安心してくれ」

「そうですか……」

「でもまだ付き合っていたんだな」

「別れてるとお思いだったのです!?」

「彼は美麗なのだろう? 何回も話には聞いているが、正直ホリーと一緒にいるところが想像出来ない。会っていないからなぁ」


 それに関しては何も言い返せなかった。

 王都にお父様は毎年来るのだが、決まってビルに用事が入っており直接会う事は今だに叶っていないのだ。







 次の日の朝。

 てっきり夫婦で訪ねて来ると思いきや、お姉様一人での帰郷となった。


「ただいま。あ、ホリー! 久しぶり~」

「お久しぶりです、お姉様」

「前より綺麗になったんじゃない? まだ婚約してないの?」

「あ……あぁーそれは……まだです」

「……そっか。じゃあ私は部屋で寝てくるわ。おやすみ~」

「おやすみ、お姉様」


 お姉様の横にいた侍女が申し訳ないという顔をしながら、お姉様の後を追った。


「相変わらずだと思わない? ベン」

「仕方がありませんよ。カーリー様と体質が似てしまいましたから……」

「墓参りは明日になりそうね」


 私の母カーリーは、身体があまり強い人ではなかった。疲れやすく、遠出はあまり出来ない人だったが、それでも社交シーズンには必ず王都へ行っていた。それで無理が祟ったのか、それとも懸命に生きた結果だったのか、私が十歳の時に天に召されてしまった。

 なので皆、母に顔も体質も似ている姉を心配している。


「顔色は良さそうでしたので、お昼寝程度で済むのでは?」

「そうね。まだ朝だし」


 その予想通り、姉は昼には目を覚まして食堂へ降りて来た。






登場人物紹介


過去ーーーーーー


名前 キース・コリンソン

年齢 40歳

容姿

・髪 黒のストレート

・瞳 黒

・体型 痩せ型

・顔 涼やかな目 貴族の中では平凡

・身長 175cm



名前 ベン※2022.12.25にザカリーからベンに変更しました。

年齢 45歳

容姿

・髪 茶のゆるウェーブ

・瞳 茶

・体型 中肉中背

・顔 線目 平凡

・身長 178cm



名前 ジュリー・セイラー

年齢 22歳

容姿

・髪 黒のストレート

・瞳 黒

・体型 Bカップ 標準

・顔 ホリーより若干可愛らしい顔立ち 貴族の中では平凡

・身長 160cm

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